このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

食品に含まれているアクリルアミド

どのようにして食品でできるのか

  • 食品中にアクリルアミドができる主な原因は、原材料に含まれている特定のアミノ酸(アスパラギン)と果糖やブドウ糖などの還元糖が、揚げる、焼く、焙るなどの高温での加熱(120℃以上)により化学反応を起こすためと考えられています。水分含有量の少ない場合には、特にアクリルアミドができやすくなるとされています。
  • アミノ酸や糖類は、食品にごく普通に含まれている一般的な化学物質であり、栄養成分でもあります。特に、穀類、いも類、野菜類などに豊富に含まれています。食品に含まれているそのような化学物質は、加熱によって分解したり、別の化学物質に変化したりしますが、その過程でアクリルアミドもできてしまうと考えられています。
  • 食品の加熱によって起こる食品成分の化学変化は、色や風味の形成のように食品の美味しさにとても重要な役割を果たしていることが知られています。加熱すると、食品の消化性が良くなりますし、有害な微生物も殺菌されます。そのため、風味や食感といった食品に求められている品質を保ちながら、アクリルアミドができないように加熱調理することはとても難しいのです。ですから、世界中の研究者や食品企業は、食品に含まれるアクリルアミドをできるだけ少なくするための研究を続けています。

どのような食品に含まれているのか

  • アクリルアミドは、炭水化物を多く含む原材料を高温(120℃以上)で加熱調理した食品に含まれる可能性があります。例えば、ポテトチップス、フライドポテトなど、じゃがいもを揚げたスナックや料理、ビスケット、クッキーのように穀類を原材料とする焼き菓子などに、高濃度に含まれていることが報告されています。
  • コーヒー豆、ほうじ茶葉、煎り麦のように、高温で焙煎した食品にもアクリルアミドが高濃度に含まれていることが報告されています。アクリルアミドはとても水に溶けやすいため、これらから抽出したコーヒー、ほうじ茶、麦茶などの飲料にもアクリルアミドが含まれていることが確認されています。
  • アクリルアミドが含まれている食品は、市販の加工食品だけではありません。アクリルアミドができる仕組みには食品の加熱が関係していることから、家庭で食品を調理する場合にもアクリルアミドが生成する条件がそろえば、アクリルアミドができてしまう可能性があります。例えば、野菜の素揚げや炒めもの、手作りの焼き菓子、トーストしたパンなどにもアクリルアミドが含まれていることが確認されています。
  • 加熱していない生の食材にはアクリルアミドは含まれていません。また、加熱調理した食品でも茹でたり、蒸したりした食品にはアクリルアミドが含まれていないか、含まれていても極微量であることが報告されています。
  • 食品ではありませんが、私たちが接する身近なものとしてはタバコの煙にもアクリルアミドが含まれています。

食品にどのくらい含まれているのか

  • 農林水産省は、国内外の調査でアクリルアミドが多く含まれていると報告されている加工食品や、日本人の摂取量が多い加工食品など幅広い食品を対象として、アクリルアミドの含有実態を調査しています。これまでの調査結果の一部を下表に示します。なお、詳細はこちらをご覧ください。

この表は次のことに留意してご覧ください。

  1. 各品目について、最新の調査年度の結果を示しています。
  2. 食品中のアクリルアミド濃度は、食品の製造方法や原材料の成分によって影響を受けます。そのため、同じ種類の食品でもアクリルアミド濃度は異なります。
  3. 農林水産省は、「食品中のアクリルアミドを低減するための指針」を作成し、食品関連事業者のアクリルアミド低減に向けた取組を支援しています。食品の種類によっては、食品関連事業者によるアクリルアミド低減に向けた取組の結果、示されている値よりもアクリルアミド濃度が低くなっている可能性があります。

表:食品中のアクリルアミド濃度の例(国内の最新データ)

品目 調査年度 調査点数 アクリルアミド濃度(mg/kg)
最小値 最大値 中央値1
穀類加工品
パン類(食パン、フランスパン、ロールインパンなど)
H23,H27
270
0.03未満2
0.17
-
即席中華めん
H16
30
0.02未満
0.08
0.03
シリアル食品
H22
30
0.005未満
0.63
0.078
焼き麩及び揚げ麩
H26
30
0.030未満
0.40
0.10
ばれいしょ加工品(フライドポテト) R1,R2 240 0.04 1.4 0.24
砂糖甘味料類(含蜜糖)
H27
120
0.04
1.5
0.44
果実類(乾燥果実)
H21
30
0.015
0.13
0.045
種実類(種実類加工品)
H26
122
0.030未満
4.7
0.034
菓子類
ビスケット類 H30
60
0.014
0.88
0.15
ポテトスナック R1,R2 240 0.06未満 3.6 0.59
米菓 H30
60
0.08未満
0.73
0.096
和生半生菓子
H26
120
0.03未満
0.39
-
洋生半生菓子
H26
120
0.03未満
0.44
-
乳幼児用菓子類
乳幼児用ビスケット類 R2 34 0.036 0.57
0.093
乳幼児用米菓 R2 26 0.007未満 0.13 -
嗜好飲料類
麦茶(煎り麦) H30
60
0.11
0.34
0.21
ほうじ茶(茶葉)
H28
60
0.03未満
1.0
0.25
レギュラーコーヒー(豆) H30
60
0.14
0.38
0.26
インスタントコーヒー(固体) H30
60
0.30
1.0
0.54
調味料類
しょうゆ
H18
50
0.004未満
0.006
-
みそ
H18
50
0.020未満
0.020未満
-
その他の加工食品
カレールウ R1 60 0.02 0.55 0.08
レトルトカレー
H28
60
0.03未満
0.27
0.05
天ぷら
H26
120
0.01未満
0.18
0.01
揚げ物類(天ぷらを除く)
H26
120
0.01未満
0.55
0.01
お好み焼き・たこ焼き
H26
30
0.01未満
0.09
0.02
調理食品(炒め野菜)
H19
180
0.012未満
0.62
0.023

(平成16~令和2年度に農林水産省が実施したアクリルアミドの含有実態調査結果の一部)

1 複数のデータを、数値が小さい方から順番に並べた時、ちょうど中央にくる値のことです。50%を超える試料が定量された場合についてのみ記載しています。
2 平成27年度の定量限界(0.03 mg/kg)を用いて集計しました。

  • 日本では、食品に含まれているアクリルアミドについて、食品衛生法等に基づく基準値等は設けられていません。また、海外でも食品に含まれているアクリルアミドの規制を行っている国、地域はごく限られています。

アクリルアミド濃度を低減させた事例

2002年に食品にアクリルアミドが含まれるとわかって以降、世界各国で食品中のアクリルアミド低減に向けた調査研究が進められています。一部の食品では、低減対策についての知見が蓄積し、食品関連事業者がアクリルアミド低減に向けた自主的な取組を行っています。我が国でも、農林水産省の調査により、例えば、ポテトスナック及びフライドポテトについて、食品関連事業者が自主的な取組により、アクリルアミド濃度を低減させたことが裏付けられました。詳細はこちらをご覧ください。

関連情報

詳細編:食品中のアクリルアミドができる仕組み

詳細編:食品中のアクリルアミドの含有実態調査

詳細編:農林水産省の調査により、アクリルアミド濃度が低減が裏付けられた事例