このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー
aff 2022 JULY 7月号
7月号トップへ戻る

大好きな海を学びたい水産高校へようこそ

大好きな海を学びたい水産高校へようこそ

水産業に関わる専門技術や知識を身につける場として、全国に46校の水産高校が設置されています。そこで学ぶ生徒たちの本音をはじめ、実習や部活など日々の学校生活まで、その知られざる魅力に迫ります!

水産関連分野で活躍する
即戦力を養成

水産高校分布図

水産高校では、教科「水産」の科目を設置して専門教育を実施することで、将来水産業に携わる人材の育成に努めています。現在、全国に約4,900校ある高校の中で水産高校は46校。全国約300万人の高校生の中で、水産高校生は本科生(1年生から3年生)8,237名、専科生537名の計8,774名。そう聞けば非常に珍しい存在に思えますが、水産高校は日本各地に点在。海のない県にも水産高校はあるのです。実は身近な存在である水産高校。その実態に迫ります。

水産高校に潜入! 水産高校に潜入!

今回訪れたのは、
静岡県焼津市にある焼津水産高校。
海風香る漁港の町で学ぶ生徒たちの
学校生活をのぞいてみましょう。

2022年の創立100周年を記念して校庭に描かれた
「YS 100TH」の人文字。
「地域と共に次なる100年へ
Go ahead」をスローガンに掲げ、さらなる躍進を目指す

今年で創立100周年の
歴史ある水産高校

焼津水産高校の魅力のひとつが、充実の設備です。海沿いに建つ臨海実習場やマリン技術実習棟では、実際に海に触れる実習が可能。製造実習工場は本格的な食品製造設備を備え、缶詰やレトルトの製造も体験できます。さらに2024年1月には、新校舎も竣工予定。長い歴史と最新の設備を兼ね備えた水産高校です。

1922年の11月11日に落成された校舎。官公庁として県内初の鉄筋コンクリート製の建物だった。

在校生インタビュー 在校生インタビュー

これからも続けたい深海の研究 相澤悠生さん 海洋科学科3年/生徒会長 これからも続けたい深海の研究 相澤悠生さん 海洋科学科3年/生徒会長

幼い頃から深海生物が好きで、この近所にある祖父の家に向かう途中、母に「この学校に行く」と宣言していたようです。そして海洋科学科に入り、2年次からは海を幅広く学習し、海洋環境やダイビング技術を学ぶための開発類型に進みました。座学では生物学、実習では主にダイビングを中心に学び、海に潜って生物調査などをしています。いわば幼い頃からの夢を実現しているような状態。いまは深海のサメの研究をしていて、秋の研究発表の後にも研究を継続できれば良いと思っています。

幼い頃からの趣味が現在の研究に 谷澤里桜さん 栽培漁業科 3年/生徒会役員 幼い頃からの趣味が現在の研究に 谷澤里桜さん 栽培漁業科 3年/生徒会役員

小さい頃からキンギョやメダカを育てるのが好きで、自然とこの学校を選びました。私が学ぶ栽培漁業科は、まさに海の生き物のことや養殖について学ぶクラス。種苗生産という、卵を生ませて孵化して育てて出荷する、という一連の流れを学ぶこともできます。普通の高校ではできないであろう経験も多く、得ることが多い毎日。いまは実習では初の試みとなるニジマスを飼育中です。そんな挑戦ができるのも、この学校の魅力だと思います。

Q:授業の特徴を教えて下さい! A:やはり特徴は実習でしょう。海洋科学科なら外洋に出て航海する海洋実習、食品科学科なら実際の食品の製造、流通情報科なら模擬会社の運営、栽培漁業科は数々の魚を飼育。どれも実際に社会で行われていることを体験して学ぶ、実践的な実習です。実習を通して、技術や知識はもちろん、水産業の楽しさや仲間との連帯感なども身につくことと思います。

海と漁を学ぶ実習船「やいづ」

海洋科学科2、3年生と専攻科の生徒が、将来、航海士や機関士になるため、約4週間に渡り乗船実習や漁労実習を行います。その舞台となるのが、海洋実習船「やいづ」です。全長65.24メートル、全幅9.70メートル、総トン数559トンの大型船。船内では教室での授業をはじめ、ブリッジでの操船実習や天体観測、また、エンジンルームでは船の心臓部である機関室やコントロールルームでの機関当直実習など、実際に船に触れて学ぶ実践的な実習が行われます。航海中の起床は6時20分、就寝は21時30分。厳しい時間管理下での生活ですが、将来のための大切な実習です。

部活紹介! 部活紹介!

カッターやカヌーに海洋部と水産高校ならではの部活も充実

明治神宮野球大会への出場経験もある古豪の野球部や、2019年のラグビーワールドカップ日本大会を機に盛り上がるラグビー部をはじめ、スポーツ系から文化系まで部活は多彩。水産高校らしく、カッターという小型船を操るカッター部や、インターハイ出場も果たすカヌー部、主に水産生物の飼育や観察を行う生物部、さらに海洋部フィッシング班、海洋部ダイビング班など海に関わる部活も盛んです。

12人全員が息を合わせ力強く漕ぐ、
その一体感がカッターの魅力だ。

学校近くの小川港には実習棟があり
海洋系部活の拠点となっている。

水産高校ならではの
商品開発も!

みなさんおなじみのまぐろ油漬缶詰は、捕れすぎたビンナガマグロを県の水産試験場の技士が油漬けにして缶詰加工する技術を開発し、これをもとに1929年、焼津水産学校(当時)の実習場で生産されたものがはじまり。その後、「まぐろ油漬缶詰」はアメリカへ輸出されて成功を収め、これが静岡県で缶詰製造が盛んになったきっかけといわれています。
ほかにも食品科学科や流通情報科の実習を通して世に送り出された商品は数多くあります。

生徒考案の鰹節を使ったクッキーは、いまや焼津土産の人気者。焼津産のカツオを使う「美味SEA★かつおバーガー」は、全国の高校生がアイデア料理を競う「第10回 ご当地!絶品うまいもん甲子園」の決勝大会で特別賞を受賞。また、かつおの角煮をお茶漬けの具材としたものや、みかんが香る「かんきつゆ」など、老舗鰹節メーカーとコラボした商品も話題です。

水産業を網羅する充実の学科 水産業を網羅する充実の学科

水産業といっても、その仕事はいろいろ。
船舶の運航や整備、漁や養殖、
食品製造に販売、流通……。
そんな幅広い水産業を網羅し、
あらゆる分野のスペシャリストを
育てる焼津水産高校は、
充実の4学科で構成されています。

海洋科学科 海洋科学科

学科概要

海と船について学ぶ学科。1年次は共通、2年次から漁業や大型船の運航技術を学ぶ「航海類型」、機関の運転や整備を学ぶ「機関類型」、海洋環境やダイビング技術を通して海を幅広く学ぶ「開発類型」、船舶や海洋機械に関する技術を学ぶ「工学類型」の4つの類型に分かれ、さらに深く各専門分野を学びます。また、海洋科学科卒業後は、海技士養成大学と同じ三級海技士の免状が取得できる専攻科への進学も可能になります。

栽培漁業科 栽培漁業科

学科概要

栽培漁業科では水産生物の養殖を通して、魚の生態や生産技術、海洋環境について幅広く学びます。陸上養殖施設である臨海実習場は、水産高校が所有する施設の中で最大級の規模。海水棟ではトラフグやマダイ、ヒラメ、淡水棟ではウナギ、スッポン、ニシキゴイなどを飼育。さらに広大な路地池ではキンギョやアユの飼育も行われています。飼育魚の管理当番は、生き物の命を扱うことへの責任感や仲間との連帯感を養います。

食品科学科 食品科学科

学科概要

食品科学科が目指すのは、フードシステム全体を捉えた新世代の食品産業を担うリーダーの育成。食品製造や加工技術について体系的に学習するほか、数多くの実験実習を通して実践的な技術と知識も身につけることができます。また、食品製造や加工のおもしろさを知るのと同時に、科学的根拠に基づく衛生管理法も学べるのがこの学科の特徴。実習を通して考案したオリジナルメニューが、実際に商品化され販売されることも。

流通情報科 流通情報科

学科概要

水産物をより多くの人に、もっと効率的に届けたい。そんな理想をパソコンの操作技術や簿記の資格を活かして学ぶ流通情報科。水産物の流通、販売、商品開発のエキスパートを目指します。この科の最大の特徴は、模擬会社「フィッシュパラダイス魚国(うおこく)」の存在。生徒自身が社長や営業部長を務め、商品開発、経理業務、HP制作などを通して商品の仕入れから販売までを実践。毎年秋には、実際に商品を販売する店もオープン。

専攻科 専攻科

学科概要

卒業後、さらに学ぶことで世界の海で活躍する船舶運航のスペシャリストを目指す専攻科。その対象は海洋科学科修了の希望者です。ここで2年間学ぶことで、海技士養成大学と同じ、三級海技士の免状を取得することができます。コースは大型漁船や商船の船長、航海士として必要な知識を学ぶ航海コースと、機関長、機関士の知識を身につける機関コースの2つ。どちらも国際航海を行うことで、グローバルな感覚を身につけることができます。

Q:進路決定率100パーセントって本当ですか? A:当校は17年連続で、卒業時にすべての生徒の進路が決まっています。大学や専門学校の指定校推薦数も多く、進学を希望する生徒も多数。さらなる向上を目指し、たとえば食品科学科から調理師学校に進むなどの選択も見られます。一方で就職希望者は、実習で身につけた実践的な知識を武器に、さまざまな業界に挑んでいます。もちろん就職者のなかには、船員になる生徒も。水産に関わる業界では、多くの卒業生たちが活躍しています。

今週のまとめ

水産高校は水産業の基礎を
学ぶことができる海の専門高校です。
焼津水産高校は学科に実習が充実し、
進学と就職がともに強い高校です。
実習を通してさまざまな
オリジナルメニューも考案しています。

(PDF:12,472KB)

お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader