水利組合長の通水式祝詞

資料の現代語訳
祝詞
手取川七個用水合併工事落成し、本日、知事閣下の親しくご臨席により、この式を挙行します。顧みれば能美・石川両郡の田園は、ここから給水の恩恵をうけて、灌漑の便を得る土地は、実に6576町4反5畝23歩(約65平方km)であります。
従来からの引水方法は、手取川に七個の水閘と堰堤を設けて個々別々でありました。これではその経費は巨額となり、配水もまた均衡を保ってはいませんでした。なので干ばつで渇水の時には、やもすれば紛争を生じるので、常に関係町村が憂慮していました。加えて長雨で水が溜まれば、たちまち川は増水してあふれ、激流は堤防を砕き波は范濫して邸宅・田園を流亡し、人や家畜・家財が漂流します。このことは35年に必ず1回は有りました。その悲惨な状況は、見るに忍ばざるものであります。そのため今、時の県知事がこの災害を除こうとし、河川改修の止む終えざるをおしはかり、まずはその準備として七個の用水給水道ノ合併を計画し、県会の協賛を求めて、ついに明治31年にその工事を始めました。以来、年を経ること6年、工費はおおよそ6万余円かかりました。実に県内未曾有の大工事であります。今やその成功により、水を通して配水は均一となり、灌漑の利便は、また先の憂慮が無くなったというだけではなく、用水に要する経費軽減も多大であります。今後、本組合がこの合併により受ける幸福はどれだけのものでありましょうか。だから決して祝賀せずにはおられません。不肖私は石川郡長の職を被り、この管理の任にあたり、未熟な私では力およびませんが、誠意を持ってその保管の責務をつくして、そして将来の福祉の増進となることを願います。この盛典を大変歓こび、いささかではございますが、蕪辞ながら祝辞とします。
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