INTERVIEW04
株式会社伊賀の里モクモク手づくりファームさんは、今年(平成30年)に30周年を迎え、様々な手づくり体験学習やものづくりを提供している年間約30万人が訪れる観光農園です。 農園内のイチゴ、トマトの生産施設に木質ペレットを燃料とした木質バイオマス暖房機を導入し、J-クレジット制度が始まって間もない平成26年5月にJ-クレジットのプロジェクトとして登録され、平成27年12月には、クレジット認証を受けています。 そこで、プロジェクトの実施状況などについてお話をお聞きしました。
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■東日本大震災を契機に環境に配慮した農産物の生産を検討
- J-クレジット制度に参画するきっかけは何だったのでしょうか?
(モクモク手づくりファーム) 東日本大震災後、環境に配慮した施設で農産物を生産したいという考えがありました。 当時、活用できる補助金があり、市内に木質ペレット製造会社があったことから、ペレット用の木質バイオマス暖房機を導入することを計画しました。 具体的には、農林水産省の「強い農業づくり交付金」及び「森林整備加速化・林業再生事業」を活用し、トマトハウス2施設、イチゴハウス2施設にそれぞれ1機ずつ木質バイオマス暖房機を導入しました。 その際、暖房機メーカーの方から、J-クレジット制度の話をお聞きしたことがきっかけとなり、支援機関の協力を得て、計画書を作成し、J-クレジット制度のプロジェクトとして登録しました。
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(株)伊賀の里モクモク手作りファーム 田渕氏
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■ペレットの安定供給により順調に排出削減を実施
木質バイオマス暖房機
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- 当初の計画どおり排出削減を実施できていますか?
(モクモク手づくりファーム) 当初の計画は、木質バイオマス暖房機を最大限使用した場合を想定したもので、7年1ヶ月で310トン(約43トン/年)のCO2を削減する計画でした。 実際は、計画よりも木質バイオマス暖房機の使用が少なく、クレジット認証を受けた平成26年2月~平成27年6月の間のCO2排出削減量は38トン(約27トン/年)になりました。 燃料の木質ペレットは、当初から安定価格で安定供給されており、木質バイオマス暖房機の使用状況は変わっていないので、クレジット認証を受けた当時と同程度の量を排出削減できていると思います。
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■CO2を排出削減した手法で農産物を生産していることが重要
- 燃油コストの削減効果はどのような状況でしょうか?
(モクモク手づくりファーム) 導入当初は燃油高であったため、燃料コストの2割削減の効果を見込んでましたが、近年の燃油安の影響により、その効果は薄まっています。 しかしながら、安定価格で木質ペレットが供給されていますし、何よりCO2を排出削減した手法で農産物を生産しているということが重要と考えています。
- 過去に取得したクレジットの使い道について教えてください。
(モクモク手づくりファーム) 過去に認証を受けたクレジットは、昨年、三重県で開催された「お伊勢さん菓子博2017」のカーボン・オフセットなどに提供しました。 当ファームとしては、CO2を排出削減した手法で生産したイチゴ、トマトであると胸を張って言えることが大事であり、クレジットをお金に換えることは重要視していません。
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イチゴハウス
トマトハウス
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「地元の間伐材を利用したペレットボイラーを使用」のPRや観光客に対して環境教育を実施
環境教育で使用しているパネル
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- CO2の排出削減した手法で生産していることについてPRしていますか?
(モクモク手づくりファーム) 当ファームで生産された農産物は、ファーム内の販売所や三重県内外の直営レストランで提供しているほか、インターネットによる通信販売を実施しています。 その際、「地元の間伐材を燃料としたペレットボイラーを使用して生産したトマト」ということをPRする取組を行ったことがあります。 また、当ファーム独自の取組として、イチゴ狩りやトマト狩りに来た観光客に対して、「どのように生産されているのか」、「ペレットボイラーはなぜ環境にやさしいのか」などを説明する環境教育を必ず実施しています。 環境教育の実施により、売上や来客数が増加したわけではありませんが、親子連れの親御さんには共感して頂いています。
「環境に配慮した生産」は、当ファームとして重要なことですから、木質バイオマス暖房機による生産や環境教育は、こだわりをもってこれからも引き続き実施していきます。
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関連リンク
・取組事例
株式会社伊賀の里モクモク手づくりファーム
お問合せ先
大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室
担当者:地球温暖化対策班
代表:03-3502-8111(内線3289)
ダイヤルイン:03-6744-2473
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