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農林水産省

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aff 2022 JULY 7月号
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水産業のエキスパートを養成 水産大学校を知る

水産業のエキスパートを養成 水産大学校を知る

海洋国家・日本を支える水産業。その最前線で活躍する人材のニーズは高く、全国各地には水産学を学ぶことができる大学が多数存在します。今回はそのなかから水産大学校にフォーカス。学科や実習、部活に開発商品まで、その活動を紹介します!

水産大学校分布図

水産・海洋関連分野で
活躍する即戦力を養成

水産系学部や学科があり、水産学を学ぶことができる大学は全国に20校(2020年度:全国水産・海洋系学部等協議会の会員校)が設けられています。そのなかで、今回紹介する「水産大学校」は、他の大学とは異なり(国研)水産研究・教育機構が運営する省庁大学校です。

※省庁大学校とは、行政機関が専門的な技術や知識を身につけるために設置した、防衛省所轄の「防衛大学校」 や国土交通省所轄の「気象大学校」のような学校のことをいいます。

水産大学校に潜入! 水産大学校に潜入!

水産業の盛んな山口県下関市の一角、
海と山に囲まれた豊かな自然のなかにある、
水産大学校。
約21万平方メートルの敷地のなかに、
講義棟や研究棟、
実験棟などさまざまな施設が点在し、
約900名の学生が在籍。
同大学での学びに密着しました。

横断的に水産を学ぶ
充実の学科構成

水産大学校の学科は、海洋生産から水産機械、食品加工、資源生物、流通・経営など水産業の専門分野に合う5学科と、国際的なライセンスである海技士の免許が取得できる「専攻科」、さらに、より専門性の高い知識と研究手法に関する教育や研究を行う「水産学研究科」で構成されています。

学んだ知識を海上で実践する
漁業練習船「耕洋丸」と「天鷹丸」

耕洋丸

水産大学校の漁業練習船「耕洋丸(こうようまる)」と「天鷹丸(てんようまる)」を紹介します。漁業練習船としての人材育成機能に加え、海洋調査・研究機能を併せ持ち、国内の漁業練習船では最大級となる「耕洋丸」は、全長87.59メートル、総トン数2,352トン、定員109名。また、「天鷹丸」は、全長64.67メートル、総トン数995トン、定員87名。

天鷹丸

各学科の実習において学生たちは、この「耕洋丸」、「天鷹丸」で海に出て、航海、運用、漁業、海洋観測、機関操作など、各学科に応じた技術を学びます。実習は7日から最長で3カ月。練習船での生活を通じて学生たちに規則正しい生活を体験してもらうことも目的のひとつです。同校にはさらに大学周辺の海域で実習を行う実験実習艇「紺碧」など多くの小型船舶も保有。目的に応じた船で海洋実習を行います。

練習船の出航に際し、1、2年生の有志により行われる見送りの儀式「スタンバイ」。遠洋航海の安全を祈り70年以上も受け継がれる水産大学校の伝統だ。独特な動きは、船に入った水を掻き出す動作を表している。

在校生インタビュー 在校生インタビュー

経験を糧に、いつか憧れの海技士に 西村 亮さん/海洋機械工学科4年生 経験を糧に、いつか憧れの海技士に 西村 亮さん/海洋機械工学科4年生

海技士の養成に適していると思い、水産大学校を選びました。現在は希望通り、海技士養成指定科目を中心にカリキュラムを組んで、内燃機関や船舶機器の取り扱いを学んでいます。どの授業や実習も実践的ですが、とくに3年次に行われた約1カ月間の乗船実習は、実際に航行している船の中で、さまざまな装置や機器を扱うことができた経験として記憶に残っています。これらの経験を糧に、卒業後は海技士として、人々の暮らしを支える仕事に就きたいと思っています。

海洋機械実習B.での配管図作成風景。西村さんは「実際の船舶で運転している機械を初めて扱うことができました」と、満足げに語る。

実体験が理解に繋がる食品製造実習 本多穣宇さん/食品科学科4年生 実体験が理解に繋がる食品製造実習 本多穣宇さん/食品科学科4年生

食品業界を目指す私にとって、食品科学科の学習内容は興味深いものばかり。水産分野を基本に、微生物学や食品全般の衛生、保存、加工について学びます。興味深かったのは食品製造学実習B.。これは食品を製造するだけでなく、HACCPの計画を学生だけで作成し衛生管理を行うため、深く理解することができました。普段、なに気なく利用しているインターネットも使えない洋上乗船実習も貴重な経験でした。

「微生物学や食品加工全般など多くの学びがありました」と語る本多さん。ゼブラフィッシュを用いた健康機能成分の研究も行った。

船上の生活は、何よりも貴重な経験 日浦奏子さん/専攻科船舶運航課程 船上の生活は、何よりも貴重な経験 日浦奏子さん/専攻科船舶運航課程

学部在籍時は漁船運航、海洋生産活動に関する科目を受講していました。専攻科に進学した現在は、カリキュラムの半分が乗船実習。船上では実践的な技術を学べるほか、クラスメイトと共同生活を行うため親交が深まります。また、船上からでしか見ることができない海洋生物や海、陸岸の景色、自然現象に遭遇することができ、貴重な経験をしていると実感しています。これからも漁船や漁業調査船運航の操船技術習得に向け、挑戦していきたいです。

「耕洋丸」での航海実習中、利用した緩衝材のエアー抜きを行う。「航海実習では船橋当直や甲板作業など実践的な内容を学びます」

大好きな海に囲まれて研究の日々 藤井香帆さん/水産学研究科 大好きな海に囲まれて研究の日々 藤井香帆さん/水産学研究科

生き物や自然が好きで水産学部を目指し、なかでも実習が豊富な水産大学校への進学を決めました。水産学研究科では研究活動がメインですが、さまざまな分野の講義を受講でき、自身の研究を深めるだけでなく、幅広い知識を得ることができます。英語の授業を通して、海外の大学との学術交流会でも役立つ英語力も身につきます。所属するダイビングサークルでは、県内の海に潜りながらダイビングのライセンス取得も。実習、研究、サークルといろいろな面で海に親しめる大学です。

海藻類の非生物的ストレス耐性の強化について研究する藤井さん。「研究成果のプレゼンなど、実践的なスキルも身につきます!」

サークル紹介! サークル紹介!

海に関わる部活や
サークル活動もいろいろ

ヨット部

部活、サークル、同好会は体育部27、文化部7、同好会13と種類が豊富。なかでも特徴的なのは、水産大学校らしい端艇部(たんていぶ)、ヨット部、ダイビング部などです。また、文化系でも水の生き物研究会、海産無脊椎動物研究部といった水産大学校ならではの活動が。海に囲まれた立地を活かし、学業だけでなく部活などでも海に親しめるのも水産大学校の大きな魅力です。

ダイビング部
水の生き物研究会

日々の研究成果を形にする
商品開発

かに香るかに風味かまぼこ
オキアミ味噌

実習や研究、共同開発によって実際に世に送り出された商品が多いのも水産大学校の特徴。たとえばオキアミ味噌。ツノナシオキアミは三陸沖で獲れるオキアミの一種ですが、自己消化酵素が強く劣化が早いため従来は食品への利用が限られていました。そこで東南アジアのエビペーストや日本の大豆味噌をヒントに条件を研究し、魚味噌製造技術の実現に至りました。

かに香るかに風味かまぼこ

また、今年、共同開発企業の(有)村田豊商店から発売されたのが「かにを使わずに作った かに香るかに風味かまぼこ」。これは、食品科学科の臼井将勝准教授らが開発した「アミノ酸と糖類の混合焙煎による香気発生技術」の応用により、甲殻類アレルギーを有する方でも安心して食べられる、新たなかに風味かまぼことして大きな注目を集めました。

※本製品にかには不使用ですが、主原料となる魚はえびやかにを捕食しています。特定原料の不使用は、製品中に「アレルゲンが存在しない」ことを科学的に保証するものではありません。

貝毒検査キット

開発製品は食品だけに限りません。(国研)水産研究・教育機構 中央水産研究所を代表研究機関として開発された「DSP Fast Assay」は、高額な機器・設備なしで貝毒を測定できる画期的な貝毒簡易検査キット。このように、水産大学校の研究成果が食卓を彩り、または、社会に役立っているのです。

各学科紹介 各学科紹介

設置学科
水産流通経営学科
学科概要
水産業の経営と流通について学ぶ学科。実践的な教育と研究を行うことで、生産者から卸売市場、加工場、流通業者を通して食卓に届くまでのシステムを総合的に見渡し、マネジメントする知識を身につけます。水産業の経済的、社会的な状況を把握し、水産物の安定供給の方策を研究する水産経済学も、この学科の学びの基礎。日本だけでなく世界全体を視野に入れ、それに関わる社会や歴史も学びながら水産業の未来を考えます。
設置学科
海洋生産管理学科
学科概要
環境や水産資源、生産管理に関わる分野を科学的に解明し、最新技術を駆使して水産資源を持続的、計画的に利用するための研究を行う学科。海洋生産運航学講座と資源管理学講座で構成され、これからの水産業に必要な知識や、幅広い理論と応用技術に関する研究を行います。カリキュラムには漁業練習船による船舶運航実習、漁業実習、海洋調査実習などが含まれ、卒業後には専攻科に進み三級海技士(航海)の国家資格を取得することも可能です。
設置学科
海洋機械工学科
学科概要
海洋と水産に関する課題を、機械工学の分野から支援するスペシャリストを育成する、水産系大学で唯一の機械工学を学習する学科。船舶エンジンに関する知識や技術に加え、水産資源の持続的な利用、海洋環境保全を目指して、先端機械工学の水産現場への導入のための知識と技術を幅広く修得。漁業練習船による乗船も含めた多彩な実習で実践的な技術も学びます。また、本学科は大型船舶の機関士を養成する学科であり、卒業後には専攻科に進み三級海技士(機関)の国家資格を取得することも可能です。
設置学科
食品科学科
学科概要
水産食品の幅広い知識を身につける学科。水産物の衛生と鮮度管理技術、食品表示、栄養・健康機能の活用による高付加価値化など高度な専門学も習得し、水産食品のスペシャリストを目指します。また、新たな加工利用技術、品質・安全確保のための管理技術、未利用資源の有効利用、嗜好性や健康機能性を加味した水産食品開発などを目指した研究のほか、有害成分を有する水産物の品質評価技術の開発などの研究にも取り組んでいます。
設置学科
生物生産学科
学科概要
水産生物の機能、繁殖、生育環境などの専門知識を学び、それを資源の増殖、養殖に役立てる技術を研究する学科。地球規模で環境問題や食料問題が広がるなか、水域の環境保全や生物資源の増大、水産増養殖に関わる知識を学ぶことで、持続的生産を目指します。6つの実習と専門教育を取り入れ、沿岸での生物調査から漁業練習船を利用した実習まで幅広い内容で実践的な知識と技術を習得。未来の海を守るエキスパートを養成します。
設置学科
専攻科
学科概要
海洋生産管理学科または海洋機械工学科で指定された科目を履修して卒業すると進学できる課程。船舶運航課程と船用機関課程があり、修業年限は1年。それぞれ三級海技士(航海)、三級海技士(機関)の国家資格の取得に必要な乗船履歴を得ることができるとともに、筆記試験が免除されます。修了後は、第一級海上特殊無線技士、船舶衛生管理者、一級小型船舶操縦士免許と特殊小型船舶操縦士免許(船舶運航課程のみ)が取得できます。
設置学科
水産学研究科
学科概要
本科卒業後、修業年限2年でさらに高度な研究を行う水産学研究科は、通常の大学における大学院修士課程に相当。それまでに習得した課程の上に、さらに広い視野に立ち、専門分野における理論と応用の研究能力を養います。専攻は漁業技術管理学と機関工学の2分野に分かれる水産技術管理学専攻と、水産資源利用学と水産資源管理学に分かれる水産資源管理利用学専攻の2つ。修了後は(独)大学改革支援・学位授与機構による論文審査等を経て、水産学修士の学位が授与されます。

ピックアップ ピックアップ

約98%の高い就職率を実現!

就職支援室は、就活に挑む学生たちの大きな支え。

海の専門知識を
武器に高い就職率を実現

水産大学校における2021年度の就職希望者の就職率は97.7パーセント。その高い就職率の理由は、やはり講義や実習を通して学んだ知識。企業などからは、学生に「専門知識がある」「業界理解がある」といった高評価が寄せられているそうです。

今週のまとめ

水産大学校は水産業の未来を
担うエキスパートを育てる場所です。
海の現場から食卓まで水産に関わる
幅広い分野を学べます。
研究成果は、水産大学校ならではの商品の
開発にもつながっています。

(PDF:10,811KB)
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大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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