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国際がん研究機関(IARC)の概要とIARC発がん性分類について

更新日:令和5年12月6日

国際がん研究機関(IARC)の概要

国際がん研究機関(International Agency for Research on Cancer, IARC)は、世界保健機関(WHO)のがん専門の機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的として活動しています。

IARC発がん性分類について

IARCは、主に、人に対する発がん性に関する様々な物質・要因(作用因子)を評価し、4段階に分類しています。IARCによる発がん性の分類は、人に対する発がん性があるかどうかの「証拠の強さ」を示すものです。物質の発がん性の強さや暴露量に基づくリスクの大きさを示すものではありません。

同じ分類に割り当てられた物質であっても、暴露の種類と程度など、他の要因によってリスクが大きく異なる場合があります。IARCは、分類されていない物質については、非発がん性もしくは総合的な安全性の判断を推し量ることができない、としています。

また、重要な科学的証拠が追加された場合、分類が再評価されることがあります。

表・IARCによる発がん性の分類(出典:IARC Monographs on the Identification of Carcinogenic Hazards to Humans(PDF:353KB)(外部リンク))

グループ1
(128種類※)
ヒトに対して発がん性がある。
(Carcinogenic to humans)
例)アフラトキシン、アルコール飲料、加工肉、ベンゼン、ベンゾ[a]ピレン、PFOA(パーフルオロオクタン酸)等

このカテゴリーは、ヒトにおいて「発がん性の十分な証拠」がある場合に適用される。
また、「暴露を受けたヒトにおいて作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」があり、かつ実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある場合はこのカテゴリーに分類される可能性がある。
グループ2A
(95種類※)
ヒトに対しておそらく発がん性がある。
(Probably carcinogenic to humans)
例)アクリルアミド、亜硝酸塩、非常に熱い飲み物、レッドミート等

このカテゴリーは一般的に、発がん性評価のワーキンググループが下した評価が、以下のうち少なくとも2つを含み、その中に暴露を受けたヒトまたはヒトの細胞もしくは組織のいずれかに係るものを少なくとも1つ含む場合に適用される。
ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」がある
実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある
・「作用因子が発がん性物質の主要な特性を示す有力な証拠」がある

※ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」があるとは、物質への暴露とがんの発生との間に関連性が認められているが、偶然性、バイアスまたは交絡因子を排除することが出来ていない状態のこと。

ヒトにおける「発がん性の証拠が不十分」な場合は、「ヒトの細胞もしくは組織における作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」がなければならない。
また、「ヒトにおける発がん性の限定的な証拠」がある場合は、他の独立した実験系からの評価(例:実験動物における「発がん性の十分な証拠」または「実験系における作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」)があれば、この区分に分類される場合がある。
実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位で存在する場合は、追加の検討を行う。具体的には、全体としてグループ2Aに区分するために、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」として評価できるか検討する必要がある。
以上とは別に、「作用因子が、その作用機序からみて、1つ以上の作用要因がグループ1またはグループ2Aに分類されている一群の作用因子に属する有力な証拠」がある場合にも、このカテゴリーが適用される。
グループ2B
(323種類※)
ヒトに対して発がん性がある可能性がある。
(Possibly carcinogenic to humans)
例)アスパルテーム、漬けもの、鉛、わらび、PFOS(パーフルオロオクタンスルホン酸)等

このカテゴリーは一般的に、発がん性評価のワーキンググループが下した評価が、以下のうちいずれか1つのみを含む場合に適用される。

ヒトにおいて「発がん性の限定的な証拠」がある
実験動物において「発がん性の十分な証拠」がある
・「作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」がある

このカテゴリーは、暴露を受けたヒトまたはヒトの細胞もしくは組織への有力な作用機序の証拠については要求されず、実験動物を用いた発がん性試験のみに由来する証拠や、実験系において「作用因子が発がん性物質の重要な特性を示す有力な証拠」だけで適用される。
グループ2A同様、「実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位で存在する場合は、追加の検討を行う。具体的には、全体としてグループ2Bに区分するために、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」として評価できるか検討する必要がある。
グループ3
(500種類※)
ヒトに対する発がん性について分類できない。
(Not classifiable as to its carcinogenicity to humans)
例)コーヒー、マテ茶等

他のグループに分類できない作用因子は一般にこのカテゴリーに分類される。
また、実験動物における発がん性の作用機序がヒトでは作用しないという有力な証拠」が1つ以上の腫瘍部位について存在し、残りの腫瘍部位が、「実験動物における十分な証拠」とは評価されず、かつヒトにおける研究や作用機序の研究に由来するデータから、他のカテゴリーに分類することが適当でない場合も含む。
グループ3の評価は、発がん性がないことまたは全体として安全であることを断定するものではない。多くの場合は、作用因子が未知の発がん性をもつ可能性や、研究の著しい不足があることを意味している。
ヒトと実験動物の両方において「発がん性がないことを示唆する証拠」、あるいは、ヒトのがんに関連する試験法による発がんの作用機序を否定する有力な証拠により補完される実験動物において「発がん性がないことを示唆する証拠」を通じ、作用因子が発がん活性を示さないと示唆される場合には、ワーキンググループは、作用因子について十分に研究され、かつ発がんの証拠がないものとする一文を評価に追加することができる。
※2023年12月時点の種類です



<参考解説>

<参考リンク>

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:リスク管理企画班
代表:03-3502-8111(内線4459)
ダイヤルイン:03-3502-7674

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