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農林水産省

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【開催報告】「再生型農業・持続可能な農地土壌保全に貢献する革新的な日本の技術 ・アプローチに関するワークショップ」の開催

~2026年UNCCD COP17に向け、
官民パートナーシップ(private-public partnership)による国際展開をキックオフ~

ポイント

農林水産省は、2026年3月12日(木曜日)、地球規模の課題である土壌劣化や気候変動に対処するため、「再生型農業・持続可能な農地土壌保全に貢献する革新的な日本の技術・アプローチに関するワークショップ」を開催しました。

本ワークショップには、国内の先進的な企業や研究機関に加え、国連環境計画(UNEP)、国連開発計画(UNDP)、国連工業開発機関(UNIDO)、国連砂漠化対処条約(UNCCD)事務局をはじめとする主要な国際機関の代表者が一堂に会しました。そして、我が国の革新的な技術を途上国の現場へどのように展開していくか、活用可能なスキームを含めた、極めて実践的かつ建設的な議論が行われました。

今後も、本年8月にモンゴルで開催される国連砂漠化対処条約(UNCCD)第17回締約国会議(COP17)でのサイドイベント開催などの機会も活用しつつ、本邦技術の世界展開を官民一体で目指していく予定です。

1.背景:なぜ今、再生型農業(regenerative agriculture)と土壌保全(soil conservation)なのか?

農地土壌の保全を含む土地劣化対策(SDGs目標15「陸の豊かさも守ろう」)は、アフリカ・中南米・東南アジアを含む世界各地において喫緊の重要な課題となっています。持続可能な土地管理(SLM: Sustainable Land Management)は、気候変動緩和と生物多様性保全の双方に直接的に貢献する「結節点」として、国際的な注目が急激に高まっています。

2024年にサウジアラビアで開催されたUNCCD COP16では、農地土壌の保全促進が勧奨され、本年8月のCOP17(モンゴル)でその進捗を議論することが決定しました。また、2025年の第7回国連環境総会(UNEA7)においても、UNEPの中期戦略(2026年~2029年)において土地劣化対策の推進が重点計画の一つに位置づけられるなど、国際社会の動きは加速しています。

我が国には、世界各地の農業生産現場で普及可能性の高い、土壌保全(soil conservation)に資する有望な技術・製品が数多く存在します。国際的な議論や新たな国際協力案件の形成が活発化する現在は、各国や国際機関と連携してプロジェクトを主導し、我が国の発言力強化と技術展開を図る好機となります。

2. ワークショップの概要と参加者

  • 日時: 2026年3月12日(木曜日)15時00分~17時50分

  • 形式: 農林水産省会議室及びオンラインのハイブリッド開催

  • 主な参加機関:計20名以上

    • 関係省庁: 農林水産省、外務省、環境省

    • 研究機関: 鳥取大学 国際乾燥地研究教育機構、国際農林水産業研究センター(JIRCAS)

    • 日本企業: Sagri株式会社、株式会社TOWING、味の素株式会社、株式会社エックス都市研究所(事務局)

    • 国際機関: UNEP、UNIDO、UNCCD、UNDP、WOCAT事務局(the World Overview of Conservation Approaches and Technologies:SLM技術や手法に関するデータベースを運営)


当日は、官・民・学・国際機関のキーパーソンが参加し、各技術のプレゼンテーションから、途上国の現場への導入課題、資金調達スキームに至るまで、熱気ある意見交換が行われました。


参加者の集合写真

写真1参加者の集合写真

3. 世界を変える革新的な日本の技術・アプローチ

ワークショップでは、日本発の優れた技術やアプローチについて、具体的な成果と世界的な普及状況が報告されました。

【民間企業の取組】

民間企業(ア) 株式会社TOWING:高機能バイオ炭「宙炭(そらたん)」の提供

名古屋大学発ベンチャーである同社は、多孔質なバイオ炭に有用な微生物群を定着させた「宙炭」を開発。温室効果ガス(GHG)の土壌貯留と土壌の健康改善を同時に実現し、現地のバイオマスを活用したプラント構築を通じ、グローバル企業とともに農業サプライチェーンの脱炭素化を推進。

民間企業(イ) Sagri株式会社:衛星データとAIによる農業ソリューション

岐阜大学発スタートアップの同社は、衛星データを解析し、農地の区画検出や土壌炭素のモニタリング、水田の水管理などを提供。

民間企業(ウ) 味の素株式会社:アミノサイエンスを活用した「バイオスティミュラント」

農作物からアミノ酸を製造する過程の副産物を肥料として農地へ還元するバイオサイクル(資源循環)を実践。同社のバイオスティミュラントは、植物の栄養利用効率を高め、気候変動等の環境ストレス耐性を向上させるとともに、土壌微生物や酵素を活性化し保水力を高めることで、持続可能な食料システム構築に寄与。


【研究機関の取組】

研究機関(ア) 鳥取大学 国際乾燥地研究教育機構 :土壌浸食の抑制、生産性の向上、生計改善を一体的に進める、エビデンスベースの統合的SLM実施フレームワークを開発

有効性が確認された13の技術と4つのアプローチをまとめた「SLMガイドライン」を作成。代替的な土地利用・管理オプションを示すAlternative land-use scenario mapping 、集落コミュニティ参加型の土壌侵食対策及び乳牛生産拡大のためのパッケージ、PAM(高分子凝集剤)による土壌改良、「教会の森(Church forest)」由来の土壌微生物を活用した苗木生育促進などの技術・アプローチを開発・実証。

研究機関(イ) 国際農林水産業研究センター(JIRCAS):塩害や風食に対処するシンプルで低コストな技術を開発

トラクターで作物残渣を地中に埋め込む暗渠排水技術「カットソイラー」は、土壌塩分を低下させ収量増加に貢献。また、「耕地内休閑システム」はアフリカの乾燥地で土壌侵食を抑制すると同時に、作物収量の増加にも貢献。

4.今後の発展可能性:官民パートナーシップ(private-public partnership)の深化

議論の焦点は、日本の優れた技術をいかに途上国の現場に浸透させ、社会実装していくかという点に集まりました。特に、「現地農家の意識や行動をどう変えるか」「現地のニーズをどのように発掘し、技術にどう結び付けるか」「導入資金をどう確保するか」といった実効性の高いテーマについて、活発な意見交換が行われました。

これに対し、各国際機関からは土壌保全にも応用性のある支援スキームが提示されました。

  • UNIDO:日本の優れた技術の途上国への移転を目指したデータベース「STePP(外部リンク)」の活用
  • UNDP:気候変動対応案件における農業支援の中で小規模な実証試験からの事業拡大を提案
  • UNCCD:土地保全に取り組む企業ネットワーク「Business4Land(外部リンク)」への参画

           

           


                                                  写真2当日の協議の様子


5.UNCCD COP17に向けたアクション

今回のワークショップを通じて、「再生型農業」と「土壌保全」は、一国や一企業に留まらず、官民パートナーシップ(private-public partnership)のもと社会全体で取り組むべき課題であることが再確認されました。

農林水産省は、本年8月に開催されるUNCCD COP17において、初めて本格的な参加を検討しています。本ワークショップの成果を踏まえ、関係省庁や参加企業・機関と連携し、現地での共同サイドイベントの開催も視野に入れつつ、こうした機会を活用し、日本の砂漠化対処や革新的な技術・アプローチを国際社会に発信し、具体的な国際協力プロジェクトの創出へと繋げていく予定です。

6.関連リンク

添付資料

お問合せ先

輸出・国際局国際戦略グループ

代表:03-3502-8111(内線3505)
ダイヤルイン:03-3502-8497

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