このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

始まった食品事業者の取組:森永乳業株式会社

sdgのロゴ 始まった食品事業者の取組

森永乳業株式会社
森永本社の集合写真
インタビューで取り上げたSDGs
目標3のロゴ目標9のロゴ目標11のロゴ目標12のロゴ目標13のロゴ目標14のロゴ目標15のロゴ目標17のロゴ

   森永乳業株式会社は、お客さまのかがやく “笑顔” のために、創業から培ってきたノウハウを活かし、商品としての「乳」だけにこだわらず、独自性のある様々な商品やサービスを届け、心とからだの両面からお客さまの健康を支え、幸せな生活に貢献することで、笑顔あふれる豊かな社会をつくることを目指しています。
   この度、企業のCSR活動とSDGsの取組について、森永乳業株式会社のコミュニケーション本部 CSR推進部長 山口 清之さん、コミュニケーション本部 CSR推進部 環境対策グループ長 遠藤 雅人さん、コミュニケーション本部 広報IR部 広報グループ リーダー 片野 笑さんにお話を伺いましたので、その内容を紹介いたします。

取材日:2019年5月24日 森永乳業株式会社本社にて
写真左     森永乳業株式会社 コミュニケーション本部 CSR推進部 環境対策グループ長 遠藤 雅人 さん
写真中央  森永乳業株式会社 コミュニケーション本部 CSR推進部長 山口 清之さん
写真右     森永乳業株式会社 コミュニケーション本部 広報IR部 広報グループ リーダー 片野 笑さん

組織改革から始まったSDGsの取組

   森永乳業は、以前は広報部の中にCSR室を設置していましたが、2016年6月にCSR推進部を設立し、経営理念や企業風土の改革も担当する部署として強化しました。この背景には、CSRを「経営そのもの」と捉えて会社の取組に横串を刺したい、もっとアグレッシブに挑戦する自律型組織に変えていきたいという社長の強い想いがあります。CSR推進部の設立に合わせ、社長を委員長とするCSR委員会を立ち上げ、委員として全役員、各部長級の者が参画しています。
   第1回CSR委員会(2016年7月開催)では、自分たちの事業活動の棚卸しから始め、従来の縦割りではなく横断的に会社の取組を整理しました。それまでも当社が社会に貢献して責任を果たしてきた企業であるという強い想いはありましたが、一方で、株主や投資家などから問われることが増えたSDGsやESGといった社会要請や社会課題への取組について整理ができていませんでした。
   2017年5月には、外部から専門家を講師に招き、「SDGsとは何か?」を学び、自社の活動がサプライチェーン全体にどのようなプラスとマイナスの影響があるのかを考えました。これらをSDGsと関連づけながら議論することで、サプライチェーン上の「機会」と「リスク」を可視化することができましたが、森永乳業の重要課題(マテリアリティ)を特定するまでには至りませんでした。2018年2月~4月に関係部門の従業員約30名を集めたワークショップ(全4回)の中で自分たちの重要課題をまとめ、第6回CSR委員会(2018年5月開催)では、SDGsとのつながりも含め、7つの重要取組課題を策定しました。
   この他に、CSR委員会では個別のテーマも議論しています。例えば、森永乳業は2018年3月に RSPO(Roundtable on Sustainable Palm Oil:持続可能なパーム油のための円卓会議)に加盟しました。これは調達部から課題としてあがってきたものですが、全社で考える必要を感じたため、CSR委員会の下に調達分科会を設置して検討し、加盟に至りました。このことにより、パーム油に関して外部からお問い合わせをいただいても全社的に対応できるようになり、自分ごととしてこの問題を捉えることができるようになりました。

重要取組課題
【森永乳業サステナビリティレポート2018】より
【7つの重要取組課題】
【健康・栄養】
「かがやく“笑顔” 」を実現する機能性と嗜好性を兼ね備えた商品を開発・販売し、健康・栄養をお届けします。
【環境】
省エネルギー、廃棄物削減に取り組みながら安全・安心な商品を製造し、サステナブルな社会づくりに貢献します。
【人権】
人権に配慮した事業活動を行い、多様性を尊重し、あらゆる人々が能力を充分に発揮できる環境をつくります。
【供給】
環境・人権に配慮した原材料を調達し、安全・安心を重視した製造を経て、高品質な商品をお届けします。
【次世代育成】
サステナブルな社会づくりに貢献する次の世代を育成し、未来をつくります。
【人財育成】
「かがやく“笑顔” 」を実現する人財の育成に力を入れていきます。
【コーポレート・ガバナンス】
持続的な成長と企業価値の向上の実現に向けて実効性の高いガバナンス体制の整備および充実に継続的に取り組みます。

SDGsを中期経営計画に

   森永乳業では、人口動態の変化や需要の変化、自然災害の増加など、様々な外部環境の変化に対応するため、今年度より新しい中期経営計画(2020年3月期~2022年3月期)を策定しました。この3年間を確固たる事業基盤づくりの期間と位置付け、「4本の事業の柱横断取り組み強化による持続的成長」、「経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践(重要取組課題)」、「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」の3つを基本方針に定め、売上高や営業利益などの数値目標を設定しました。
   特に方針ローマ数字の2のESG重視経営の実践では、従業員と一緒に策定した7つの重要取組課題をSDGsに関連づけるとともに、それぞれにKPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)を設定し、達成を目指しています。

経営計画基本方針

健康維持に役立てる「乳で培った技術」をすべての人に

   7つの重要取組課題の柱のひとつが「健康・栄養」です。健康というのは非常に幅広い概念で、お客様によって求めるものは様々ですが、森永乳業では乳と、乳で培った技術を活かして、お役に立ちたいと考えています。
   例えば、森永乳業は、乳の研究を進める中で、数々の機能性素材を開発してきました。その中でも赤ちゃんの健康的な発育という観点で、早くから腸内細菌に着目し、1969年にビフィズス菌B536を発見。1971年に日本で初めてビフィズス菌入りヨーグルトを発売し、健康に寄与してきました。
   その後、研究を進める中で発見した「ビフィズス菌M-16V」は、子供たちの健康を守って成長を助けてくれるビフィズス菌として、森永乳業が独自に開発したプロバイオティクスです。特に、低体重で生まれた赤ちゃんの腸内フローラの形成や免疫機能の発達を助け、感染症を予防したりする働きが確認されており、20年以上前から国内外120以上の医療機関に「ビフィズス菌M-16V」を提供しています。
   この他、「シールド乳酸菌®」は、森永乳業が保有する数千株の中から選ばれた当社独自の乳酸菌で、加熱殺菌体でありながら効果を期待でき、食品の風味に影響を与えづらいため、様々な商品に添加が可能であり、現在、BtoB向けの素材として、のべ300社以上の企業に採用いただいています。

M-16V ビフィズス菌M-16V
シールド乳酸菌M-1シールド乳酸菌®

   このように健康・栄養に配慮した商品が、社会課題の解決に深く繋がっていると感じており、新しい中期経営計画の中では、ビフィズス菌などの菌体BtoB事業の強化を目的とした積極的な設備投資を行う計画です。

ビフィズス菌の戦略図

環境対策を全社的な対応に

   ESG重視経営に向けた組織改革の一環として、森永乳業では、生産部門に設置していた環境対策グループを2018年6月にCSR推進部に移管しました。環境対策グループの業務は、従来は省エネや廃棄物、工場の効率化が主軸でしたが、現在では商品開発や調達などライフサイクル全体を通した環境配慮に活動の幅を広げています。また、社会要請に合わせた外部への情報発信の必要性も強く感じています。
   商品開発に関わる部分での取組としては、昨年より商品の開発に際し、容器包装の環境配慮設計に関するチェックリストを導入しています。チェックリストに当てはまる場合には、「〇」を記入しますが、必ずしもすべてが当てはまるわけではありません。出来ていない場合には、これ以上改善できない理由を評価し、記録・確認することでしっかり課題意識を持ち、次回の開発時に活かしていく仕組みとしています。

【新商品の開発に際して確認すること】
  1. 全ての容器包装構成部品について
    • (1)素材量削減
      • a.空間容積率を増やすことは出来ないか
      • b.容器の薄肉・軽量化は出来ないか
    • (2)部品点数削減
      • c.包装形態を単純化・簡素化出来ないか
    • (3)廃棄時の減容化
      • d-1.使用後の洗浄・分別は容易化出来ないか
      • d-2.廃棄時につぶすなどの減容化が容易に出来ないか
  2. プラスチックの容器包装構成部品について
      • e.紙製に変更出来ないか
      • f. 再生プラスチックやバイオプラスチックに変更出来ないか
  3. プラと紙の複合素材容器包装構成部品について
      • g.単一素材に出来ないか
      • h.容易に分離することは出来ないか
  4. 紙の素材容器包装構成部品について
      • i.FSCなど環境認証素材に出来ないか
  5. その他
      • j.他に環境配慮する部分はないか

緊急時も想定した対策を

   森永乳業では、緊急時においても、できる限り商品をお届けすることも果たすべき役割のひとつであると考えています。特に、乳幼児ミルク(調整粉乳)や、高栄養流動食など「食事に制約のある弱者(乳児・病人)向け」への対応については、最優先課題であるとして、他の商品とは別に供給の継続体制を構築しています。
   具体的には、関東・関西の出荷拠点が機能しなくなった場合に備えて、東海及びその他の出荷拠点などから、機能しなくなった拠点の近郊拠点に輸送できるような体制を整備し、シミュレーションと訓練を行っています。また、製造工場が被災した場合に備えて一部の商品については在庫を多めに持つこととしています。
   2013年にBCP(事業継続計画)を策定してから、災害など緊急の事態が発生した際の各種対策、役割分担などを明文化し、関係部署が円滑・迅速に行動できるようにしています。BCPは、大きな環境の変化があった際や、定期的な訓練により実効性の見直しを行い、お客さまや取引先、地域社会などのステークホルダーからの期待や要請に的確に応えられるよう改善を図っています。

緊急支援商品
長期保存商品

森永乳業らしいSDGsをめざして

   SDGsは自分たちの事業を棚卸しして言語化し、外部に発信するだけではなく、社内に対しても事業活動と社会課題との関係を考えることに役立っていると思います。
   森永乳業では、従業員の代表が重要取組課題の策定を行いました。また、2017年9月の創業100周年の機会に経営理念をつくった際も、全国から167名の社員が集まり2日間にわたり「夢共創プロジェクト」を実施しました。こうして社員が参画することで、自らが向かうべき方向を考えて育ち、自律した企業風土になることをめざしています。
   経営理念やSDGsの社内浸透にあたっては、上から押しつけるのではなく、自発的に手をあげてもらうことが理想です。最近は営業部門や地方の事業所から説明を求められる機会が増え、社内の関心も高まっていると感じています。健康と栄養が本業であるという森永乳業らしさを活かし、これからも常に赤ちゃんから高齢者まで健康と栄養を提供することで社会に貢献し、豊かな社会「かがやく“笑顔”」の実現をめざします。

森永乳業株式会社の皆様、
インタビューのご協力ありがとうございました。
※インタビューで扱った内容は
企業が取り組むSDGsの一部です。

お問合せ先

食料産業局企画課

代表:03-3502-8111(内線4135)
ダイヤルイン:03-6744-2064
FAX番号:03-3508-2417