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農林水産省

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INTERVIEW05



  2013年に設立した株式会社タカヒコアグロビジネスさんは、農林水産省次世代施設園芸導入加速化支援事業を活用して、大分県九重町にフェンロー型ハウスを整備(年間約400トンのパプリカを栽培)し、コスト削減や地域雇用を創出する新たな施設園芸を実践しています。
  同社は、化石燃料を使用せずに地域資源エネルギーの温泉熱を利用した加温システムをパプリカ栽培施設に導入することで、平成30年6月にJ-クレジット制度のプロジェクトとして登録しました。
  そこで、プロジェクト登録の経緯などについてお話をお聞きしました。

■新たに流量計を設置して約半年でプロジェクト登録


- J-クレジット制度に参画するきっかけを教えてください。

(タカヒコアグロビジネス)  パプリカ栽培を開始してから約1年後、九州農政局や大分県の施設園芸担当者からJ-クレジット制度の話があり、また同時期に付き合いのあった小売電力事業者からCO2の排出削減量が売買できるという話を聞いたのがきっかけです。
  その後、2017年11月から具体的にJ-クレジット制度への参画を検討し始め、およそ半年でプロジェクト登録に漕ぎつけました。
  プロジェクト登録に必要な計画書の作成は、コンサルタント会社にお願いしたため、当社は計画書作成に必要なデータを提供しただけでしたが、温泉熱の利用量を正確に把握する必要があったため、新たに流量計を設置することになりました。

(株)タカヒコアグロビジネス 佐藤代表取締役


■自社技術により温泉熱利用型の熱交換システムを開発


熱交換システム

- パプリカ栽培に温泉熱を利用しようと考えた理由は何だったんでしょうか?

(タカヒコアグロビジネス)  当社の親会社は、プラント建設業を営んでいます。約10年前から安全・安心な食づくりに貢献できないかと考え、植物工場プラントを建設し、レタス類の栽培研究を開始しました。その後、先端農業の現状を学ぶためオランダを訪問し、次世代農業の取組として2009年からパプリカの栽培を始めましたが、不安定に高騰する化石燃料に悩まされました。
  大分県は、地域資源である「地熱」が豊富にあり、この地熱を活用することで化石燃料の使用量を大幅に削減できると考え、国内にほとんど例が無い温泉熱利用型の熱交換システムを自社で開発しました。
  その後、農林水産省次世代施設園芸導入加速化支援事業を活用して、2016年4月より、この地で温泉熱を利用したパプリカ栽培を始めたところです。

■温泉熱利用で化石燃料価格に左右されない生産


- 温泉熱利用のメリット・デメリットを教えてください。

(タカヒコアグロビジネス)  温泉熱利用のメリットは、なんと言っても化石燃料価格に左右されずに栽培ができ、燃料コストを大幅に削減できることです。ちなみに現在のA重油価格であれば、年間8000万円程度の燃料コストの削減になります。
  また、自然の恵みである温泉熱を利用していることで、エコな農産物といったイメージが消費者に受け入れられると考えています。
  一方、デメリットは、地震の発生や周辺での温泉採掘等が行われた場合、その影響を受ける可能性があることです。そのため、緊急事態に備えて重油焚きボイラーを併設しています。
  また、温泉の泉質によっては、熱交換システム内に腐食等を生じ、温水が詰まる可能性がありますので、泉質に応じた仕様にする必要があります。

パプリカ栽培施設

■「CO2を削減した手法で栽培している」という企業イメージを重視



贈答用の箱

- CO2を排出削減した手法で農産物を栽培していることについてPRしていますか?

(タカヒコアグロビジネス)  現在出荷しているパプリカは「温泉パプリカ」という名称で販売しており、贈答用の箱には、「CO2排出のないおんせん熱利用」「地球に優しい持続可能な農業生産」といった記載をしています。


  当社として、J-クレジットに期待することは、クレジットの売却益に加え、CO2を削減した手法で農産物を栽培しているという企業イメージが付くことです。取引先の中には環境に配慮した商品を扱いたいという会社もあり、このような考えをもつ会社や消費者が増えていけば良いと考えています。
  今後、J-クレジットに登録したことも何らかPRできればと考えていますし、J-クレジットの活用が多少なりとも農家の収入になるようなビジネスモデルになれば良いと思っています。



(株)タカヒコアグロビジネス
工藤取締役農場長

 


■温泉熱を活用できる加工場や観光農園の整備を検討


ー 最後に今後新たに取り組もうと考えていることがあればお聞かせください。

(タカヒコアグロビジネス) 温泉熱の熱量を全て使い切っていない状況にあるので、何か他のことに活用したいと考えています。たとえば、敷地内に加工場を整備して、機器の熱源として利用したり、観光農園を整備して、足湯や入浴施設の熱源として利用するなどです。

関連リンク

・取組事例 株式会社タカヒコアグロビジネス

 

 

お問合せ先

大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室

担当者:地球温暖化対策班
代表:03-3502-8111(内線3289)
ダイヤルイン:03-6744-2473

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