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農林水産省

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2025

7月号

土地改良区

土地改良区から、コミュニティが生まれる

地域に根づく土地改良区は、コミュニティづくりでも大きく貢献しています。たくさんのコミュニティを活性化させている、岩手県と熊本県の土地改良区を紹介します。

地域と共に歩む、岩手県の土地改良区

岩手県の胆沢(いさわ)平野土地改良区は農村活性化やアドプト制度などを通して、多様なコミュニティを形成。イベントなどを通して組合員以外の人との交流も行っています。

胆沢平野土地改良区 水利整備課用排水係主事 田川幸汰さん|岩手県盛岡市生まれ。2024年から胆沢平野土地改良区に勤務。水利整備課に所属し、農業用水の安定供給を実施するため、施設の点検やゲート操作などを行う。

水利施設の魅力を伝える、水土里の皆廊(みどりのかいろう) 土地改良区が果たす役割を啓発するため円筒分水工など7つの農業水利施設や歴史的水利施設を巡る、水土里の皆廊というイベントを実施。各施設に用意したステッカーを集めるとプレゼントに応募できる企画です。休日に遠方から車で訪れる人も増えています。

古民家カフェで地域を活性化 地域活性化対策事業として、約150年前に建てられた古民家を高校生ボランティアなど、のべ308名で清掃し、1日限定でカフェを開きました。若手農家が営む焼き芋販売店やキッチンカーが出店。若者を巻き込んだ、農業の担い手確保につなげるイベントです。

活躍する女性理事たち 胆沢土地改良区では、全国の先陣を切るという思いで女性理事の登用を進め、理事13人のうち3人が女性となっています。女性理事たちは地域とのつながりが深く、行事でもコミュニケーションがスムーズに行われています。

住民が水利施設を守るアドプト制度 用水路などの水利施設を養子(アドプト)とみなして、地域の住民たちに維持管理に関わってもらうための制度に20年前から取り組み始めました。ホタルが生息する前沢水路では、草刈りなどの清掃活動を通して参加者たちの間で新たなコミュニティが生まれています。

農業法人の担い手確保を支援 管内農業法人の担い手確保を目的に、岩手県立農業大学校の学生を招待し、胆沢の農業法人見学会を行いました。水不足の心配がない大区画水田、スマート農業に対応した大型機械、法人の経営内容を紹介し、初期投資なしで就農できる農業環境の良さを伝えました。

農業経営セミナー 農業法人の役員を対象に、経営力向上を目指したセミナーを開催。県内外の若い担い手を確保している農業法人の経営者を招き、先進的な事例を紹介しています。参加者は自分達の法人にも活用できる取り組みはないか熱心に聞き入り、質疑応答も活発に行われています。

写真が伝える胆沢平野土地改良区

胆沢平野のシンボルとも言える円筒分水工は、胆沢平野の農業用水を公平に配分するためにできた分水施設です。

2014年に完成した胆沢ダムにより、農業用水の安定供給が可能になりました。近くの奥州湖展望台からはダムが一望できます。

区内にある13の頭首工のうちの1つ茂井羅頭首工。4月下旬から5月上旬の代掻き期にのみ農業用水を取水しています。

田んぼの間に民家がぽつりぽつりと離れて点在する形態を散居(さんきょ)といいます。胆沢平野は日本の三大散居集落のうちのひとつです。

ほ場整備事業を契機に誕生した施設では、旬の朝採り野菜も購入できます。

胆沢平野土地改良区では農作業の効率化を図るため、農地の形状を整え用水路を整備するほ場整備を進めています。

コミュニティの力で災害から住民を守る 熊本県では令和2年の豪雨被害をきっかけに田んぼダムを推進。百太郎溝(ひゃくたろうみぞ)土地改良区では防災活動への住民の理解や協力を進めるため、コミュニティを活用しています。|百太郎溝土地改良区事務局長 市田秀樹さん 熊本県生まれ。2001年から百太郎溝土地改良区に勤務し、2009年からは事務局長として土地改良施設の維持管理業務を行う。

百太郎溝取入口旧樋門 百太郎溝は、鎌倉時代に開削が始まったとされるかんがい用水路で、地域住民が総出で手掘りしたという、まさにコミュニティの力で完成したもの。以来何百年もの間、地域の田畑を潤してきました。旧樋門は現在、熊本県球磨郡の百太郎公園に移築復元されています。

田んぼの学校 米づくりや水路などについて学ぶ田んぼの学校では、県立南陵高校の生徒たちが専用の堰板を使って、田んぼに降った雨を一時的に溜めておく田んぼダムの仕組みを子ども達に説明。その後、実際の田んぼダムを見学して理解を深めました。

災害復旧体制会議 災害時の対応をより連携して行えるよう、多面的機能支払交付金を活用した復旧体制について話し合う場を設けています。県の関係者や関係団体、近隣の農業従事者、土木関係者が参加して水利施設の管理方法などを話し合い、情報を共有しています。

人吉球磨地域多面的機能支払連絡協議会 地域の枠を越えたコミュニティの形成を目的として、6つの村の担当者や農業従事者などが田んぼダムの取り組みの推進や地域保全の課題、事務処理などについて活発な意見交換を実施。課題解決に向けたルールづくりなどを行っています。

今週のまとめ

土地改良区の事業を通してたくさんのコミュニティが生まれています。地域とのつながりが深まると、土地への愛着が育ちます。土地改良区が開催するイベントにもぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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