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農林水産省

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(4)農林水産業・食品産業関係における対応 ア 緊急経済対策等の実施


(ア)農林漁業者等の経営継続支援

(畜産農家の経営改善等を支援)

枝肉価格の低下による畜産農家の経営悪化への懸念に対応するため、畜産農家等が行う経営の体質強化に資する取組や、コスト低減等の取組を支援し、畜産物の生産継続や安定的な供給を図りました。

また、脱脂粉乳やバターの在庫の増加により生乳の需給調整が困難となる懸念に対応するため、在庫が高水準にある脱脂粉乳やバターを需要がある分野で活用する取組を支援し、生乳の需給調整機能の維持を図りました。

(高収益作物の次期作に前向きに取り組む農業者に必要な経費を支援)

需要の減少による花き、茶、野菜、果樹等の高収益作物の価格の低下等による影響に対応するため、高収益作物の次期作に前向きに取り組む農業者に対し、種苗等の資材購入や機械レンタル等を支援するとともに、新たな品種や栽培技術の導入の取組のための支援を行いました。また、花きや茶等の高品質なものを厳選して出荷する取組のための支援を行いました。

(農林漁業者や食品関連事業者の事業継続・資金繰りを支援)

経営に深刻な影響が生じた農林漁業者や食品関連事業者の資金繰り等への不安による事業継続に向けた懸念に対応するため、農林漁業者が感染拡大防止対策を行いつつ、販路の回復・開拓や事業を継続・転換するための機械・設備の導入、人手不足解消の取組に対して支援を行いました。

また、農林漁業者の資金繰りに支障が生じないよう、農林漁業セーフティネット資金において、貸付限度額の引上げや要件緩和、償還期限の5年延長等を措置するとともに、同資金を始めとする各種制度資金の融資について、貸付当初5年間の実質無利子化や無担保化等を措置することにより、農林漁業者の更なる資金需要に対応しました(図表 特-46)。

このほか、厳しい経営環境に置かれている外食事業者の経営安定に必要な運転資金の円滑な融通や、食品流通事業者等が行う品質管理の高度化等の施設整備等の取組を支援するとともに、経営に大きな影響を受けている事業者に対して、事業の継続を支えるため、1か月の売上げが前年同月比50%以上減少している事業者を対象に事業全般に広く使える、給付金等の支援を行いました。

図表 特-46 農林漁業者への資金繰り支援策

(輸入農畜産物の国産への切替え、国産農畜産物の継続的・安定的な供給のための体制整備を支援)

安定的な輸入への不安に伴う国産ニーズの増大や、外食から家庭食へのシフト等の新たな需要が顕在化しました。これらに対応した体制を整備するため、産地や実需者等サプライチェーンの各主体の連携による輸入農畜産物から国産への切替え、国産農畜産物の継続的・安定的な供給を図るための野菜等のカット、冷凍、安定出荷等に必要な施設の整備・改修等を支援しました。

(イ)農林漁業者等の販売促進と国産農林水産物の消費拡大支援

(牛乳乳製品の消費拡大の呼びかけ(プラスワンプロジェクト))

小中学校の休校に伴う学校給食向け牛乳需要の消失や、商業施設の休業等による牛乳や乳製品の消費の減少に対応するため、消費者へ牛乳やヨーグルトを普段より1本多く消費することを推進する「プラスワンプロジェクト」を令和2(2020)年4月から開始し、協力を呼びかける動画をYouTubeに投稿しました。

このプロジェクトにより、多くの協力を得た結果、プロジェクト開始から同年6月までの間に、家庭での牛乳類の消費が増加し、行き場のない生乳を発生させることなく、牛のライフサイクル上、生乳を多く出す時期であり、全国の生乳生産が最も多くなる5月から6月の期間を乗り切ることができました。6月以降は、プラスワンプロジェクトセカンドステージとして、在庫が高水準となった脱脂粉乳を原料に使っている乳製品を中心に、アイスクリームは1日1個、ヨーグルトやチーズは普段より1個多く消費することを推進しました。

プラスワンプロジェクトのポスター

プラスワンプロジェクトのポスター

プラスワンプロジェクトの人気YouTuberはるあんとのコラボ動画

プラスワンプロジェクトの人気
YouTuberはるあんとのコラボ動画

(花の利用拡大のための支援や取組(花いっぱいプロジェクト))

卒業式の中止やイベントの自粛等の影響等による花きの需要の減少に対応するため、公共施設等における花きの利用を拡大する取組を支援するとともに、メディア・SNS等を活用した取組の横展開により、生け花等、日常生活での花きの定着を図りました。

また、令和2(2020)年3月に「花いっぱいプロジェクト」を立ち上げ、家庭や職場に春の花を飾って楽しんでもらうよう、地方公共団体や関係団体に協力を呼びかけました。

この取組の一環として、ホワイトデーに花を贈る呼びかけを行う取組や、胸ポケットに生花のコサージュを挿す取組等について、農林水産省の公式YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」と「花いっぱいプロジェクト」がコラボした動画の公開等を通じて、花きの消費拡大に取り組みました。なお、令和3(2021)年1月には、取組をリニューアルし、新たに「花いっぱいプロジェクト2021」を開始しました。

農林水産省正面玄関前に飾られた花々

農林水産省正面玄関
前に飾られた花々

大臣記者会見室に飾られた花々

大臣記者会見室に飾られた花々

(国産農林水産物等(日本酒、焼酎等の加工品を含む。)の販売促進、販路の多様化の取組を支援)

#元気いただきますプロジェクトのロゴマーク

#元気いただきます
プロジェクトのロゴマーク

和牛肉の販売促進の支援を活用して提供された学校給食

和牛肉の販売促進の支援を
活用して提供された学校給食

訪日外国人旅行者の大幅な減少、輸出の停滞や外食需要の減少等によるインバウンド需要や外食需要への依存が大きい品目の出荷量、売上げの減少や価格の下落等の影響に対応するため、第1次補正予算において、特に影響が顕著な牛肉、花き、果物、林水産物等について、学校給食、こども食堂での食育活動のほか、飲食店がデリバリー等に取り組む際に使用する食材費や、インターネット販売を行う際の送料等、農林漁業団体等が行う販売促進の取組に対して幅広く支援しました。

この対策全体を「#(ハッシュタグ)元気いただきますプロジェクト」とし、女優の広瀬(ひろせ)すずさんを起用したテレビCMや季節のイベントに合わせたキャンペーン等を実施し、国産農林水産物等を食べて生産者を応援することを呼びかけました。

また、第3次補正予算においては、対象品目の限定をすることなく、日本酒や焼酎等の加工品も含め、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた国産農林水産物等を対象とした上で、第1次補正予算と同等の支援を行うこととしました。

このほか、新たな販売先の開拓や新たな販売方法に取り組む食肉卸売事業者に対し、販売実績に応じて冷凍保管経費等を支援するとともに、奨励金を交付することで、和牛肉の円滑な流通を図りました。

(農林水産物・食品の輸出の維持・促進の取組を支援)

オンラインを通じた商談(中国国際輸入博覧会)

オンラインを通じた商談
(中国国際輸入博覧会)

資料:JETRO

海外における外食需要の低迷や商談機会の喪失等による、国産農林水産物・食品の輸出が減少する等の影響に対応し、家庭食の輸出増加や新規・有望市場でのシェア獲得等、輸出の維持・促進を図るため、物流に対する支援や、食品製造設備等の整備・導入への支援を行いました。

また、海外での見本市や商談会等の開催が延期・中止となる中で、輸出に取り組む事業者と海外バイヤーのマッチングを推進するため、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)によるオンライン商談会の実施やバーチャル見本市への出展等を支援しました。

さらには、戦略的輸出事業者と産地が連携して取り組む日本産コメ・コメ加工品の海外需要開拓・プロモーションを支援しました。

(フードバンクを通じた未利用食品のこども食堂等へ提供の取組を支援)

小中学校の休校等により学校給食で活用する予定であった食品・食材等が未利用となり、廃棄される懸念に対応するため、食品ロス削減の観点から、食品関連事業者において発生した未利用食品の情報を集約し、全国のフードバンク(*1)に対して一斉に発信する取組を行うとともに、食品関連事業者において発生した未利用食品をフードバンクに寄附する際の輸配送費やフードバンクの受入能力の向上に必要となる一時保管用倉庫、運搬車両等の賃借料を支援しました。

これらの取組を通じて、未利用食品のフードバンクを通じたこども食堂等への提供を促進し、未利用食品の有効活用を図りました。

*1 用語の解説3(1)を参照

(飲食店の需要喚起のための支援)

インバウンド需要の大幅な減少や外出自粛等による、飲食店の売上げの減少等の甚大な影響に対応するため、観光業、運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業等を対象とした官民一体型の需要喚起キャンペーン(「Go Toキャンペーン」)の一環として、令和2(2020)年10月から感染予防対策に取り組みながら営業している飲食店及び食材を供給する農林漁業者を支援する「Go To Eatキャンペーン」を実施し、飲食店の需要喚起を図りました。

(日本酒の原料となる酒造好適米の需要回復・拡大の取組等への支援)

日本酒については、インバウンド、輸出、国内業務用需要の減少による販売量の減少、在庫の滞留等の影響に対応するため、日本酒の需要回復・拡大の取組への支援を実施するとともに、日本酒の原料となる酒造好適米の保管経費等の支援対象期間を拡充しました。

(コラム)Go To Eat キャンペーン

Go To Eatキャンペーンの概要

Go To Eatキャンペーンの概要

資料:農林水産省作成

Go To Eatキャンペーンのプレミアム付食事券

Go To Eatキャンペーンのプレミアム付食事券

農林水産省では、感染予防対策に取り組みつつ営業を継続している飲食店の需要を喚起し、食材を供給する農林漁業者も応援するため、令和2(2020)年10月から「Go To Eatキャンペーン」を実施しました。

Go To Eatキャンペーンでは、(1)地域の飲食店で使えるプレミアム付食事券の発行や、(2)オンライン飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対し、次回以降に飲食店で使用できるポイントの付与を実施しました。

キャンペーン実施以降、飲食業の売上げは一時的に回復傾向となりましたが、新型コロナウイルス感染症の再拡大等により再び減少傾向となっています。

また、令和3(2021)年1月に緊急事態宣言が再度発出された1都3県、大阪府、兵庫県を含む多くの都道府県においては、各地域の感染状況を踏まえ、プレミアム付食事券の販売の一時停止等を行っています。

農林水産省は、徹底した換気、客と客の間の適度な間隔、消毒液の設置等、飲食店向けガイドラインの遵守の徹底等について注意喚起しつつ、都道府県が感染状況を見極めながらキャンペーン再開の検討を進められるよう、緊密に連携し、対応しています。

(ウ)農林漁業者等の労働力確保支援

(入国制限等による人手不足を解消するための労働力の確保を支援)

入国制限措置の影響で、来日を予定していた外国人材の入国の見通しが立たなくなることによる、農林水産業や食品産業の現場での人手不足の懸念に対応するため、人手不足となった農業経営体が代替人材を雇用する際の掛かり増し経費や研修を受ける際の活動費等を支援するとともに、人材の募集、情報発信、マッチングの費用等を支援し、人手不足の解消と農業生産の維持を図りました。

また、人手不足の影響を受ける品目・地域を対象に、強い生産基盤を構築するため、農業高校等と連携し、スマート農業技術の実証を実施しました。

アスパラガスの自動収穫ロボット

アスパラガスの自動収穫ロボット

農薬散布ドローンの操縦講習会に臨んだ農業高校等の学生たち

農薬散布ドローンの操縦講習会
に臨んだ農業高校等の学生たち



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