第1節 ボランティア活動等における取組
食生活が多様化する中で、地域の郷土料理や伝統料理等の食文化を大切にし、次の世代への継承を図るには、地域の食生活改善推進員など国民の生活に密着した活動を行っている食育ボランティアの役割が重要です(事例:食生活改善推進員による食文化継承の取組 参照)。
一般財団法人日本食生活協会では、日本の食に対する興味や関心を高め郷土料理の更なる活性化に寄与することを目的として、平成28(2016)年度に「郷土料理スペシャリスト」の認定制度を開設しました。開始後2年間は食生活改善推進員を対象としており、平成29(2017)年度には「郷土料理スペシャリスト」が89名認定され活動しています。
また、食生活改善推進員は、郷土料理や食文化の継承を目的とした「おやこの食育教室」等を実施しており、子供とその保護者が一緒に郷土料理をつくる体験学習が各地で行われています。
さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、伝統的な郷土料理を味わう旅のガイドブック「日本の味郷土料理めぐり」を作成しました。各都道府県の観光地や地域に伝わる郷土料理を外国人観光客にも味わっていただければと英訳も添えています。
事例:食生活改善推進員による食文化継承の取組
一般財団法人 日本食生活協会
小学校で『だし教室』(横浜市協議会)
毎年数校に出向き、小学5年生を対象に家庭科の授業において、「だし教室」を開催しています。まず、だしの試飲と味比べを行います。昆布、昆布と鰹節、椎茸、煮干しのだしを用意したところ、子供たちに好評だったのは昆布と鰹節のだしでした。その後、グループに分かれて家庭から持ち寄った食材で煮干しだしの味噌汁を作りました。
毎年驚かされる事は、だし用の煮干しではなくおつまみ用の小魚を持ってくる子供が数人います。このような授業を実施するたびに、日本の伝統食である味噌汁やだし文化を次世代に伝えていく必要性を感じます。
『うどんだけではないさぬきの味』(香川県協議会)
「うどん県」で売り出し中の香川県の食は、うどんだけではありません。
瀬戸内の小魚、海藻、季節ごとの山菜や野菜。特に、しょうゆ豆、押しずし、あんもち雑煮、いぎす豆腐等々は自慢の郷土料理です。現代風に少しアレンジを加えて、現代っ子に伝えたい「新香川の味」として伝えています。また、高齢者に根強い人気の「げんこつ飴」づくりでは、名前の由来や道具の石臼など知らないことばかりで、「へぇ、そうなんだ」、「知ってるよ」など子供たちのにぎやかな声が飛び交い、「面白い」、「美味しいね」と嬉しい反響が返ってきました。
『おはぎの唄とごはん食』(奈良県協議会)
中学生を対象に、ふるさと体験で、語り継がれる母の味でもある郷土料理の調理実習を行いました。米を主食とした日本型食生活は健康を重視したものでありますが、今回は、「♪おはぎが嫁に行くときは、きな粉とあんこが化粧して、お椀の舟に箸の櫂、お口の宿に着きました。♪」と、よく地域の母親達が歌っていた「おはぎの唄」を歌いながら、先人の知恵を「伝えておきたい残したいごはん食」を作る楽しさ、味覚の定着、正しい食習慣を身に付けることを願いながら楽しい授業を行いました。
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