特集 子供・若い世代を中心とした食育の推進
なぜ子供・若い世代を中心とした食育が必要なの?

- 子供のうちに健全な食生活を確立することは、生涯にわたり健全な心身を培い、豊かな人間性を育んでいく基礎となります。
- 20~30歳代の若い世代(以下「若い世代」)は、男性の将来の肥満が懸念されることや、女性の痩せなど食生活に起因する課題が多くある状況です。
- 食への関心や理解を進めるためには、子供の頃から農林水産物の生産に関する体験活動を行い、農林水産業についての意識や理解を深めてもらうことが重要です。
- このようなことから、本特集では子供・若い世代の食育に関する意識や実践の状況、取組事例を紹介します。
子供・若い世代における食育への関心や食生活等の現状
朝食を欠食する人の割合
朝食を欠食する人(「週に2~3日食べる」及び「ほとんど食べない」)の割合について、若い世代では28.3%と全体と比べて高い状況です。特に男性では「ほとんど食べない」と回答した人が22.8%です。

子供・若い世代における食育への関心や食生活等の現状
普段の食事の準備の状況
普段の食事の準備について、若い世代では「自分で食事を準備していない」と回答した人の割合が27.9%で全体と比べて高いほか、世代を問わず、男性が女性に比べて高くなっています。
乳幼児がいる世帯では、全体と比べて「一部市販食品を取り入れて、食事を準備している」の割合が高くなっています。


~講話と調理体験を組み合わせ、自らの食生活に手軽に取り入れられる朝食を~(栃木県)
- 進学や就職で生活環境が変化することによって、食生活が乱れがちになる新入社員や大学生に対して、食育ボランティア「とちぎ食育応援団」による、食育出前講座を公益財団法人栃木県農業振興公社に委託し実施しています。
- 2023年度は、栃木トヨタ自動車株式会社の新入社員研修の中で、朝食の重要さや、県産農産物への理解促進を盛り込んだ講話や、食事にかける時間が短い傾向にある若い世代が日々の食生活に取り入れやすいように、ミニおにぎりやみそ玉を用いたみそ汁づくりの調理体験を行いました。
- 県産の農産物や朝食の必要性の理解が深まり、若い世代を対象とした食育の重要性が改めて明らかになりました。

とちぎ食育応援団による講話の様子

調理体験と試食の様子
子供・若い世代における食育への関心や食生活等の現状
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事の摂取頻度
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を1日2回以上ほぼ毎日食べている人の割合は、若い世代で28.3%と、全体と比べて低い結果となりました。



- 厚生労働省は、「健康的で持続可能な食環境づくりのための戦略的イニシアチブ」において、「食塩の過剰摂取」の解決に向けて、健康的で持続可能な食環境づくりに取り組んでいます。
- 2023年11月に、こども家庭庁及び消費者庁の協力の下、子供向けの減塩普及啓発資料「知っていますか?食塩のとりすぎ問題」を作成し、本資料を活用したワークショップを開催しました。
- ワークショップでは、適切な食塩量の献立作成、食塩をとりすぎないための工夫等、自分自身や家族と一緒に取り組みたいことなどを発表し合いました。
- 参加者アンケートでは約9割が「食塩を減らす工夫をして、できるだけとりすぎに気を付けようと思った。」と回答しました。
- 子供たちは「食塩の過剰摂取」の問題があることを学び、自ら次のアクションにつなげようと、意欲的に取り組んでいました。

減塩普及啓発資料表紙

減塩普及啓発資料裏表紙
子供・若い世代における食育への関心や食生活等の現状
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事のために必要なこと
主食・主菜・副菜を組み合わせた食事を食べる回数を増やすために必要なことについて聞いたところ、若い世代では「時間があること」、「食費に余裕があること」の割合が多く、子供と同居している世帯では、「時間があること」、「手間がかからないこと」、「食費に余裕があること」の割合が多いという結果になりました。


~子育て世帯を食生活の面から応援~(新潟県)
- 2023年度の食育月間に、子育て世帯の方に向けたリーフレットを作成しました。子育て世帯を食生活の面から応援する取組の1つとして、県独自の基準を満たした惣菜・弁当「からだがよろこぶデリ」を活用することで、家事時間の短縮とバランスのよい食事の組合せができること等を紹介しています。
- 南魚沼保健所では、保育所・認定こども園と連携した子育て世代対象食育アンケートを実施しました。
- その結果、子育て世帯の食事の担当者は同年代と比較して、食育への関心が高い一方で、「野菜不足」、「栄養バランス」等を心配していることが伺えました。また、中食の利用頻度は同年代と比較して高い傾向があり、「時間がない」ことや核家族の増加が影響していることが考えられます。

子育て世帯向け「無理なく気軽に食育!」リーフレット
子供・若い世代における食育への関心や食生活等の現状
今後、食育として実践したいこと
今後、食育として実践したいことを聞いたところ、男女ともに「栄養バランスのとれた食生活を実践したい」を挙げた人が最も多く、他の世代に比べて若い世代では、「自分で調理する機会」、「家族と調理する機会」等を増やしたいと考えている人が多い結果となりました。また、男女別では男性は全体的に低く、女性は全体的に高い傾向となりました。

資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(2023年11月実施)

株式会社共立(きょうりつ)メンテナンス(東京都)
- 創業時から手作りの料理の提供を寮の運営の軸としています。
- 管理栄養士が考案した朝夕の食事は、それぞれの寮で一食一食を手作りしています。
- 提供される食事は、行事食や郷土料理を取り入れたり、国産の米や旬の野菜を取り入れたりするなど、季節のおいしいものを食べてもらえるよう心掛けています。
- 現在は、健康や栄養バランスに配慮した食事をとりたい、といった社会の動きも踏まえ、野菜摂取の増加に向けた取組も進めています。

季節の食材を取り入れた食事の提供の例
若い世代の食生活等の現状


資料:農林水産省「食育に関する意識調査」(2023年11月実施)
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