平成28年1月8日公表
農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリストについて(平成28年1月8日現在)
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1. 基本的な考え方
農林水産省は、科学に基づいた食品安全行政の推進のため、「農林水産省及び厚生労働省における食品の安全性に関するリスク管理の標準手順書」(平成17年8月25日公表、以下「標準手順書」という。)を作成し、この標準手順書に記述された標準的な作業手順(危害要因に関する情報の収集・分析、データの作成、優先度の検討、リスク評価の諮問、施策の検討・決定に当たり考慮すべき事項等)に従ってリスク管理を実施している。
標準手順書に基づき、収集した食品安全に関わる情報や、消費者、食品事業者など関係者の意見をもとに、今後農林水産省が優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質を以下のとおり選定した。
2. 対象とする危害要因の分類
(1) 現時点における科学的知見に基づいて、「食品安全の確保」を主眼としつつ、「関係者の関心」、「国際的動向」を考慮に入れた上で、別途定める基準(別紙)により、農林水産省の所掌範囲でリスク管理が実施できるものを選定した。
(2) 対象とする危害要因は、以下の3区分に分類した。
ただし、ある危害要因が複数の食品群・飼料(以下、「食品群等」という)に含まれ、食品群等によって取り組む内容が異なる場合、便宜上、代表的な食品群における取組事項・状況に対応する分類に位置づけた。
1) リスク管理措置の必要性を検討するとともに、必要かつ実行可能な場合にリスク管理措置を実施するため、含有実態調査、リスク低減技術の開発等を行う必要のある危害要因
(注) リスク管理措置の必要性の検討は、摂取寄与が高いと考えられる食品を中心に詳細な実態を調査し、予備的リスク推定を行う。国際的なリスク評価又は国内におけるリスク評価で得られた毒性指標値等を参考にする。
リスク管理措置の実行可能性の検討は、リスク管理の標準手順書「5. リスク管理措置の策定」に基づき、発生する可能性がある他のリスク、技術面、財政面での実行可能性、リスクと便益との関係等を検討する。
2) 危害要因の毒性や含有の可能性等の関連情報を収集する必要がある危害要因
(注) 含有の可能性等の関連情報を収集し、どのようなデータが不足するか検討し、必要に応じ、含有実態の調査や研究を行う。当該食品の我が国における消費量が多いなど人の健康へのリスクが大きいと想定される場合には、リスク管理措置の必要性の検討のため、詳細な実態調査を進める。
3) 既にリスク管理措置を実施している危害要因
(注) 農林水産省が、汚染低減のための指針の策定など何らかの措置を実施しているものが該当する。各種情報収集を継続する。また、リスク管理措置を実施した結果、有害化学物質の濃度が低く保たれているか等、最新の実態に基づき当該措置の有効性を検証し、必要に応じ措置を見直す。
3. 優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質のリスト
1) リスク管理措置の必要性を検討するとともに、必要かつ実行可能な場合にリスク管理措置を実施するため、含有実態調査、リスク低減技術の開発等を行う必要のある危害要因
- 一次産品に含まれる危害要因
(環境中に存在する危害要因)
カドミウム、ヒ素
(かび毒)
総アフラトキシン※
(※)総アフラトキシンは、アフラトキシンB1、B2、G1、G2を指す。
(植物に含まれる自然毒)
ピロリジジンアルカロイド類
- 調理、加工などで生成する危害要因
フラン
2)危害要因の毒性や含有の可能性等の関連情報を収集する必要がある危害要因
- 一次産品に含まれる危害要因
(環境中に存在する危害要因)
鉛、ダイオキシン類(コプラナーPCB含む)
(かび毒)
オクラトキシンA、フモニシン類、ゼアラレノン、タイプAトリコテセン類※、ステリグマトシスチン
(※)タイプAトリコテセン類は、T-2トキシン、HT-2トキシン、ジアセトキシスシルペノールを含む。
(海産毒)
シガテラ毒
- 調理、加工などで生成する危害要因
3) 既にリスク管理措置を実施している危害要因
- 一次産品に含まれる危害要因
(環境中に存在する危害要因)
水銀(総水銀及びメチル水銀)、農薬として使用された履歴のある残留性有機汚染物質※、放射性セシウム
(※)現在は使用されていないが、過去に農薬として使用され環境中に放出され残留性のある化学物質として、BHC(リンデンを除く)、DDT、アルドリン、ディルドリン、エンドリン、エンドスルファン、クロルデン、ヘプタクロル、リンデン、ペンタクロロフェノールを含む。
(かび毒)
アフラトキシンM1、タイプBトリコテセン類※、パツリン
(※)タイプBトリコテセン類は、デオキシニバレノール(DON)、ニバレノール(NIV)及びそれらのアセチル体を含む。
(海産毒)
下痢性貝毒、麻痺性貝毒
- 調理、加工などで生成する危害要因
3-MCPD、アクリルアミド、多環芳香族炭化水素類(PAHs)、ヒスタミン
4. 留意事項
(1) 優先的にリスク管理を行うべき有害化学物質及びその分類について、リスク管理の進展に応じ随時見直しを行う。
(2) 3 1)及び2)の有害化学物質について、各種情報収集や予備的リスク推定の結果、日本人に対する健康上の影響が無視できるほど小さく、特段のリスク管理措置が不要と判断した場合、優先的にリスク管理を行う有害化学物質のリストから除く。
(3) 3 3)の有害化学物質について、リスク管理措置を実施した結果、日本人に対する健康上の影響が無視できるほど小さくなったと判断される場合は、当該リスク管理措置を継続するか検討する。リスク管理措置を継続しなくてもリスクが十分低くなった場合には、優先的にリスク管理を行う有害化学物質のリストから除く。
(4) 優先的にリスク管理を行う有害化学物質のリストに掲載していない有害化学物質についても、国内外の動向や研究の進展等について、関連情報の収集を可能な範囲で実施する。
関連情報
- リストの見直し時のプレスリリース
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課
担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4453)
ダイヤルイン:03-6744-2135