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農林水産省

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MAFF TOPICS(1)



MAFFとは農林水産省の英語表記「Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries」の略称です。
「MAFF TOPICS」では、農林水産省からの最新ニュースなどを中心に、暮らしに役立つさまざまな情報をお届けします。

MAFF PERSON 日本の農業を守る国境の番人「植物防疫官」


横浜植物防疫所成田支所 第1PTB旅客担当  渡邉智美 技官  大学で植物病理学を専攻後、2014年に入省し、横浜植物防疫所成田支所に勤務
横浜植物防疫所成田支所 第1PTB旅客担当
渡邉智美 技官
大学で植物病理学を専攻後、2014年に入省し、横浜植物防疫所成田支所に勤務



旅客ターミナルに設置された輸出植物検疫カウンター。旅行者が外国に持ち出す植物の検疫手続きや質問ができる
旅客ターミナルに設置された輸出植物検疫カウンター。旅行者が外国に持ち出す植物の検疫手続きや質問ができる
空港の手荷物受取所付近にある植物検疫カウンターで、旅行者が所持する植物、野菜、果物などに禁止されている物がないかを確認・検査
空港の手荷物受取所付近にある植物検疫カウンターで、旅行者が所持する植物、野菜、果物などに禁止されている物がないかを確認・検査


国内への病害虫の侵入を水際で防ぐ国境の番人
海外からの輸入貨物や旅行者の手荷物として日本へ持ち込まれる植物には、日本の農業に甚大な影響をもたらす病害虫が潜んでいることがあります。この侵入を水際で阻止しているのが、全国の港や空港に設置された植物防疫所で働く「植物防疫官」です。

中でも一般になじみ深いのが、空港の国際線到着フロアにある植物検疫カウンター。ここに勤務する渡邉智美さんの主な業務は、入国する旅行者が持ってくる植物の検査です。日本への持ち込みが禁止されている植物を発見した場合には、検疫制度を説明した上で放棄してもらうなどの措置を行っています。

「自分で食べるので問題はないという方もいらっしゃいますが、いったん病害虫が侵入して国内に広がると、 日本の農業に大きな被害を与えることになることを理解してもらうよう、ていねいな説明に努めています」

また、空港内には来日した外国人観光客に日本の農産物を気軽に持って帰ってもらえるよう、今年4月に輸出植物検疫カウンターが新たに設置されました。ここでは、外国への輸出条件のチェックや輸出検査、植物検疫証明書の発給を行います。

ほかにも、検疫探知犬が探し当てたスーツケースなどに入った植物のチェックや、植物検疫制度について知ってもらい、検査を受けてもらうため、手荷物を受け取った旅行者に声かけもしています。

「こうした業務を地道に行っていくことが、日本の農業を守ることにつながるという使命感でがんばっています」

一方、吉永真訓さんは、航空貨物で輸入された植物の検査を担当している植物防疫官。輸入された植物はルーペを用いて検査し、病害虫が発見された場合には、顕微鏡などで種類を明らかにします。そのほか、植物検疫証明書等の審査や検査後の合格証明書の発給などの業務を担当しています。


横浜植物防疫所成田支所 第1航空貨物担当  吉永真訓 次席  1993年入省。以来、植物防疫官として東京、新潟、横浜、沖縄などの港・空港での検査業務のほか、消毒技術開発業務にも従事
横浜植物防疫所成田支所 第1航空貨物担当
吉永真訓 次席
1993年入省。以来、植物防疫官として東京、新潟、横浜、沖縄などの港・空港での検査業務のほか、消毒技術開発業務にも従事


貨物で運ばれた植物は、種類に応じて決められた量のサンプルを抽出し、入念な検査で病害虫の有無を調べる
貨物で運ばれた植物は、種類に応じて決められた量のサンプルを抽出し、入念な検査で病害虫の有無を調べる


検査で見つかった病害虫は、顕微鏡を使って種類を明らかにする「同定」を行う
検査で見つかった病害虫は、顕微鏡を使って種類を明らかにする「同定」を行う


貨物や旅行者に昼夜を問わず対応
外国からの旅行者や貨物は、昼夜を問わず到着するため、植物防疫官は深夜の泊まり込みを含む3つの体制によるシフト制で勤務にあたっています。

植物防疫官としては新人の渡邉さんは、「豊富な知識と経験が必要。病害虫の種類を覚えることに加え、対応にミスがないかと毎日が緊張の連続。先輩防疫官に確認をとりながら、慎重に検査にあたっています」と責任感の強さをのぞかせます。

今年23年目のベテランである吉永さんは、「毎日膨大な量の貨物の中から、植物の種類に応じて決められた量のサンプルを抽出し、病害虫を見逃さずに発見するというのは重大な責務。青果物等の生鮮食品を扱っているため、迅速さも求められます」と、緊迫感ある現場に対応している心持ちを明かしてくれました。


POINT
植物検疫100年の歴史

明治時代以降の貿易の活発化に伴って、日本各地では新しい病害虫による農作物の被害が拡大しました。  

1914 年、アメリカをはじめとした先進諸国における植物検疫制度の強化を受けて、「輸出入植物取締法」が施行。

1950 年、輸出入検疫、国内検疫、病害虫の防除体制を一本化した「植物防疫法」が制定されました。

日本における植物検疫制度は、昨年で100年。この間、大正時代初期に南西諸島で確認されたミカンコミバエとウリミバエを
約20年の歳月をかけて根絶するなど、病害虫の本土への侵入やまん延の防止に多くの実績をあげてきました。



文/神野恵美  写真/長谷川 朗