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農林水産省

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ご当地の郷土料理の魅力 ふるさと給食自慢

日本全国で提供されている学校給食のメニューの中から、その土地で親しまれている郷土料理や食材などを取り入れたものを紹介。その地域ならではの食の連載をお届けします。

第22回

広島県福山市の学校給食

うずみ

写真:うずみの給食

うずみの汁とごはん、副菜は季節の食材を煮た「煮じゃあ」、ぶどうゼリーのデザートを添えた献立です。

ごはんの下に具を隠す?
江戸時代から続く「うずみ」

(広島県福山市立川口東小学校)

うずみは、ごはんの下に具を埋(うず)めて食べたことがはじまりとされる、福山市地域に伝わる郷土料理です。出汁で煮たエビやタイ、さといもなどの野菜を椀に盛り汁をかけ、その上にごはんを載せて食べます。一見すると、白いごはんが盛られているだけのように見えますが、食べ進めていくと、ごはんの下からさまざまな具材が出てくるので、どんなごちそうが隠れているのかを見つける宝探しのような楽しさがあります。給食では具の入った汁とごはんを分けて提供し、汁にごはんを載せてから食べています。

写真:材料

うずみの汁の具は、地場産のさといもやにんじん、瀬戸内海産のタイ、干ししいたけ。香りづけにゆずの果汁と皮を加え、仕上げに彩りとして三つ葉を入れたら完成です。副菜の「煮じゃあ」は備後地方の方言で、畑から収穫した季節の食材を使った煮物のこと。給食献立では、だいこんやにんじん、小松菜など、旬の野菜を使用しています。また、福山市は県内屈指のぶどうの産地ということもあり、デザートとしてぶどうゼリーが付いています。

写真:調理の様子

うずみの出汁には、瀬戸内海産のいりこをたっぷり使用して濃い味の出汁に。塩と醤油で味を調えますが、塩分量を控え、ゆずの果汁で酸味を加えたり、皮で香りづけをしています。広島県は温暖で降雨量が少なく、柑橘類の栽培に適した気候であり、果実の搾り汁や皮をすりおろしたものをドレッシングに加えるなど、料理によく使われています。また、旬の時期には、給食のデザートとして地元で収穫された柑橘類を出すこともあるそうです。
「煮じゃあ」は、季節ごとの野菜を使い、通年で親しまれている献立です。具を油で炒めてから醤油、みりん、出汁などを加えて煮込みます。冷めてもおいしく食べられるように味をしっかり染み込ませています。

福山市地域に伝わる郷土料理「うずみ」とは?

うずみの歴史

うずみの発祥には諸説あります。福山市は福山城の城下町として栄えた都市で、江戸時代の倹約政治により贅沢が禁じられたことから、庶民がごはんの下に具材を埋め、見た目を簡素なごはんのようにして食べたことが始まりという説があります。主に秋の収穫を祝う料理として食べられ、具材は地域ごとに違いがあり、さといもやにんじん、まつたけやしいたけ、エビやタイ、鶏肉などが使われています。だし汁は、瀬戸内海に面した南部はいりこを使い、山々が連なる北部の山岳地帯は干ししいたけを用います。

写真:福山城

写真協力:福山市

郷土料理から新しい創作料理も誕生!?
「うずみ」の実力

写真:「うずみ」の実力

写真協力:福山市

うずみは、昭和40年代までは主に秋の収穫を祝う料理として市内の各所で広く食べられていましたが、食の多様化に伴い、あまり食べられなくなっていきました。そこで市では、1990年から郷土の食文化を伝えるため、市内の小学校の給食でうずみの提供をはじめました。また、2010年にはうずみをはじめとした食文化を、福山食ブランドとして市内外にPRすることを目的に「福山食ブランド創出市民会議」を設立。2019年時点で市内にはうずみを提供する飲食店が28店舗まで増加。具材にごはんを載せる昔ながらのうずみのほか、寿司や釜飯、ソフトクリームやかき氷といった、新しい創作うずみも続々と誕生しています。

写真:給食の様子

うずみは江戸時代から400年にわたり食べられてきた郷土料理。小学校では秋の給食メニューとして提供され、出汁のうま味、地場産の野菜や海産物など地元の恵みがたっぷり詰まった料理です。献立のうずみの汁は具だくさんで栄養バランスがとれ、児童たちは具材の上にごはんを載せ、少しずつ崩して混ぜることで、ごはんに汁が染み込みおいしく食べられます。

全国給食牛乳コレクション

全国のほとんどの学校給食で毎日提供されている牛乳にも、地域によって違いがあります。子ども達に新鮮な牛乳を楽しんで飲んでもらえるように、どんな工夫があるのでしょうか。各地域で提供されているご当地牛乳を紹介します!

九州編

熊本県 球磨酪農3.6牛乳/球磨酪農農業協同組合
写真:球磨酪農3.6牛乳 紙パック

1957年に設立され今年で64年目を迎える球磨酪農農業協同組合は、熊本県の南部、球磨郡相良村にあり、70戸の酪農家によって、2020年には県内の生乳生産量の約12パーセントにあたる年間約3万600トンを生産しています。酪農業の専門農協であると同時に製造工場も所有。70戸すべての酪農家の牛舎は、工場から車で1時間以内に集乳できる場所に位置しており、人吉市球磨地域のみで搾乳された生乳を、新鮮な状態で牛乳へと加工しています。徹底した衛生管理のもと、熊本県南部地区の小中学校に子ども達の健康に寄与することを願い、地域に密着した「安心安全」な牛乳を供給しています。

福岡県 永利F-ミルク/永利牛乳(株)
写真:永利F-ミルク 紙パック

「牛乳はお母さん牛からの贈り物です」と表示されている「永利F-ミルク」は、福岡県太宰府市に工場がある永利牛乳(株)の学校給食専用の牛乳です。成分無調整牛乳の製造にこだわるとともに、工場見学や自社牧場の搾乳ふれあい体験の受け入れを通じて、食育活動に長年取り組んでいる牛乳メーカーです。牛乳の風味や成分は、乳牛が食べるエサや飼育環境、季節などによって変化する自然の恵みであることを子ども達に広く知ってもらおうという思いで取り組んでいます。「F」は、福岡県を示すとともに、Family(家族)、Farm(牧場)、Fine(元気な)、Favorite(大好きな)、Friendship(友情)等々、さまざまな単語を思い出していただきたいという思いから命名されています。

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