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農林水産省

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aff 2019年7月号
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転勤がきっかけで農業へ転身(新潟)

窪田友弘さん(38歳)・新潟県新潟市

窪田友弘さん(39歳)・新潟県新潟市
窪田梨果園サブマネージャー。沖縄県南城市生まれ。沖縄県内で就職した後、医薬品メーカーに転職し、福岡県で勤務。転勤により2010年から新潟県上越市へ。2014年新潟市出身の奥さんと結婚を機に、農業の道に。

妻の実家で農業の楽しさを実感

新潟県新潟市江南区の茅野山地区は、江戸時代から続く、県内でも指折りのなしの産地です。同地区の窪田梨果園で働く窪田友弘さんは沖縄県出身。同地区へ移り住むこととなったのは、勤めていた会社の転勤がきっかけでした。

「2010年に転勤で新潟県上越市に住んでいたとき、のちに結婚する彼女と知り合いました。1年ほど付き合った後、埼玉県へ転勤しなければならなくなったのです。彼女と一緒に過ごしたいという気持ちが強かったので、この会社を退職することにしました」

ご両親、次期後継者の小熊穂高さんらとともに農業に励む日々。
ご両親、次期後継者の小熊穂高さんらとともに農業に励む日々。

窪田さんは、彼女の実家がある新潟市へ転居し、新しい会社へ就職。営業の仕事をしながら、休日には彼女の実家の手伝いも始めました。この実家が、窪田梨果園です。

「彼女の両親に軽い感じで『手伝って』と言われて、農業を楽しんでいました。その一方、会社勤めのほうはなかなか大変で、営業活動がうまくいかず、円形脱毛症になってしまいまして……」

窪田梨果園では、なしを20数品種栽培。その他にも、米を3品種、枝豆やとうもろこしなど80~100種ほどの野菜も栽培している。
窪田梨果園では、なしを20数品種栽培。その他にも、米を3品種、枝豆やとうもろこしなど80種から100種ほどの野菜も栽培している。

営業で苦労している窪田さんに、彼女の両親から「ちゃんと農業をやってみないか?」と声が掛かります。

「彼女は3人姉妹の長女で、実家の跡取りが必要ということもあり、婿入りを決めました。これを機に会社を退職。親元就農という形で、窪田梨果園に入ったんです」

土作りにこだわった栽培法で育てられる同園のなしは、ホテルなどの料理人からも評価される高級品。また同園では、お米や野菜も栽培しています。

洋なしの一種「ルレクチェ」は、同園の主力栽培品種。収穫後は約1カ月、温度と湿度を調整した冷蔵庫内で熟させる。柔らかく甘くなり、芳醇な香りも生まれる。
洋なしの一種「ル レクチェ」は、同園の主力栽培品種。収穫後は約1カ月、温度と湿度を調整した冷蔵庫内で熟させる。柔らかく甘くなり、豊潤な香りも生まれる。

地元の活動やスノーボードも楽しみ

窪田梨果園での生活が始まってから、地区の人々とも積極的に交流。地区の20代から40代の若手が集まる果樹青年部にも所属しています。

「義父が『うちのお婿さん、沖縄出身なんだよ』と、気さくに紹介してくれるので、地域の方とはすぐに知り合いになれました。中には『来月沖縄に行く』と、話をしに来てくださる方もいます」

青年部での活動はスーパーでの試食販売や、県外イベントでのなし販売などです。昨年からは新たな試みとして『雪室(ゆきむろ)なし』も実験的に始めています。「雪室」とは、雪を保存しておく倉庫のこと。この倉庫に前年10月から11月に収穫したなしを保存し、5月の連休に販売するのが雪室なしです。

この他、昨年は市の施設でパーティ「よんでるないと」も開催。解禁日のある「ル レクチェ」の解禁に合わせたイベントです。「『よんでる』とは新潟の方言で、『熟れている、熟している』という意味です。茅野山地区で育てている『ル レクチェ』をもっと多くの方に知ってもらいたいという思いから、このイベントを企画しました」

友弘さんが手掛けているコシヒカリはインターネットでも販売。パッケージも自らデザインしている。
窪田さんが手掛けているコシヒカリはインターネットでも販売。パッケージも自らデザインしている。

プライベートでは、日本海で趣味のサーフィンを楽しんでいる他、新たにスノーボードも始めたそうです。

「日本海のサーファーには農業で生計を立てている方も多く、波乗りを楽しみながら、お互いに情報交換をしています。また、3年ほど前からスノーボードも始めました。今では地区の青年部内にスノボ部もできて、皆で近隣のスキー場に出掛けています」

地域にも溶け込んで、農業もプライベートも充実した日々を過ごす窪田さん。転勤や結婚がきっかけにはなりましたが、移住に当たっては、仕事や住環境などをきちんと考え、できる限りの体験を試みたといいます。

「これから移住を考えている方は、できる限り時間をかけてその地域のことをリサーチして、1週間でも1カ月でも、試しに住んでみるのがいいと思います。いきなり引っ越しして『やっぱり合わない』ではリスクが大きいので。慎重に考えて、準備をすることが大事だと思います」

果樹青年部「AGNET NIIGATA」で行った「よんでるないと」。
果樹青年部「AGNET NIIGATA」が行った「よんでるないと」。ジャズライブや、ル レクチェを使ったコース料理など、さまざまな企画で盛り上がった。

私のピカイチ

新潟に来てスノーボードにはまってます。

新潟に来て
スノーボードに
はまってます。

どんな移住支援があるの?

引越しや住宅取得支援

新潟市では、「移住モデル地区定住促進住宅支援事業」を実施しています。現在「移住モデル地区」に指定されているのは、越前浜地区(西蒲区内)と小須戸地区(秋葉区内)です。

転居費用支援(一般世帯上限10万円、子育て世代は上限15万円)や住宅取得支援(一律30万円)、賃貸した住宅に居住した世帯に実質月額家賃の2分の1以内の額を助成する家賃支援(1カ月当たり上限1万2,000円、最長2年間)などが受けられます。

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