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農林水産省

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2026

2月号

スタートアップ

3 事業の成長に欠かせない スタートアップ支援

農業と食のスタートアップの成長には、どのような支援が大切なのでしょうか。支援する側とされる側、それぞれの立場で躍進を続けている2つの企業にお話を聞きました。

農業・食分野の可能性と有効な支援

さまざまな産業がある中で、なぜ農業・食の分野のスタートアップに投資をするのか。その理由と、企業の成長に必要な支援について聞きました。

Beyond Next Ventures 株式会社 パートナー 有馬暁澄さん 丸紅を経て現職に。アグリ・フードテック領域におけるスタートアップへの出資・伴走支援をリードし、農林水産省や大企業との協働を通じて産学官連携の強化にも取り組む。アグリ・フード分野から次世代の“GAFA”を創出することを目指している。

  • 農業・食の分野に投資する理由とは? 農業と食は、生きていく上でなくてはならない分野。さらに全世界共通なのでマーケットが大きいところが魅力です。世界のユニコーン企業(設立10年以内で、時価総額1000億円以上、非上場のベンチャー企業)の約10パーセントは、農業と食関連です。この点からもポテンシャルの高さを感じますし、世界的に農業と食分野への投資は増加してきています。
  • サプライチェーンの連携が大事 経営や資金の支援も大切ですが、個人的に農業と食の分野で最も重要な支援はスタートアップとサプライチェーン(種や肥料の販売元、農家、製造、物流、販売)の連携だと思っています。さまざまなプレイヤーといかに融合していくかが、農業・食分野のスタートアップを成長させるカギです。
  • 産学官の連携でチャンスを掴む 私がお手伝いさせていただいている農林水産省のスタートアップ支援プログラムでは、産学官(企業・大学・行政)の連携を図りながら新事業の創出や技術開発などを支援しています。大きなコミュニティなので、参加することでさまざまなチャンスを掴むことができると思います。
  • 新しい食にトライすることで消費者も支援 日本人は伝統を重んじる傾向がありますが、消費者が農業と食分野のスタートアップを支援するためには、新しい食にどんどんトライすることです。一方、そのためには、スタートアップ側は、食品の安全についての説明責任を果たさなければなりません。こうした点でも農林水産省と連携していきたいと考えています。

支援したくなるのはこんな企業! 有望なスタートアップの共通点

数々のスタートアップを支援してきた有馬さん。成功している企業には、共通点があるそうです。技術力?資金力?どんな力が必要か教えていただきました。

  • 圧倒的なビジョン 経営陣が“農業・食の社会課題解決に挑み、ニーズに応えていく!”という、強い思いと大きな野望を持って経営に取り組んでいること。
  • 消費者が求めるものを作る 自分たちにとっていいものではなく、お客様の気持ちを理解して、お客様が求めているものを作ることが大切。意外と忘れがちなポイントです。
  • 周りを惹きつける力 資金調達や研究開発も重要ですが、経営者の「人を惹きつける力」も欠かせません。サプライチェーンとの協力体制が整うほど、成長は加速します。

「知」の集積と活用の場が、スタートアップに魅力的な理由

日本における農林水産、食品分野のオープンイノベーションを創出する場として2016年4月からスタートした仕組み。さまざまな分野で合計5000人以上の会員が参加しています。

  1. 1 新しい研究シーズ 農業と食の社会課題解決のために、企業や大学で開発した技術シーズ(種)をさまざまな分野から参加している会員のサポートで育て、社会実装まで持っていきます。
  2. 2 多様なネットワーク 農林水産事業者だけではなく、工学系の事業者、金融機関などさまざまな分野の会員が集結。同じ志を持つグループが集まり、研究開発プラットフォームが作られています。
  3. 3 事業化のサポート ビジネスが苦手な大学発の技術シーズを社会実装するために、伴走支援として経営コンサルタントや、知財の専門家、投資家、金融機関にもおつなぎしています。
  4. 4 垣根を越える特別感 いろいろな分野の方に参加いただくことで、これまで難しかった農林水産と食品分野の社会的な課題を突破する新しいアプローチを創出していきます。

輸出促進を実現する ウニの短期身入れ改善システム

2018年設立の(株)北三陸ファクトリー。地域発のスタートアップとして支援を最大限に活用し、沿岸資源の課題に対して急成長を遂げています。その取組をご紹介します。

(株)北三陸ファクトリー 代表取締役副社長兼COO 眞下美紀子さん 海を守りながらおいしいウニを育てる「ウニ再生養殖」事業や、ウニ製品を世界中に届けるためのブランディング・販売などを行っている。

  • 沿岸資源の課題 地球温暖化が原因でウニが活発化し、海の生命体の餌となる海藻を食い尽くしています。ウニ再生養殖で増えすぎたウニの密度管理を行うとともに、海藻の成長を助ける窒素やリンなどを含むウニの殻を砕いて堆肥ブロックにすることで、藻場の回復を目指しています。 提供:三陸ボランティアダイバーズ
  • 技術開発 ウニがよく育つカゴと、ウニがおいしくなるエサで、中身がスカスカだったウニを約2カ月間で育てる、うに再生養殖の技術を開発しました。海を豊かにしながらおいしいウニを安定的に育てるという目標に向けて、農林水産省の支援を得て、陸上養殖の技術開発に取り組んでいます。
  • 日本食の海外展開 海外での寿司人気の高まりとともに、イタリア、フランス、スペインなどから日本の高品質なウニを欲しいという問い合わせが増えてきました。さまざまな食品安全規格も取得し、海外へ向けての生産体制を整える取り組みを進めています。

スタートアップが生み出す価値

  • 地域活性化 天然漁業では限界のある現状を打開することで、地元の漁師さんや漁協さん、さらに地域の若い人たちの新しい雇用の場が広がり始めています。
  • 環境問題 海の環境課題は大きすぎて、我々だけでは解決できないこと。資金、技術、発信力などさまざまな支援のおかげで今があります。
  • 異分野との連携 国内外で鮮魚販売を展開する企業や食品メーカーなどと連携し、寿司をはじめとする日本の食文化を海外に広め、高めていくポジションを目指しています。

今週のまとめ

支援する側とされる側、ともに共通しているのは“社会課題を解決したい!“という強い想い。スタートアップ支援によって、さまざまな可能性が広がり始めています。

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お問合せ先

大臣官房広報評価課広報室

代表:03-3502-8111(内線3074)
ダイヤルイン:03-3502-8449

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