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第1節 田園回帰の動向


中山間地域(*1)を始めとする農村では、高齢化・人口減少が進行している一方で、近年、「田園回帰」による人の流れが全国的な広がりを持ちながら継続しており、農村の持つ価値や魅力が再評価されています。新型コロナウイルス感染症の感染拡大も、地方移住への関心の高まりを後押ししていると考えられます。

本節では、このような中での農村の現状と田園回帰の動向について紹介します。

*1 用語の解説2(7)を参照

(農村では高齢化・人口減少が都市に先駆けて進行)

国土の大宗を占める農村は、国民に不可欠な食料を安定供給する基盤であるとともに、農業・林業など様々な産業が営まれ、多様な地域住民が生活する場でもあり、さらには、国土の保全や水源の涵養(かんよう)など多面的機能(*1)が発揮される場でもあることから、その振興を図ることが重要です。

一方、農村において、高齢化・人口減少が都市に先駆けて進行しており、農村の高齢化率は令和2(2020)年時点で35.0%であり、都市部よりも20年程度先行しています(図表3-1-1)。農村の人口における65歳以上の割合を都道府県別に見ても、平成22(2010)年では全ての都道府県が35%未満でしたが、令和2(2020)年では35%以上が27都道府県となっており、高齢化が進行していることがうかがえます(図表3-1-2)。

図表3-1-1 農村・都市部の人口と高齢化率

データ(エクセル:35KB / CSV:4KB

図表3-1-2 農村における65歳以上の人口の割合(都道府県別)

また、我が国の令和2(2020)年の農業地域類型別の人口は、都市的地域(*2)で1億85万人、平地農業地域(*3)で1,086万人、中間農業地域(*4)で984万人、山間農業地域(*5)で311万人と推計され、約8割が都市的地域に集中している状況です(図表3-1-3)。さらに、平成22(2010)年から令和2(2020)年までの10年間の人口の推移について、都市的地域では横ばいですが、平地農業地域では9%、中間農業地域では14%、山間農業地域では20%減少しており、中山間地域では都市的地域に先行して人口減少が進んでいることがうかがえます。

図表3-1-3 農業地域類型別の人口の推移(推計)

データ(エクセル:29KB / CSV:1KB

*1 用語の解説4を参照

*2~5 用語の解説2(7)を参照

(若い世代等を中心に田園回帰の動きも拡大傾向)

地方暮らしやUIJターンを希望する人のための移住相談を行っているNPO法人(*1)ふるさと回帰支援(かいきしえん)センター(以下「ふるさと回帰支援センター」という。)への相談件数は、近年増加傾向で推移しています。令和3(2021)年の相談件数は前年から29%増加し、過去最高の4万9,514件となりました(図表3-1-4)。相談者について年齢階層別に見ると、近年は20代から30代までの問い合わせの割合が約半数で推移しています(図表3-1-5)。

図表3-1-4 ふるさと回帰支援センターへの来訪者・問い合わせ数

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図表3-1-5 年代別のふるさと回帰支援センター利用者割合

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また、総務省の「住民基本台帳人口移動報告」を見ると、東京圏からの年齢階層別の転出者数は、15~29歳と50歳以上では増加傾向で推移しています(図表3-1-6)。さらに、令和3(2021)年6~8月に内閣府が行った調査によると、都市住民の26.6%が農山漁村地域へ移住願望が「ある」、「どちらかというとある」と回答しています(図表3-1-7)。年齢階層別の割合を見ると、18~29歳で37.3%、50~59歳で34.5%と高くなっています。

これらのことから、若い世代や50代を中心に、気候、自然に恵まれたところや都会の喧噪(けんそう)から離れた静かなところで暮らしたいという田園回帰の意識が高まっていることがうかがわれます。新型コロナウイルス感染症の感染拡大によりテレワークが普及していること等も、地方移住への関心の高まりを後押ししていると考えられます。

図表3-1-6 東京圏の年齢階層別転出者数

データ(エクセル:30KB / CSV:2KB

図表3-1-7 都市住民の農山漁村地域への移住願望の有無

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*1 用語の解説3(2)を参照



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