
4 今日からできる!お米のおいしい食べ方
日本の食卓に欠かせない「ごはん」。今回は、毎日のごはんをもっとおいしく味わうためのポイントを紹介。炊きたてのおいしさを保つ保存法や、炊飯器以外でごはんを炊く方法も解説します。

プロが教える!おいしいごはんの炊き方

ひと手間加えるだけで、ごはんをいつもよりおいしく炊くことができます。忙しくて時間がない方でも手軽に実践できる、必見の炊飯テクニックを紹介。
計量

カップよりはかりがおすすめ
ごはんをおいしく炊く上で大切なのは、米と水のバランス。米1合(約150グラム)に対して水200ミリリットル(200グラム)が目安です。カップで計量する方が多いと思いますが、実は計量時に若干の誤差が出てしまいがちです。正確な計量を行うためにもはかりを使うことをおすすめします。また、はかりを使う利点として、カップでの計量時にありがちな「今、何杯入れた…?」といったうっかりミスを防ぐこともできます。
研ぐ

米研ぎはボウルでさっとやさしく
まずは米の表面の汚れを取るために米を水の中で軽くかき回して洗い、最初の水はすぐに流します。ソフトボールを握るような形に指を開き、水を切った状態で米同士がこすり合うように10回から20回ほどかき回します。続いて、水を注いで白く濁った水を流します。この研ぎからすすぎの工程を2回ほど繰り返し、最後にもう一度すすぎ、米をザルにあげて水を切ります。
ポイントは、ボウルを使って研ぐこと。金網製のザルを使って米を研ぐと、必要以上に米の表面が傷つき、米が割れたりでん粉が流れやすくなったりします。米は研ぐ間も水を吸うので、研ぐ工程は3分以内を目安に終わらせましょう。
浸水

炊く前にしっかり吸水させる
吸水が不十分だと芯が残ったごはんになりますが、しっかり吸水させることで、ふっくらと炊き上がります。電気炊飯器の場合は吸水も含めて炊飯器が自動的にやってくれるので、研いだ米と目盛り分の水を内釜に入れてスイッチを押せば大丈夫です。鍋炊きの場合は、事前の吸水が必要です。浸ける目安は30分から1時間程度。おすすめは保存容器に入れて冷蔵庫で2時間浸けておくこと。半透明だった米粒が真っ白になり、爪でボロっと割れるくらいが吸水完了の目安です。
蒸らす

蒸らし時間は道具によって変わる
蒸らしの時間は炊飯道具によって変わります。大半の電気炊飯器には蒸らし時間も含めてプログラムされているので、炊き上がったらすぐに食べられます。鍋炊きの場合は、火を止めてから10分ほど置いてください。鍋の余熱で米に熱を加えつつ、残った水分が米に吸収されます。そのため、蒸らしの途中で蓋を開けるのは禁物。炊きあがったごはんが硬いようであれば、蓋を閉めて蒸らしの時間を延ばすと改善する場合もあります。
よそう

切るように混ぜ、置くようによそう
蒸らし終わったら、釜や鍋の中に残った余分な水分を飛ばすために飯返しを行います。しゃもじで炊き上がったごはんに十字の切れ込みを入れ、ブロック毎に内釜の側面からしゃもじを入れて底からひっくり返すようにほぐします。よそう時は、一度にではなく数回に分けるようにし、ごはんが潰れないようそっと置くようによそいましょう。しゃもじでペタペタと押し潰すのはNGです。
おいしさアップの秘訣は「冷水」
ごはんを炊くときの水は、できるだけ冷たい水を使いましょう。米に含まれるでん粉を分解する酵素は30度前後の温度帯で活発に働きます。冷たい水で炊くとその温度帯の時間が長くなるので、ごはんのうまみが十分に引き出されます。ミネラルウォーターを使う場合は、カルシウムやマグネシウムが比較的多く含まれる硬水ではなく軟水を使うとふっくらとした炊き上がりに。

プロが教える!ごはんの保存方法

ごはんが余ったり、炊飯の手間を減らすため多めに炊いたりして、ごはんを保存する人は多いかと思います。ごはんは保存方法によって、温め直した時のおいしさが大きく異なります。炊き立てごはんのおいしさを保つにはどうすればいいか、教えていただきました。
温かいうちに平らに包んで冷凍

冷凍保存する場合は、ごはんが温かいうちにラップで包みます。平らにならして包むと、電子レンジで加熱するときのムラがなくなるのでおすすめです。粗熱がとれたら、さらにアルミホイルで包んで冷凍庫へ。熱伝導率の高いアルミホイルによって、おいしいまま急速冷凍ができます。加熱する時はアルミホイルを外しましょう。冷凍ごはんの保存期間の目安は2週間以内です。
便利な専用グッズも

ごはん専用の冷凍保存容器を使うと、食べるときの準備が簡単です。蓋に蒸気弁がついているのでそのまま電子レンジで解凍ができ、底面の凹みによって均等に熱が伝わり加熱ムラを防いでくれます。また、丸型なのでお茶碗への移し替えも便利です。
ごはんを炊くのに失敗!
こんな時、どうしたらいいの?
残念ながら、炊飯に失敗してしまったごはんの炊き加減を再度調整することはできません。失敗の原因の多くは米と水の計量ミスなので、ごはんを炊く時は目分量ではなく、カップやはかりを使って正確に分量を計りましょう。
柔らか過ぎたり、芯が残ってしまったりしたごはんは、調理法の工夫で挽回しましょう。柔らかいごはんはリゾットや雑炊に。芯が残ったごはんは、チャーハンやチキンライスなどにするのがおすすめ。味付けが変わればおいしく食べられます。少し水分が気になるごはんは、おひつに移せば、余分な水分を吸い取ってくれます。
炊飯器以外でごはんを炊く方法

炊飯器以外でもできる、ごはんの炊き方とポイントを教えていただきました。知っておくと、炊飯器が故障してしまった時や、停電時にごはんを炊きたい時などにも役立ちます。
圧力鍋で

炊飯器の場合は、浸水させてから炊き上がりまでに50分ほどかかりますが、圧力鍋は吸水の必要がないので、15分から20分ほどで炊き上がります。仕上がりは柔らかめになるので、柔らかいごはんが好きな方におすすめです。
POINT
圧力鍋は時短ができる反面、加熱時間を間違えると失敗しやすいので要注意。炊く際には、必ず圧力鍋の説明書に書いてある炊飯に適切な時間で炊きましょう。
土鍋で

炊飯用の土鍋は蓋をして加熱し沸騰したら火を止め、20分ほど蒸らせば炊き上がりです。炊飯用の土鍋だと火加減が簡単。鍋用の土鍋でもごはんを炊くことはできますが、吹きこぼれやすいので要注意です。
POINT
土鍋は、ごはんのおいしさを最大限に引き出せる炊飯道具だと思います。ただし、焦げてしまうと後始末が大変なので、火をかけたら放置せず、焦げないようにこまめに様子を見るようにしましょう。
フライパンで

フライパン炊飯の火加減は、基本弱火です。炊きムラができやすいので、米全体の温度が均等になるように沸騰前に木べらでかき混ぜるのがポイントです。沸騰したら水分が飛び過ぎないように沸騰状態を15分ほどキープ。火を止めて5分蒸らしたら完成です。
POINT
火加減のコントロールが難しい分、フライパンでの炊飯をマスターするとどんな鍋でもおいしいごはんを炊くことができます。フッ素加工されたフライパンであれば焦げつきの心配もありません。ガラスの蓋を使うと米の状態がよくわかって便利。
今回教えてくれたのは
監修者プロフィール
「ごはん同盟」
シライジュンイチさん
しらいのりこさん
しらいのりこ(レシピ制作、調理担当)、シライジュンイチ(企画、執筆担当)の夫婦による炊飯系フードユニット。炊飯教室や料理教室、雑誌へのレシピ提供などを通して、ごはんをおいしく味わう方法を多くのごはん好きの皆さんと共有するための活動を行う。近著に『パラパラじゃなくていい!最高のチャーハン50』(家の光協会)、『これがほんとの料理のきほん』(成美堂出版)。
<外部リンク>https://gohandoumei.com/

(PDF : 529KB)
編集後記
今週号でご紹介した「ごはんをさらにおいしく食べるポイント」は担当にとって良い勉強になりました。普段は時間を優先して、無洗米・水は目分量・早炊きモードで炊飯しているのですが、今度休みの日に、おいしさを最大限に引き出せるという土鍋を使って、じっくりといつもとは違うごはん作りに挑戦してみようと思います。(広報室SD)
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