第4節 熊本地震からの復旧・復興
平成28(2016)年4月に発生した熊本地震では、熊本県を始めとする九州各県で大きな被害が生じました。熊本県では、「熊本復旧・復興4カ年戦略」に基づき着実に復旧・復興の歩みを進めてきました。
(営農再開はほぼ達成)
熊本地震による農林水産関係の被害額は1,826億円であり、このうち農業関係の被害額は1,353億円となりました。農地では、11,172か所で亀裂、沈下、法面(のりめん)崩壊等の被害が、ため池、農道、用排水路等の農業用施設では、4,970か所で破損等の被害が発生しました(*1)。
熊本県では平成28(2016)年8月に、令和元(2019)年度までの復旧・復興の道筋を示す「平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン」と、主な取組のロードマップをまとめました。12月には「平成28年熊本地震からの復旧・復興プラン」と「熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を包含する「熊本復旧・復興4カ年戦略」を策定しました。平成29(2017)年3月には、復旧・復興全体の進捗を加速化させるため、28項目から成るロードマップの中から重点的に進捗の把握を行うものとして、10項目を選定し、進捗状況を公表してきました。このうち、農林水産分野では、農地及び営農施設の復旧等による「被災農家の営農再開100%」を目標とし、着実に取組が進められ、令和元(2019)年度末時点で営農再開を目指す農家は、ほぼ全て再開される見込みとなりました。
*1 熊本県「平成28年熊本地震による農林水産関係被害」(平成30(2018)年3月13日公表)
(創造的復興の取組として農地の大区画化の実施や大切畑ダムの本体工事に着手)
大規模な地表面の亀裂やずれによる被害が発生した農地や農業用施設については、創造的復興の取組として、単に元の姿に戻すだけでなく、担い手への農地集積を図るために大区画化等の基盤整備を行いました。具体的には、熊本市(くまもとし)と益城町(ましきまち)にまたがる秋津(あきつ)地区、阿蘇市(あそし)の阿蘇谷(あそだに)地区、南阿蘇村(みなみあそむら)の乙ヶ瀬(おとがせ)地区の3地区を対象に復旧・復興を進め、全ての地域で営農を再開しました(図表4-4-1)。
また、熊本県西原村(にしはらむら)の大切畑(おおきりはた)ため池(通称、大切畑ダム)とパイプラインが被災し、周辺の農家では農業用水を安定的に確保できない状態が発生しました。このような事態を受け、熊本県では益城町の2か所に深井戸ポンプを設置、地元での話合いに基づく暫定的な水利用計画により、営農が行われています。なお、大切畑ダムの復旧については、令和元(2019)年度に本体工事に着手し、令和5(2023)年度までの5年間で工事完了を目指しています。

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