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農林水産省

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6 需要構造等の変化に対応した生産・供給体制の改革


(1)需要に応じた米の生産・販売の推進、飼料用米等の戦略作物の生産拡大

ア 需要に応じた米の生産・販売の推進

(ア)需要に応じた生産・販売を推進するため、水田活用の直接支払交付金による支援、中食・外食等のニーズに応じた生産と播種(はしゅ)前契約、複数年契約等による安定取引の一層の推進、県産別、品種別等のきめ細かな需給・価格情報、販売進捗情報、在庫情報の提供、都道府県別、地域別の作付動向(中間的な取組状況)の公表等の環境整備を推進しました。

(イ)国が策定する需給見通し等を踏まえつつ生産者や集荷業者・団体が主体的に需要に応じた生産・販売を行うため、行政、生産者団体、現場が一体となって取り組みました。

イ 戦略作物の生産拡大

食料自給率・食料自給力の維持向上を図るため、麦、大豆、飼料用米等、戦略作物の本作化を進めるとともに、地域の特色のある魅力的な産品の産地づくりに向けた取組を支援することにより、水田のフル活用を図りました。

具体的には、地域が作成する「水田フル活用ビジョン」に基づき、地域の特色のある魅力的な産品の産地を創造するため、地域の裁量で活用可能な産地交付金により、産地づくりに向けた取組を支援しました。

(2)畜産クラスター構築等による畜産の競争力強化

ア 畜産・酪農の競争力強化

(ア)畜産農家を始めとして、地域に存在する外部支援組織(コントラクター、TMRセンター、キャトルステーション、ヘルパー等)や関連産業等の関係者(乳業、食肉センター等)が有機的に連携、結集し、地域ぐるみで収益性を向上させる畜産クラスターの取組を推進するため、新規就農者等の確保や経営資源の円滑な継承を促進するとともに、省力化機械の導入・活用、外部支援組織の活用による労働負担の軽減や経営規模拡大に資する施設の整備等を支援しました。

また、国産チーズの競争力を高めるため、原料乳の低コスト・高品質化、製造コストの低減、品質向上・ブランド化等を推進しました。

(イ)酪農経営における性判別精液を活用した優良な乳用後継雌牛の確保や和牛受精卵を活用した和子牛生産の拡大、畜産経営における新技術を活用した繁殖性の向上・改良等による種豚の生産性の向上等を図る取組を支援しました。

(ウ)輸入飼料に過度に依存した畜産から国内の飼料生産基盤に立脚した畜産に転換するため、不安定な気象に対応する技術の普及、国産飼料の生産・利用の拡大や流通体制の強化、放牧の活用や農場残さ等の未利用資源の飼料利用等を推進しました。

(エ)チーズ、生クリーム、適度な脂肪交雑の牛肉への需要の拡大や安全・安心への関心等を踏まえ、多様な消費者ニーズに対応した生産等を推進しました。

また、酪農家による6次産業化の取組を支援するため、生乳取引の多様化を推進しました。

(オ)需給状況に応じた乳製品の安定供給の確保等を図るため、「畜産経営の安定に関する法律」(昭和36年法律第183号)に基づき、加工原料乳生産者補給金制度を適切に運用しました。

(カ)農業従事者の中でもとりわけ過酷な労働条件にある酪農家の「働き方改革」を推進するため、「農業競争力強化プログラム」(平成28年11月策定)に基づき、労働条件の改善に資する搾乳ロボットやパーラー等の機械装置の導入を短期・集中的に支援しました。

(キ)ふん尿の還元等に必要な飼料作付面積の確保を前提として酪農家が行う環境負荷軽減の取組(資源循環促進、地球温暖化防止、生物多様性保全等)を支援しました。

イ 畜産・酪農関係の経営安定対策

経営安定対策として、以下の施策等を実施し、畜産農家等の経営安定を図りました。

(ア)畜種ごとの経営安定対策

a酪農関係では、<1>加工原料乳に対する加工原料乳生産者補給金及び集送乳調整金の交付、<2>加工原料乳の取引価格が低落した場合の補塡金の交付等の対策

b肉用牛関係では、<1>肉用子牛対策として、子牛価格が保証基準価格を下回った場合に補給金を交付する肉用子牛生産者補給金制度、<2>肉用牛肥育対策として、標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に交付金を交付する肉用牛肥育経営安定交付金(牛マルキン)

c養豚関係では、標準的販売価格が標準的生産費を下回った場合に交付金を交付する肉豚経営安定交付金(豚マルキン)

d養鶏関係では、鶏卵の取引価格が補塡基準価格を下回った場合に補塡金を交付するなどの鶏卵生産者経営安定対策事業

(イ)飼料価格高騰対策

配合飼料価格の大幅な変動に対応するための配合飼料価格安定制度を適切に運用するとともに、国産飼料の増産や農場残さ等の未利用資源を飼料として利用する取組等を推進しました。

(ウ)新型コロナウイルス感染症対策

a酪農等の従事者に新型コロナウイルス感染者が発生した際の対応や事業継続を図る際の基本的なポイントをまとめたガイドラインを取りまとめ、公表しました。

b酪農家が学校給食用のために納入を予定していた生乳をバター・脱脂粉乳等の乳製品向けに販売する場合に、既存の加工原料乳生産者補給金を活用してもなお生じる価格差及び加工施設への輸送費を支援しました。

また、脱脂粉乳の保管余力がないために既存在庫を飼料用に用途変更して販路を拡大する場合に要する経費や、既に生産してしまった学校給食用生乳をやむを得ず廃棄した場合の処分費用を支援しました。

(3)実需者ニーズ等に対応した園芸作物等の供給力の強化

ア 野菜関係対策

(ア)野菜の生産・出荷の安定と消費者への安定供給を図るため、価格低落時における生産者補給交付金の交付等により、野菜価格安定対策を的確かつ円滑に実施しました。

(イ)加工・業務用野菜への転換に取り組む産地に対し、加工・業務用野菜の安定生産に必要な作柄安定技術の導入を支援するとともに、水田地帯において水稲から野菜等の園芸作物への転換を図り、実需者等の関係者と連携して取り組む新しい園芸産地の育成を推進しました。あわせて、加工・業務用需要に対応したサプライチェーンの構築に加えて、加工・業務用野菜の生産を加速化するための新技術・機械化の導入等について支援しました。

(ウ)燃油価格の高騰の影響を受けにくい経営構造への転換を進めるため、省エネルギー化等に取り組む産地に対し、燃油価格高騰時のセーフティネットの構築を支援しました。

イ 果樹関係対策

(ア)果樹の生産・供給体制を強化するため、農地中間管理機構の活用等による担い手への園地集約・集積の推進、優良品目・品種への改植やそれに伴う未収益期間に対する支援とともに、労働生産性の向上に向けた取組等への支援を行いました。

また、省力樹形の導入とそれに必要となる苗木生産体制の構築のための取組を支援しました。

(イ)計画生産・出荷の推進や需給安定対策、契約取引の強化や加工原料供給の安定化を図るための加工流通対策を総合的に行いました。

ウ 花き関係対策

「花きの振興に関する法律」(平成26年法律第102号)に基づき、以下の施策を実施しました。

(ア)国産花きの生産拡大等を図り、花き産業が成長産業となるよう、戦略品目を設定し、品目ごとの生産・需要状況等の特徴に応じて、花き産業関係者が一体となった生産から流通・消費拡大に至る一貫した取組を支援しました。

(イ)我が国が世界に誇る高品質な花きの輸出拡大を図るため、最大の輸出先である中国で開催された中国・北京国際園芸博覧会に政府出展し、国産花きの競争力強化を図りました。

(ウ)新型コロナウイルス感染症の影響で需要が減少している花きの消費拡大を図るため、家庭や職場での花飾りや花の購入を促進する「花いっぱいプロジェクト」の取組を実施しました。

エ 茶関係対策

茶の新需要開拓や高付加価値化に向け、実需者ニーズに即した新たな茶商品の生産・加工技術や機能性成分等の特色を持つ品種の導入、有機栽培への転換、てん茶栽培に適した棚施設を利用した栽培法への転換や直接被覆栽培への転換、新たな抹茶加工技術の実証、残留農薬分析等を支援しました。

オ 砂糖及びでん粉関係対策

「砂糖及びでん粉の価格調整に関する法律」(昭和40年法律第109号)に基づき、さとうきび・でん粉原料用かんしょ生産者及び国内産糖・国内産いもでん粉の製造事業者に対して、経営安定のための支援を行いました。

(4)需要拡大が見込まれる有機農産物や薬用作物の生産拡大

ア 有機農産物関係対策

有機農業の面的拡大と有機農業により生産された農産物の安定的な供給体制を構築するため、有機農業者のネットワーク構築や実需者との意見交換等のオーガニックビジネス実践拠点づくり、販売戦略の企画・提案、地方公共団体間のネットワーク構築等を支援しました。

また、有機食品の輸出を促進するため、有機JAS認証の取得を推進するとともに、諸外国との有機同等性の取得等を推進しました。

イ 薬用作物関係対策

薬用作物の産地形成を加速化させるため、地域の取組として、産地と実需者(漢方薬メーカー等)とが連携した栽培技術の確立のための実証ほの設置、省力化のための農業機械の改良及び収穫まで複数年を要する薬用作物の新植を支援しました。

また、全国的な取組として、事前相談窓口の設置や技術アドバイザーの派遣等の栽培技術の指導体制の確立に向けた取組を支援しました。



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