ご当地の郷土料理の魅力 ふるさと給食自慢
日本全国で提供されている学校給食のメニューの中から、その土地で親しまれている郷土料理や食材などを取り入れたものを紹介。その地域ならではの食の連載をお届けします。

第21回
岡山県岡山市の学校給食
黄にらとジャコのごはん

黄にらとジャコのごはんを主食に、さっぱりと食べられる揚げサワラのねぎソースや岡山県産パプリカの甘酢漬けの主菜と副菜を添え、味噌汁は具だくさんに。デザートには粒の大きな岡山市西大寺のいちごをつけた献立です。
ごはんに加えて
シャキシャキ食感を楽しめる「黄にら」
(岡山県立岡山支援学校)
生で食べられるほど柔らかく甘味のある、黄にら。日本国内で生産されている黄にらの約7割は岡山県産(平成28年度 岡山県農産課調べ)です。くせがなく、上品な香りと甘味もあり、薬味に使われるほか、茹でたり蒸したり、炒めたり、汁ものにも合います。鮮やかな黄色も特徴で、料理に彩りを加えてくれることも魅力のひとつでしょう。

学校の給食で使用する黄にらは、近隣の生産者の方が届けてくれる採れたて。炊き立てのごはんに瀬戸内海で水揚げされたジャコと黄にらを和えた「黄にらとジャコのごはん」は、黄にらの彩りとシャキシャキとした食感が楽しめます。また、岡山県は瀬戸内海の海産物も豊富で、郷土料理のばらずしなどに使われているサワラも名産品のひとつ。献立では、サワラを揚げてねぎソースの風味とともに楽しめるよう工夫しています。味噌汁は、子ども達が食べやすいように、具は柔らかく煮込んであります。そしてデザートは、いちご狩りの観光農園が多い西大寺の大粒いちごを添えた献立です。

学校の近隣に黄にらの栽培農家が多くあるため、学校でも農家の方の手ほどきを受けて、小さな畑で黄にらを育てています。栽培作業の体験は、子ども達にとって良い経験となり、食育の一環に。無事に育って収穫できたものは、給食の献立に加えることも予定しており、子ども達も楽しみにしています。
岡山県が全国1位の生産量を誇る「黄にら」とは?
黄にらの歴史
岡山県岡山市北区にある牧石地区は黄にらの一大産地。明治時代から黄にらが栽培されはじめたという記録があります。一時期は生産量が減ったものの、1980年代に露地栽培の方法が確立されたことで生産量が増え、現在は全国トップシェアを誇る岡山県の代表的な特産物に発展しました。そんな黄にらは、もとは緑色の青にら。まず、青にらを種から育て、1年目は収穫せず根に栄養分を蓄えさせ、2年目に根元を長めにカットし、太陽光を遮断するシートをかけて、さらに1、2カ月ほど栽培すると黄色のにらが再生します。光合成をさせずに育てたにらは緑の色素が増えず、黄色の姿になるのです。

写真協力:晴れの国おかやま館
歯応えと彩りが珍重される
「黄にら」の実力

写真協力:晴れの国おかやま館
岡山県で栽培される黄にらは、露地のほか、温度が一定に保たれる鉱山跡地の坑道などを利用する地域もあるそうです。収穫後は数時間、天日で干すと黄色がより色鮮やかになります。全国的には稀少な野菜ですが、岡山市内ではスーパーマーケットなどで手に入ります。栽培に手間と時間がかかるため通常の青にらよりも高価ですが、シャキシャキとした歯応えの良さと料理を引き立てる彩りが珍重されています。

写真協力:晴れの国おかやま館
味噌汁に入れたり、さっと茹でて和え物にしたり、ちらし寿司に加えて見栄えをよくするなど、さまざまな料理に使われる黄にら。柔らかいので、火を通さずそのまま生で食べることもできます。露地栽培のほか、ハウス栽培によって通年収穫も可能ですが、寒さの厳しい時期に収穫されたものが柔らかくておいしいとされ、2月が黄にらの最盛期です。この時期に合わせ、2月12日は「にっこり いいニラ」とかけて「黄ニラ記念日」として日本記念日協会に認定されています。
全国給食牛乳コレクション
全国のほとんどの学校給食で毎日提供されている牛乳にも、地域によって違いがあります。子ども達に新鮮な牛乳を楽しんで飲んでもらえるように、どんな工夫があるのでしょうか。各地域で提供されているご当地牛乳を紹介します!
四国編

高知県佐川町で生産された生乳だけを使い、牛乳の製造を行っているのが(有)吉本乳業です。佐川町で生産された生乳を町内にある吉本乳業が製品にしているところから、「さかわの地乳(ぢちち)」として販売、親しまれています。給食用牛乳としては、地元の佐川町と日高村の学校に供給しています。吉本乳業ではバッチ式殺菌方法(同社では、85度で15分間の殺菌)を採用。この殺菌方法を用いることにより、生乳本来の風味を損なわない工夫をしています。
九州編

島原地方酪農業協同組合は、長崎県島原市を中心とする酪農生産者で組織経営しています。組合員が毎日搾った生乳を、島原市内にある工場へ直接運んで製造している、長崎県島原半島産生乳100パーセントの牛乳です。より健康な乳牛を育てていくため、自然なかたちで栄養を与えたい、安心安全なおいしい牛乳をつくり続けたい、そんな思いから、オメガ3(アルファリノレン酸)を豊富に含む、フランス産亜麻種子(アマニ)由来の飼料を与える取り組みをしています。あっさりとした口あたりながら、コクと甘味を感じるおいしさいっぱいの牛乳です。
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