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農林水産省

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2025

11月号

米

中食・外食で注目を集める多収性品種の米

温暖化や生産者の高齢化など近年、米づくりが多くの課題に直面するなか、高温に耐性が強い多収性品種の米に注目が集まっています。特に中食・外食業界では大量の米を継続的かつ安定して調達する必要があることから、多収性品種に関心が高まっています。

知っているようで知らないお米トリビア

日本人の食生活に欠かせないお米。私たちは毎月どれくらいの量をどこで食べているのでしょうか。食事とお米との関係を、データをもとに解説します。

01 国民一人当たりの月間コメ消費量 (単位=kg)

令和元年 4.6 2年 4.7 3年 4.5 4年 4.6 5年 4.6 国民1人が1か月あたりに食べる米の量は、近年ほぼ変わらず約4.6kg 出典:米穀安定供給確保支援機構「米の消費動向調査結果」

02 中食・外食での米消費は増加傾向 (単位=%)

昭和60年 家庭内食 84.8 中食・外食 15.2 平成9年 家庭内食 81.1 中食・外食 18.9 令和元年 家庭内食 67.3 中食・外食 32.7 令和3年 家庭内食 69.4 中食・外食 30.6 令和5年 家庭内食 66.8 中食・外食 33.2 ライフスタイルの変化などから食の簡便化の志向が強まっており、米を食べる割合は、中食・外食が増え、3割を超えている。 資料:農林水産省「米の1人1ヶ月当たり消費量」及び米穀安定供給確保支援機構「米の消費動向調査結果」

03 主要品種と多収性品種の違い

主な用途 主要品種 家庭内の食事 多収性品種 中食・外食 単位面積の収穫量 主要品種 普通 多収性品種 多い 稲の倒れにくさ 主要品種 弱い 多収性品種 強い 高温への耐性 主要品種 普通 (強い品種もあり) 多収性品種 強い 多収性品種の米は、一定量を安定して継続的に調達する必要がある中食・外食で使われ始めています。稲も倒れにくく、高温耐性もあり、収穫量も多いことから、栽培を始める農家も増えており、提供する店も増えていきそうです。

多収性品種「にじのきらめき」の魅力

多収性品種のなかでも、優れた味わいをもち、暑さや病気にも強いのが「にじのきらめき」です。栽培している農家の方に、その魅力を聞きました。

お話を聞いた方 (有)山善農園 代表取締役社長 杉山善昭さん 茨城県筑西市生まれ。2005年から父が経営する山善農園で小麦や大豆、米の栽培に従事。2016年から現職。

  • 栽培を始めたきっかけ 開始したのは2024年です。近年猛暑が続き、これまで栽培していた品種の品質低下が気になっていました。縞葉枯病(しまはがれびょう)という稲の病気への耐性が強いことも選んだ理由のひとつです。
  • 1年間の栽培の流れ 4月に種まき、5月に田植えをしてその後除草剤を撒き、7月に追肥、9月に稲刈りをします。今年は猛暑の関係で、例年より数日早くなりました。こうした栽培の流れは、主要品種とほぼ同じです。
  • 気をつけていること 粒が大きいため、種まきのときにこれまでと同じ重量では育つ苗の数が減ります。そのため多めに撒いています。緑の葉が目立つため、収穫時期の見極めも田んぼに入って確認することが大事です。

山善農園 杉山さんが語る 多収性品種のメリット

  1. 01 収穫量が多い これまで栽培していた品種は、100平方メートルあたり510キログラムだった収穫量が、にじのきらめきは660キログラムで、明らかに多くなりました。
  2. 02 食味がよい 香りが豊かで、食味がよいと感じます。粒が大きいので食べ応えもあり、周囲の人たちからも好評です。おいしさを調べる食味計でも高い評価値が出ています。
  3. 03 気候変動に強い 2024年、酷暑の中でもにじのきらめきは一等米として評価されました。穂が倒れにくいので、台風やゲリラ豪雨にも強いです。
  4. 04 収入が安定する 気候に左右されず安定した収入が見込める上、収穫量が多いので収入が増えます。穂が倒れにくいのでコンバインの消耗が少なくメンテナンスコストも抑えられます。

活用が広がる多収性品種 多収性品種は食味も良く、大量炊飯が求められるお弁当や給食、レストランなどでも活用が広がっています。社員食堂と日本料理店の例を紹介します。

エームサービス(株) 星野亜気さん 購買・運営管理本部 IDSセンター MD企画室 プロダクションスーパーバイザー。グループで1日約140万食を提供する給食会社の研究開発部門で、2006年より全社向けのメニュー開発に従事。和洋中からエスニック、デザートメニューまで幅広く手掛ける。

  • ベトナムチキンカレー にじのきらめきは粒がしっかりしていて粘りが控えめなので、通常はジャスミン米を使うベトナムなどのエスニック料理にも合います。甘味があるのでカレーにもぴったり。
  • 麻婆豆腐丼 白くツヤがあり味のしっかりしたにじのきらめきは、植物由来の大豆ミートを使った麻婆豆腐と相性が良いです。健康に優しく、満足感のある組み合わせです。

八ヶ岳えさき 江﨑新太郎さん 1994年東京、青山に日本料理の店「青山えさき」を開店し、24年間営業。『ミシュランガイド東京』で7年連続三つ星を獲得。2018年、山梨県の八ヶ岳に移転し、八ヶ岳えさきを開店。 写真提供:山梨県

  • 伊勢海老の「にじのきらめき」米ソース掛け 山梨県産「にじのきらめき」は粒が大きくて、コシヒカリと同等のおいしさがあります。ソースに使っても上品な甘味とコクがあり、魚介類によく合います。 写真提供:山梨県
  • 「にじのきらめき」の塩むすび ほかの食材の良さを引き出すことができるお米です。粒が大きいのでしっかり握れ、冷めてもおいしいので、おむすびに向いています。食べごたえもあります。 写真提供:山梨県

今週のまとめ

多収性品種は栽培する人たちや、料理を提供する人たちにとって多くのメリットがあります。味もおいしいことから、今後さらに生産が拡大すると消費者にも多くのメリットがありそうです。

今月の特集

  • 進化する冷凍米飯

    2025年11月12日公開

  • スポーツ栄養学からみる米の力

    2025年11月19日公開

  • 米の先物取引を知る

    2025年11月26日公開

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代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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