はじめに
「令和5年度食料・農業・農村の動向」(以下「本報告書」という。)は、食料、農業及び農村の動向並びに食料、農業及び農村に関して講じた施策に関する報告として、また、「令和6年度食料・農業・農村施策」は、動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書として、食料・農業・農村基本法に基づき、毎年、国会に提出しているものです。
昨今の食料や農業生産資材の価格高騰を始め、気候変動による食料生産の不安定化、世界的な人口増加等に伴う食料争奪の激化、国際情勢の不安定化等により、いつでも安価に食料を輸入できるわけではないことが明白となるなど、近年の世界及び我が国の食をめぐる情勢は、大きく変化しています。一方、国内に目を向ければ、国内の人口全体が減少局面に転じ、生産者の減少・高齢化も進んでおり、将来にわたって持続可能で強固な食料供給基盤を構築することが急務となっています。令和5(2023)年度においては、農政の憲法とも言われる食料・農業・農村基本法の制定から四半世紀が経過する中で検証が行われ、食をめぐる情勢の変化等に対応した見直しを行うべく、第213回通常国会に「食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律案」を提出しました。
このような背景を踏まえ、本報告書では、冒頭の特集において、「食料・農業・農村基本法の検証・見直し」と題し、基本法見直しの経緯、基本法制定後の情勢の変化と今後20年を見据えた課題、食料・農業・農村政策の新たな展開方向等について記述しています。
また、トピックスでは、令和5(2023)年度における特徴的な動きとして、「食料安全保障の強化に向け、構造転換対策や地域計画の策定を推進」のほか、「「物流の2024年問題」への対応を推進」、「農業分野におけるカーボン・クレジットの取組拡大を推進」、「令和6年能登半島地震への対応を推進」等の七つのテーマを取り上げています。
特集、トピックスに続いては、食料、農業及び農村の動向に関し、食料自給率の動向や円滑な食品アクセスの確保等を内容とする「食料安全保障の確保」、みどりの食料システム戦略の推進等を内容とする「環境と調和のとれた食料システムの確立」、担い手の育成・確保や主要な農畜産物の生産動向等を内容とする「農業の持続的な発展」、農村人口の動向や農村における活力の創出等を内容とする「農村の振興」の四つの章立てを行い、記述しています。また、これらに続けて、「災害からの復旧・復興や防災・減災、国土強靱(きょうじん)化等」の章を設け、東日本大震災や大規模自然災害からの復旧・復興、令和5(2023)年度に発生した災害の状況と対応等について記述しています。
本報告書の記述分野は多岐にわたりますが、統計データの分析や解説だけでなく、全国各地で展開されている取組事例等を可能な限り紹介し、写真も交えて分かりやすい内容とすることを目指しました。また、QRコードも活用し、関連する農林水産省Webサイト等を参照できるようにしています。本報告書を通じて、我が国の食料・農業・農村に対する国民の関心と理解が一層深まることを期待します。
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