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こんなにも身近な存在でありながら、箸について知られていないことはたくさんあります。
箸の歴史をひもとくと、日本の食文化が見えてきます。

日本の箸 いろいろ

日本の箸いろいろ


(1)塗り箸
個人の普段づかいのための箸。木の箸に漆を施したもの。地域によって多彩な種類あり。

(2)元禄箸
一般的な割り箸。頭部の角が削られ、真ん中に切れ目が入れられているのが特徴。

(3)黒文字箸
クスノキ科の落葉低木クロモジの枝で作った箸。一客一本使用するのが原則だが、食籠(じきろう)や盛込鉢には二本添えて取り分けに使う。

(4)利久箸
両側が細く、真ん中がふくらんでいる両口の割り箸。懐石で使われる。

(5)青竹箸
懐石の焼き物や八寸の取り分けに使う取り箸として使われる竹製の箸。

(6)天削箸
もてなしにも使われる中級~高級の割り箸。天(頭)が削げていることが名前の由来。

(7)柳箸
慶事で用いられる両口箸。角がなく(円満)、折れにくい柳の箸で縁起を担ぐ。

(8)丁六箸
中溝も四方の面取りもされていない一般的な割り箸。丁度六寸(約18セントメートル)の意味もある。




もともと神器だったといわれている箸
箸が日本で使われ始めたのは、推定で弥生時代~飛鳥時代(3~7世紀頃)とされています。日本箸文化協会代表の小倉朋子さんは、初期の箸は人間が食事をするための道具ではなく、"神器"だった可能性が高いと話します。

「最初は2本の棒状ではなく、ピンセットのような"竹折箸"だったようです。神様のお供え物を手で触れて汚さないように、箸が使われていたのかもしれません」

7世紀に入ると、中国に渡った遣隋使が、箸を使った食事でもてなしを受けます。そこで、隋からの使節が日本に来た際は、相手国に倣って箸を使って食事をしたことを機に、箸が広まったと考えられています。やがて、箸は徐々に庶民の間にも浸透し、日本で独自の進化を遂げてきました。

「中国のほか、韓国や東南アジア各国など、箸を使う国はたくさんありますが、いずれも"匙"などを併用します。日本の場合は箸だけを使って食事をするため、箸先が細いのが特徴です。箸に精神性を込め、多用する文化が発達したため、様々な種類があるのです」(前出・小倉さん)

さらに、自分専用の箸を持つことも、ほかの国にはない文化のひとつ。意外と知らない箸の種類についても、見直してみませんか。



箸に使われる素材は何?
一般的な箸には、硬く、目が詰まっていて耐久性が高い天然木が使われます。多くはマラスや鉄木(てつぼく)です。高級素材としては、黒檀(こくたん)や紫檀(したん)といった唐木(からき)があります。また、ある程度の硬さがあり軽い素材の栗や欅(けやき)も好まれています。割り箸の素材は、主に杉や檜(ひのき)ですが、白樺や竹を使ったものもあります。
黒檀を使った十六角箸
黒檀を使った十六角箸
協力:新宿髙島屋WAGOTO


自分の手に合った箸の選び方
持ちやすい箸の長さは、図中に示した「あた」の長さの1.5倍。大人の男性は22.5センチメートル、女性は21センチメートルが目安。ぴったりのサイズではなくても、プラスマイナス2センチメートル程度の誤差であれば箸づかいに問題はない。

あたは、親指と人差し指を直角にして計算。
箸の長さは1.5咫が使いやすいとされています

イラスト/中山ゆかり



国産の「割り箸」が健全な森林づくりに役立つ
割り箸は日本で明治時代にスギの端材(樽の製造過程で余った木片など)を有効活用するために生まれ、飲食店とともに普及しました。

一時は森林破壊の元凶という見方もされていましたが、国産の割り箸は間伐材や住宅・家具材などの端材で作られ、環境面や経済面、エコロジーなどの面で見直されつつあります。

近年、安い外国産材の割り箸が輸入されるようになり、国内の割り箸産業は衰退傾向にあります。

「資源を大切にする心」から生まれた日本の割り箸。国産の割り箸の使用は、健全な森林づくり、山村経済の活性化に役立っているのです。
国産の割り箸は間伐材や住宅・家具材などの端材で作られる。



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