水利組合管理者から石川県土木技師への感謝状

資料の現代語訳
手取川は県下最大一番の河流であり、更に水勢は激しく、あたかも瀑布のようである。このようであるので、秋長雨洪水になれば、たちまち堤防は決壊し、田圃を流亡し、人畜に害を及ぼして財貨が流れ、その惨害は実に言葉にあらわしがたいものである。更に石川・能美両郡の過半は、この川の水に田園の灌漑を頼っているので、各所に給水口を開いて、堰堤を設けている。このため水害が起これば一層被害が大きくなっている。県当局は、これを見て、先に各用水給水口合併の工事を計画し、明治31年に工事を始めた。この日まず貴方がおいでになり、本工事の設計及びその監督の任務を受けられ、以来年を経ること6年、この5月、工事は全て竣工したので、水を全溝に通し、給水も良くなり、心配していたことは無くなった。よって今日の盛挙を目の当たりにし、本組合員は貴方の苦心経営の致す所であると信じ、その労は大きかったと考える。ここに本官は、組合会の議決を表し、記念として銀盃一組を贈呈して、いささかその労に報わんと思う。品物は粗末であり、更にわずかではあるが、その志を採り、これを受納いただきますことを願います。
石川県石川郡・能美郡手取川七ケ用水普通水利組合管理者
明治36年5月24日 石川県石川郡長 正七位柴田是
石川県工師
並河常次郎殿
お問合せ先
農村振興局設計課(広報G)
代表:03-3502-8111(内線 5561)
ダイヤルイン:03-3595-6338
FAX番号:03-5511-8251