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農林水産省

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第5節 新型コロナウイルスへの対応


令和元(2019)年12月に中国で確認された新型コロナウイルスは、世界各地に拡大しました。

国内における感染拡大を踏まえた小中学校等の臨時休業やイベント等の自粛、入国制限等により、国産農林水産物の需要減少や生産現場における労働力不足等、我が国の農林水産業・食品産業にも様々な影響が発生しています。

このため、政府は、農林漁業者等の資金繰り支援や学校給食の休止への対応等を含めた緊急対応策を打ち出すとともに、農林水産省では、国民への食料の安定供給を確保する観点から、生産者や食品産業事業者等の事業継続に関するガイドラインの策定、食料品の供給状況等に関する国民への情報発信等を実施しました。また、緊急経済対策の中で、生産基盤の維持・継続と需要の喚起のための対策を盛り込みました。

(1)農林水産業・食品産業への影響

令和元(2019)年12月に中国武漢市(ぶかんし)で確認された新型コロナウイルスの感染は、世界各地に拡大しました(図表4-5-1)。

令和2(2020)年3月末時点で202か国・地域で75万人の感染、3万6千人の死亡(*1)が確認されています。我が国においても新型コロナウイルスの感染が拡大しており、感染拡大を踏まえた全国の小中学校等の臨時休業やイベント等の自粛、外国からの渡航者に対する入国制限等により、我が国の農林水産業・食品産業は、深刻な需要減少や人手不足等の課題に直面しています。

図表4-5-1 新型コロナウイルスに関する動き

*1 WHO「Coronavirus disease 2019 (COVID-19)Situation Report -71」、10:00 CET 31 March 2020

(小中学校等の臨時休業やイベント等の自粛、外食・観光需要の減少による影響)

新型コロナウイルスの感染拡大を踏まえた全国の小中学校等の臨時休業により、野菜や果物、牛乳・乳製品等に関して、給食向け食材の注文のキャンセル等が発生しました。また、卒業式やイベント等の中止・規模縮小により、花きの需要が減退し、価格が下落しました。さらに、インバウンドを含めた外食・観光需要の減少により、団体の宴会予約のキャンセル等の発生や、牛肉や高級果物、土産菓子等の販売の減少、農泊地域における宿泊・食事・体験活動のキャンセル等が発生しました。

また、小中学校等の臨時休業により、保護者が出勤できなくなり、農業法人等における雇用にも影響が生じました。

(入国の制限、航空便の減少による影響)

外国からの渡航者に対する入国制限等により、各国からの外国人技能実習生等の受入れの見通しが立たなくなったり、春節(旧正月)時に一時帰国したまま、日本に戻れずにいる実習生が発生し、農業経営への影響を懸念する声が生じました。また、日本における実習の修了後に、帰国の見通しが立たない実習生も発生しました。

さらに、旅客便の大幅な減便のあおりを受けた輸出向け生鮮物流の停滞や、輸出事業者の商談機会の逸失等により、香港、中国等を中心に各国への輸出が減少しました。

(2)影響を受ける産業等への緊急対応

(第1弾対策における農林水産省の取組)

政府は、国内での感染拡大による影響を踏まえ、令和2(2020)年2月13日に「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策」を決定しました。これを受け、農林水産省は、農林漁業者向けの資金繰り支援として、公庫等による農林漁業セーフティネット資金を措置するとともに、全国の農泊地域に対する新型コロナウイルスに関する予防対策等の情報提供を実施しました。

(第2弾対策における更なる資金繰り支援)

政府は、令和2(2020)年2月27日に、全国全ての小中学校等について臨時休業を行うよう要請し、これを受け、3月10日に、学校の臨時休業、事業活動の縮小等への対策を取りまとめた「新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)」(以下「第2弾対策」という。)を決定しました(図表4-5-2)。このうち、農林水産省は、農林漁業者への資金繰り支援として、農林漁業セーフティネット資金の貸付限度額の引上げや、同資金を始めとする各種制度資金等について、貸付当初5年間実質無利子化、実質無担保等での貸付けや債務保証の引受け、債務保証料の5年間免除等を措置しました。

また、関係金融機関に対して、新規融資の円滑な融通・既往融資に係る償還猶予が適切に行われるよう要請しました(図表4-5-3)。

さらに、雇用維持のための雇用調整助成金による従業員への休業手当等の助成が措置され、これらが最大限活用されるよう、各業界に周知を徹底しました。

図表4-5-2 新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策(第2弾)の概要
図表4-5-3 農林漁業者への資金繰り支援策

(学校給食の休止への対応)

小中学校等に対する臨時休業要請に伴う学校給食休止への対応については、第2弾対策において、臨時休業期間中の学校給食費の保護者への返還要請やそれにより学校設置者が負う負担に対する国による補助、給食調理業者、食品納入業者、酪農家等へのきめ細かい各種支援等を行うことが決定されました(図表4-5-4)。農林水産省は、学校給食の休止に伴う未利用農産物等の代替販路の確保に向けたマッチング等の支援として、食品の通販サイトを通じた未利用食材の販売支援キャンペーン、フードバンク等への寄付のための輸送費等の支援、学校給食向け生乳を脱脂粉乳、バター等の加工用へ用途変更することに伴う価格差支援等を行いました。

また、学校給食に納入を予定していた学校給食調理の受託事業者の業績悪化対応のため、従業員への休業手当の助成を行うとともに、文部科学省と連携し、教育委員会等と調理業務等受託者の契約に基づく協議を促しました。

図表4-5-4 学校給食休止への対応

(3)国民への安定的な食料供給に向けた取組

(食料のサプライチェーン全般にわたる事業継続のためのガイドラインを策定)

農林水産省は、国民への食料の供給を継続的に行うため、令和2(2020)年3月13日に、農業者、畜産事業者、食品産業事業者、木材産業事業者、林業経営体及び漁業者において新型コロナウイルス感染者が発生した際の事業継続に関するガイドラインを策定しました(図表4-5-5)。これらのガイドラインでは、新型コロナウイルス感染症の予防対策を提示し、その徹底を要請するとともに、感染者や濃厚接触者が出た際の具体的な対応のポイントを提示しています。

農林水産省では、農業者、食品産業事業者等に対し、これらのガイドラインに則して、感染者が発生した場合を想定し、業務継続のための支援体制の構築や業務マニュアル作成等を呼びかけました。

図表4-5-5 農業者向けの事業継続に関するガイドライン(PR版)

(国民への分かりやすい情報発信と相談窓口の設置)

農林水産省では、農林漁業者や食品産業事業者等に対し、新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策等の支援策や事業継続ガイドライン等の内容を周知するとともに、国民に対し、食料品の供給状況等の情報を提供するため、農林水産省Webサイトに特設ページを開設したほか、SNSや動画共有サービス等を活用して、分かりやすい情報発信を行いました。また、地方農政局等に新型コロナウイルスに関する相談窓口を設置しました。

(国民に買いだめをしないよう呼びかけるとともに、調査・監視を実施)

農林水産省Webサイト等で国民へメッセージを発信する農林水産大臣

農林水産省Webサイト等で
国民へメッセージを発信する農林水産大臣

令和2(2020)年3月下旬、東京都知事による外出自粛要請を受け、一部の小売店において食料品の欠品や品薄状況が発生しました。これに対し、農林水産省は、食品産業事業者等に対し、円滑な食品の供給を要請するとともに、国民に対し、食料品は十分な供給量、供給体制を確保し、在庫も十分にあることから、過度な買いだめや買い急ぎをしないよう落ち着いた行動を呼びかけました。

また、食料の買占め及び売惜しみが生じないよう、調査・監視をしました。

(花きの消費拡大に向け「花いっぱいプロジェクト」を開始)

卒業式の中止やイベントの自粛等の影響を受け、3月が最盛期となる花きの需要が減少しました。このため、農林水産省は、「花いっぱいプロジェクト」を立ち上げ、家庭や職場に春の花を飾って楽しんでもらうよう、地方公共団体や関係団体に協力を募りました。この一環として、ホワイトデーに花を贈る呼びかけを行う取組や、胸ポケットに生花のコサージュを挿す取組等を展開し、花きの消費拡大に取り組みました。

「花いっぱいプロジェクト」×BUZZ MAFF

「花いっぱいプロジェクト」
×BUZZ MAFF

「花いっぱいプロジェクト」に取り組む地方公共団体

「花いっぱいプロジェクト」
に取り組む地方公共団体

資料:千葉県

PRポスター

PRポスター

資料:花の国日本協議会

農林水産省正面玄関前に飾られた花々

農林水産省正面玄関前に
飾られた花々

生花のコサージュ

生花のコサージュ

(国産食材の消費拡大に向け「国産食材モリモリキャンペーン」を開始)

キャンペーンロゴ

キャンペーンロゴ

また、学校給食の休止やイベントの自粛等の影響を受け、需要減退に直面している野菜、食肉、水産物、果実、牛乳、きのこ等の国産農林水産物の消費拡大に向け、農林水産省では、フード・アクション・ニッポンの取組の一環として、農協、民間企業等と連携し、「国産食材モリモリキャンペーン」を開始しました。このキャンペーンは、国産農林水産物の魅力を発信している著名人の「FAN(*1)バサダー」の活動等と連携して取り組んでいます。

*1 国産農林水産物の消費拡大に取り組むフード・アクション・ニッポン(FAN)

コラム:FANバサダー芸人が国産食材の活用を動画で発信

「国産食材モリモリキャンペーン」の第1弾として、令和2(2020)年3月18日に、野菜等をテーマとした歌で子供たちに人気のお笑い芸人の小島よしおさんと、料理芸人であるクック井上。さんをFANバサダー芸人に任命し、農林水産副大臣から任命状を授与しました。

FANバサダー芸人と、FANバサダーゴールドである「笑味(えみ)ちゃん」を有するJAグループの協力を得て、国産食材を活用して手軽に作れるメニューや国産農林水産物の良さ等を消費者に伝える動画を制作しました。

「FANバサダー芸人」の任命

「FANバサダー芸人」の任命

(4)緊急経済対策の決定

(生産基盤の維持・継続と需要の喚起のための対策を決定)

以上のように、新型コロナウイルス感染症とそれに伴う経済環境の悪化、外国からの入国制限等により、我が国の農林水産業・食品産業は、需要減少や人手不足等の課題に直面しています。将来にわたって国民が必要とする食料の安定供給を確保するためにも、この状況を速やかに解消し、生産基盤・経営の安定を図ることが重要です。

こうした状況の下、令和2(2020)年4月には、新型コロナウイルスの感染拡大の防止とその後の経済回復を図るため、i 感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発、ii 雇用の維持と事業の継続、iii 次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復、iv 強靱(きょうじん)な経済構造の構築、v 今後への備え、を5つの柱とする「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」が閣議決定されました。

このうち、農林水産分野の緊急経済対策として、農林漁業者、外食事業者、食品流通事業者の事業継続のための資金繰り支援に加え、労働力確保のための支援や農林水産業の経営不安に対処する支援、生産・供給体制を維持するための販売促進等の取組の支援、飲食業を対象とする官民一体型の需要喚起キャンペーン等が盛り込まれています。

今後も、各地域での状況の推移を見つつ、機動的に対応することとしています。

コラム:災害は忘れる前にやってくる~国はリスクに対して様々な支援を用意~

農林水産省Webサイトの「災害に関する情報」や「逆引き辞典」から防災・減災に関する支援策をチェック

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「災害に関する情報」や「逆引き辞典」から
防災・減災に関する支援策をチェック

令和元(2019)年度は、新型コロナウイルス以外にも、令和元年房総半島台風や令和元年東日本台風等の自然災害、平成30(2018)年9月から続くCSF(豚熱)等様々な災害への対応に追われた1年でした。

こうした自然災害、家畜伝染病等の様々なリスクに対して、国は、現場の要望等を聴きながら、きめ細かな支援策を措置し、農業者の1日も早い経営再開に向けて対応しています。

今後も起こり得る様々なリスクに対し、平時から、農業者自身が農業用ハウス等の点検・補強や、農業保険等への加入、飼養衛生管理基準の遵守等、取り組むべきことには取り組み、リスクに備えることが重要です。国としても、そうした農業者の営農継続の努力に対して全面的に協力していきます。



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