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農林水産省

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aff 2019年7月号
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「田舎で暮らそう」というひと言で(徳島)

小坂田達さん(39歳)・徳島県神山町

小坂田達さん(39歳)・徳島県神山町
徳島中央森林組合所属。愛知県岡崎市生まれ。地元百貨店で食料品の販売を経験したのち、2016年に神山町へ移住。1年間の林業研修を経て、現在現場の最前線で活躍中。

山の中で出合った天職

徳島市街からのびる幹線道路を、車で西へ走ること約40分。山あいに入るにつれて細くなる道を進んだ先に、神山町はあります。小坂田達さんの所属する徳島中央森林組合は、町のほぼ中心にあります。

小坂田さんが神山町に移住したのは4年前。それまでは、林業とは無縁の生活を送っていましたが、今では「自分にとって天職」と言えるほど充実しているといいます。「自然の中で体を動かせるのが本当に気持ちいい。体力に自信はないんですが、毎日が楽しくてこんなに自分に合う職業があったのか!と驚いてます」と小坂田さん。

とくしま林業アカデミーの研修生は、林業の現場研修を1年間に渡って、無料で受講できる。
とくしま林業アカデミーの研修生は、林業の現場研修を1年間にわたって、無料で受講できる。

小坂田さんと林業の出合いは、とくしま林業アカデミー。神山町内で働ける仕事を探す中で、「こんなのあるよ」と誘いを受けたのが第1期生の募集でした。話を聞くうちに興味が湧き、「まずは行ってみよう」と受講。「結果的に、技術面だけでなく、同期や県職員、町民とのつながりができ、安心して働ける基盤になりました。今も続けられているのは、この研修があったからですね」

チェーンソーの使い方も慣れたもの。
チェーンソーの使い方も慣れたもの。

自然な流れで、祖父母のいる神山町へ

そもそも移住のきっかけになったのは、奥さんである美香さんの「田舎で暮らそう」のひと言。

「僕はそこまで積極的ではなかったんですが、妻が田舎好きで。都会が好きでもなかったので、じゃあ移住しようかと」。そこで頭に浮かんだのが、小坂田さんの祖父母が住む神山町でした。毎年遊びに行くほどなじみの土地であり、住民との関係性も作りやすいだろう、と移住を決意。周囲の大きな反対もなく自然な流れで話は進んだそうです。

現在、小坂田さん一家は、町の中心地から20分ほど奥へ進んだ山の中の集落に住んでいます。

美香さんと祈穂(きほ)ちゃん。奥さんは町の集落支援員として、高齢者のサポートを行っている。
美香さんと祈穂(きほ)ちゃん。奥さんは町の集落支援員として、高齢者のサポートを行っている。

「祖父母の家に近い家を地元のNPO法人が紹介してくれました。地方の家が見つかるかどうかはタイミングが重要なので、このご縁はありがたかったです」と小坂田さん。近隣は数軒の空き家のみ。静かな環境の中、お茶やすだちの収穫など祖父母の季節仕事も手伝います。

近くにスーパーもあり、何よりネット環境が整っているので暮らしは快適。町内に高校もあるので、教育面での不安もないそうです。

「移住してから子どもが生まれ、祖父母にひ孫を見せてあげられました」と小坂田さんはうれしそうに笑います。

季節になると、すだちやお茶の収穫を手伝うなど、四季折々の暮らしを楽しんでいる。
すだちやお茶の収穫を手伝うなど、四季折々の暮らしを楽しんでいる。

人間関係を何より大切にする

地方は人間関係が重要と話す小坂田さん。「僕たち一家は、あそこのお孫さん、と受け入れてもらいやすかったですが、田舎特有の狭い関係性。いろいろあります」

そこで大切にしているのが、消防団などの地域との接点。地元の方々とコミュニケーションがとれる機会は、それだけで貴重だといいます。

「どんなに山奥だって、ひとりで住めるわけじゃない。面倒臭いこともありますが、人のつながりに支えられて今の僕たちがあります。そんな関係性を感謝しながら大切にしたいし、それがうまくいく移住の秘訣かもしれません」

私のピカイチ

徳島県民にとっての一大イベント。気合の入り方が違います。

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どんな移住支援があるの?

とくしま林業アカデミー

徳島県内で約1万3,000ヘクタールを超える森林を経営する(公社)徳島森林づくり推進機構が運営。林業技術を身に付けた「山の仕事師」を未来につなぐため、徳島県の肝いりで「とくしま林業アカデミー」を2016年に開講。

現在、第4期生15名が現場力重視のカリキュラム(1年間)によって山仕事の基礎を学んでおり、林業を志す若者や自然を愛する移住者に人気です。これまで、3期37名の卒業生全員が県内の森林組合や林業会社に就職したのは、卒業前の濃密なインターンシップ研修と無料職業紹介の結果。こうした就職支援と合わせて、アフターアカデミーという相談サービスも行っており、技術面だけでなく、地域コミュニティの悩みまで幅広くフォローしています。

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449
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