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農林水産省

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2025

7月号

土地改良区

水が伝える、豊かな農村空間

農業に欠かせない水を活かすことは、農村の発展につながります。豊かな穀倉地帯として知られる新潟県と愛知県、風土が異なる2つの土地改良区を紹介します。

地域と共に歩む、新潟県の土地改良区

3つの川に囲まれ、海抜0m地帯が多い新潟市亀田郷(かめだごう)は、土地改良事業を通して県内有数の豊かな穀倉地帯へと変貌しました。近年は自然や地域の生活環境に配慮した取り組みを進めています。

亀田郷土地改良区 総務課庶務係専門員 荒木剛さん 新潟県新潟市生まれ。1991年7月から亀田郷土地改良区に勤務し、農村でのパソコン通信ネットワークの構築やパソコン教室などのIT化に取り組む。現在も組合員や地元住民との橋渡しとなるよう、広報活動や視察対応を担当。

用水管理 海抜0メートル地帯のため河川から直接ではなく、ポンプを使って田んぼに水を送り届けるために、揚水機場や用水路の整備、管理、状況に応じた補修を行っています。親松排水機場内の操作室では区域の水利施設を一元的に監視、制御しています。|排水管理 地域の多くを海抜0メートル地帯が占めていることから、排水管理がとても重要です。浸水被害を防止するため、田んぼで使った水は4つの排水機場から河川に戻します。また、亀田郷全体の排水が集まる鳥屋野潟の水位を24時間監視しています。

防災 急激な都市化が進み田んぼは70年前と比べて面積が半分以下になり、宅地が増えています。そのため農業用の排水施設が地域の防災的な役割も果たしています。2022年8月の豪雨でも、排水機場が機能したため大きな被害が出ませんでした。|環境保全 9月から翌年4月中旬までの非かんがい期には河川から農業用水の取水を停止していましたが、2007年から環境用水として水を循環するようになり、水質の浄化や景観の保全、絶滅危惧種の鳥類や魚類の保護に役立っています。

亀田郷の自然条件と土地改良区の役割

阿賀野川、信濃川、小阿賀野川という、3つの河川に囲まれた亀田郷の土地改良区では、豊かな恵みを有効活用して、米栽培が活発に行われています。|米づくりにかかわる水の流れ 河川から取水:阿賀野川、信濃川、小阿賀野川から取水します。 揚水機場:ポンプを使って川から水を汲み上げます。 用水路:揚水機場で汲み上げた水を田んぼに送ります。

排水路:田で使用した水を排水機場に流します。 排水機場:ポンプを使って水を再び川に戻します。

土地改良区の仕事

揚水機場・排水機場の造成・運転・管理 用水路・排水路の造成・管理

区画整備 農道整備

米づくりに必要な水をまんべんなく田んぼに供給するほか、農作業を効率よく進めるための整備を続けてきた亀田郷地区。かつては泥田だった一帯が、農作業米作りに適した環境へと生まれ変わったのです。

写真で見る、亀田郷の四季

亀田町が新潟市と合併した2005年に、地域の豊かな自然を記録しておこうと「亀田郷の四季」をテーマにした写真コンテストを開催。入賞作品を紹介します。

のどかな田園 空の澄んだ青さと水田で元気に育つ稲の緑、その脇の元気な白い犬との対比が美しい。 春光の田園 雪が残る田園風景。遠くに見えるのはスポーツ施設デンカビッグスワンスタジアムです。

丸山の桜並木 新潟市内の用水路沿いにある桜並木。夜はライトアップされ幻想的な光景が広がります。 冬の竹林 雪が積もった市内の竹林は、墨絵のように静かな光景です。春になると筍が顔を出します。

歓び 秋の稲刈り。体験交流会の参加者が手で稲を刈っています。豊作の歓びが表れています。 鳥屋野潟の夜明け 近くに排水機場がある鳥屋野潟。遠くにそびえる越後山脈から陽が差し込んでいます。

明治の時代から地域資産を守る

愛知県中央部の碧海台地は近くに大きな川がなく、米の栽培が難しい地域でしたが、矢作川から水を引く明治用水が完成したことで大穀倉地帯へと変貌しました。明治用水土地改良区は、この地域でたくさんの取り組みを進めています。

水源地の森林を守る 「水を使う者は自ら水をつくれ」という初代理事長の教えをもとに矢作川上流にある5カ所の水源かん養林を所有し、森林の維持管理を行っています。また、これに必要な資金を確保するため水源かん養林基金を設立し、協力金を募っています。

川の水質保全に取り組む 高度経済成長期の工業化、都市化による矢作川の深刻な水質汚染により立ち上げられた、矢作川沿岸水質保全対策協議会に参画。土地改良区としては全国で初めて水質試験室を設けました。現在もデータを収集、監視するなど水質保全に取り組んでいます。

用水路の地中化 現在の明治用水は、本流以外はすべて地中のパイプラインを通っています。そのため田んぼに送る水量を管理しやすく、節水や水質汚濁の防止が可能になりました。水路が地中化された場所は遊歩道やサイクリングロードとして活用されています。

次世代に農業の大切さを伝える 水のかんきょう学習館で行う校外学習「水のかんきょう楽校」や実習ほ場での田植えや稲刈り、生き物調査などを体験できる「水の駅」を企画、運営。子ども達に農業の大切さや農地に水を運ぶ仕組みなどを伝えています。

今週のまとめ

異なる理由で水に悩まされていた2つの地域は、それぞれ地域に合った方法で整備することで豊かな穀倉地帯へと発展しました。土地改良区は事業を通して地域の防災や景観づくり、子ども達への環境教育にも役立っています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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