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農林水産省

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作成日:平成29年7月19日

肉用牛農場のカンピロバクター保有状況調査

 2.3.2.1. 牛農場

 2.3.2.1.2. 肉用牛農場の菌保有状況調査(平成24年度)

肉用牛農場のカンピロバクターの保有状況の傾向を把握するために、50農場において、1農場につき10頭(計500頭)を対象にカンピロバクターの調査を行いました。

その結果、農場のカンピロバクター保有率は78%、肉用牛のカンピロバクター保有率は39%でした。また、カンピロバクターを保有する農場の87%において2頭以上の牛からカンピロバクターが分離されました。

(1) 目的

肉用牛農場と肉用牛のカンピロバクターの保有状況の傾向を把握する。

(2) 試料の採取

平成24年8月~平成25年1月に、肉用牛を飼育する50農場で、1農場につき10頭(計500頭)の肥育舎の牛の直腸便(1農場につき試料10点)を採取しました。調査対象の牛の平均月齢は約23か月齢(3~38か月齢、調査対象の牛の約7割が21か月齢以上)でした。

(3) 微生物試験

直腸便を試料としてカンピロバクターの定性試験(3.1.1.1 (1))を行いました。これらの試料(10頭の直腸便)のうち1点でもカンピロバクターが分離された農場は、陽性(カンピロバクター保有)と判定しました。分離されたカンピロバクターについては、生化学的試験及びPCR法により菌種(Campylobacter jejuni, C.coli)を同定(3.1.3.1)しました。菌株の同一性を確認するため、薬剤感受性試験(3.1.3.3 (2)を行いました。

(4) 結果

肉用牛農場及び肉用牛のカンピロバクター保有状況

肉用牛農場のカンピロバクター保有率は78%(39/50)で、24農場からはC.jejuni のみ、1農場からはC.coli のみ、残りの14農場からはC.jejuniC.coli の両方が分離されました。また、肉用牛のカンピロバクター保有率は39%(193/500)で、154頭からはC.jejuni のみ、36頭からはC.coli のみ、残りの3頭からはC.jejuniC.coli の両方が分離されました(表24)。

表24:肉用牛農場におけるカンピロバクター保有状況

対象 調査数 陽性数 陽性率(%)

肉用牛農場

50農場

39農場

78

肉用牛

  500頭      

  193頭     

39

 

 ○各肉用牛農場のカンピロバクター陽性牛の頭数

カンピロバクター陽性農場の39農場のうち34農場(87%)において、調査対象の10頭のうち2頭以上が陽性でした(表25)。そのうち13農場では、同じ菌種で、性状(薬剤耐性パターン)が同じ菌が複数の牛から分離されました。

表25:各肉用牛農場のカンピロバクター陽性牛の頭数

対象

該当農場数

割合(%)

1頭

5

13

2頭

3

  8 

3頭

5

  13  

4頭

4

  10  

5頭

6

15

6頭

5

13

7頭

3

 8

8頭

4

10

9頭

2

5

10頭

2

5

合計

39  

 - 

小数第1位を四捨五入したため、足し合わせても100%にならない。

指導者・事業者の皆様へ

肉用牛を飼養する50農場のうち、39農場(78%)がカンピロバクターを保有していました。肉用牛のカンピロバクター保有率は39%(193/500)でした。また、陽性農場の87%において2頭以上の牛からカンピロバクターが分離され、複数の牛から同じ性状の菌が分離される農場がみられており、過去の調査結果(2.3.2.1.1)と同じ傾向がみられました。このことは、肉用牛農場では、カンピロバクターが侵入すると農場内の牛に感染が広がる可能性があることを示しています。自分の農場にカンピロバクターを「持ち込まない」、もし菌が農場に侵入したら、菌を農場内の牛に「広げない」、そして自分の農場から外に「持ち出さない」ように、衛生対策に取り組む必要があります。

農場においてカンピロバクターの保有率の低減に有効と考えられる衛生対策を「牛肉の生産衛生管理ハンドブック」(生産者編、指導者編)で紹介しています。ご自身の農場における衛生対策の再確認や、食中毒を防ぐための追加の対策を検討したい方の参考になれば幸いです。

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課

担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
ダイヤルイン:03-6744-2135
FAX番号:03-3597-0329