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農林水産省

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INTERVIEW06




  2014年に設立した株式会社デ・リーフデ北上さんは、農林水産省次世代施設園芸導入加速化支援事業を活用して、東日本大震災の被災地、宮城県石巻市にフェンロー型ハウスを整備し、トマトとパプリカを生産しており、コスト削減や被災地雇用を創出する新たな施設園芸に挑戦しています。
  同社は、木質バイオマスボイラーの導入による化石燃料の削減による取組で、平成30年6月にJ-クレジット制度のプロジェクトとして登録しました。
  そこで、プロジェクト登録の経緯などについてお話をお聞きしました。

■被災地の農業復興を目指しオランダ式大規模施設園芸に挑戦



(株)デ・リーフデ北上
鈴木代表取締役社長

- この地でオランダ式大規模施設園芸を始めようと思ったのは何故ですか?

(デ・リーフデ北上) 東日本大震災前、この辺一帯は田んぼや宅地でした。私(鈴木社長)は稲作を営んでいましたが、震災で全て流されました。がれき撤去まで約2年掛かり、地盤沈下の影響による塩害が懸念されたことから、稲作の再開を断念しました。
  今後何をするか検討した際、震災以前に河川敷に生育する葦を使った萱葺きを生産していた関係からオランダの業者と繋がりがあり、オランダの大規模施設園芸を視察する機会を得ました。
  オランダの施設園芸は、高度な環境制御を行って、トマトなどを栽培しており、それまで知っていた栽培経験が全く参考にならないものでしたが、安定的な収穫が期待できるものでした。そのため、この地で地域の若手を中心にオランダ式の施設園芸による生産を始めることを決断し、地域の中小企業の方々からの出資を募り、2014年に会社を設立しました。

■CO2は農業に必要、一方、地球温暖化の原因だから排出削減の取組は重要


- J-クレジット制度に参画したきっかけを教えてください。

(デ・リーフデ北上) CO2は農業には必要不可欠です。しかし一方で地球温暖化の原因となっています。
  もともとCO2排出削減の取組には関心があり、県内でJ-Ver制度に参画していた農家さんがいましたので、CO2の排出削減量を認証する制度があることは知っていました。ただ当初は、施設整備や事業が忙しく、認証制度の活用を検討できる状況にはありませんでした。
  2017年10月頃、コンサルタント会社からJ-クレジット制度の話を伺い、具体的にJ-クレジット制度への参画を検討し始めました。それからおよそ半年でプロジェクト登録に漕ぎつけました。


(株)デ・リーフデ北上
阿部総務部長


■木質バイオマスの利用により化石燃料使用量を削減





- 施設の加温システムについて教えてください。

(デ・リーフデ北上) 木質バイオマスボイラーとLPGボイラー、さらに地中熱ヒートポンプ、蓄熱タンクを併用するハイブリッド運転で、ハウス内の温度を22℃に維持しています。これにより、化石燃料の削減率3割を目指しています。
  木質バイオマスボイラーの燃料は、木材チップで、生チップのまま燃料としています。地元森林組合との間で年間購入量・価格を契約しており、安定的に確保できています。
  また、同じ熱量を確保するに当たって、現在のLPG燃料価格であれば、木材チッの方が安価であるため、今後は木質バイオマスボイラーの使用率を徐々に高めていく予定です。


■LPGボイラーの排気ガスを有効活用

ー 木質バイオマスや地中熱の活用以外にもCO2排出削減の取組を実施していますか?

(デ・リーフデ北上) 作物生育にはCO2が必要不可欠なのですが、作物の収量や品質を向上させるためCO2施用を行い、一定のCO2濃度を確保しています。そのCO2施用を行うに当たって、新たに別の化石燃料を燃焼させるのではなく、LPGボイラーの排気ガスからCO2を施設内に送り込む方法を採用しています。このシステムは、オランダの施設園芸を視察した時から導入したいと思っていました。
  夏場は加温しないため、別途、液化炭酸ガスによるCO2施用を行っていますが、加温を行う冬場であれば、LPGボイラーの排気ガスで必要なCO2量を確保できています。


■従業員の半分は地元出身


ー 従業員は確保できていますか?

(デ・リーフデ北上) 当初は従業員が確保できるか正直不安でしたが、現在、従業員50名のすべてが石巻市、半分が旧北上町出身者です。
  最近は会社が認知されてきたこともあり、就職希望者が多い状況です。


■木質バイオマスボイラーの排気ガスの活用を検討


ー 最後に今後取り組んでみたいことをお聞かせください。

(デ・リーフデ北上) 木質バイオマスボイラーの排気ガスをCO2施用へ活用することやCO2を貯留して夏場に施用できるシステムも検討していきたいと思います。
  また、木質バイオマスボイラーは灰の処理が問題になります。現在は、産業廃棄物として処理していますが、路盤改良材としての活用について、県内業者と検討しているところです。
  更に、収穫後の作物残渣からバイオガスを発生させ、それを活用するシステムについても検討していければと思っています。

お問合せ先

大臣官房環境バイオマス政策課地球環境対策室

担当者:地球温暖化対策班
代表:03-3502-8111(内線3289)
ダイヤルイン:03-6744-2473

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