作成日:平成27年11月26日
地鶏農場のサルモネラ保有状況調査
2.1.2.1. 肉用鶏農場
2.1.2.1.3. 地鶏農場の菌保有状況調査(平成22年度)
地鶏農場の鶏群のサルモネラ保有状況や、衛生対策の実施状況の傾向を把握するために、21農場において、各農場で1鶏群を対象にサルモネラの調査と、衛生対策の実施状況についてアンケートを行いました。その結果、今回調査した地鶏農場(鶏群)のサルモネラ保有率は29%であり、ブロイラー農場(鶏群)のサルモネラ保有率(約8割)よりも低いことがわかりました。 |
(1) 目的
地鶏は、飼育期間が長く、28日齢以降の飼育密度が低いなど、ブロイラーと異なる方法で生産され、品種も異なるので、地鶏農場の鶏群のサルモネラ保有状況や、衛生対策の実施状況の傾向を把握する。
(2) 試料採取・アンケート
平成23年1~3月に、地鶏生産者4社の21農場において、1農場につき1鶏群(計21鶏群)の新鮮盲腸便を鶏舎内の床の5か所から(1鶏群につき試料5点)採取しました。鶏群は、出荷まで2週間以内のものを対象としました。
また、各農場に、衛生対策の実施状況についてアンケートを行いました。
(3) 微生物試験
新鮮盲腸便を試料としてサルモネラの定性試験(3.2.1.1 (5) )を行いました。この試料のうち1点でもサルモネラが分離された鶏群は、陽性(サルモネラ保有)と判定しました。分離されたサルモネラについては、O抗原及びH抗原を調べて血清型を特定(3.2.3.2)しました。
(4) 結果
今回調査した地鶏農場(鶏群)のサルモネラ保有率は29%(6 / 21)であり、ブロイラー農場(鶏群)のサルモネラ保有率(約8割)(2.1.2.1.1、2.1.2.1.2)よりも低いことがわかりました。
また、各農場における衛生対策(表15)の実施の有無と、鶏群のサルモネラの保有の有無を解析すると、鶏舎周辺へ生石灰又は消石灰を散布している農場(鶏群)のサルモネラ保有率は14%(2 / 14)であり、散布していない農場(鶏群)のサルモネラ保有率(57%、3 / 7)よりも低い傾向がみられました(表16)。
新鮮盲腸便から分離されたサルモネラ7株のうち5株はSalmonella Infantis、1株はS. Nigeriaでした(ただし1株は既知の血清型に分類できませんでした)。
表15:地鶏農場の衛生対策実施状況(対象:21農場)
衛生対策 |
実施率(%) |
農場出入口で車両を消毒している。 |
67 |
作業服を毎日交換している。 |
86 |
作業靴を鶏舎ごとに消毒(はき替え)している。 |
67 |
毎日死亡鶏を除去している。 |
81 |
ネズミ等の駆除を少なくとも4ヶ月間隔で行っている。 |
10 |
消毒した飲用水を鶏群に与えている。 |
76 |
農場単位のオールインオールアウトを行っている。 |
95 |
出荷ごとに鶏舎を洗浄・消毒している。 |
95 |
鶏舎周辺へ生石灰又は消石灰を散布している。 |
67 |
表16:ブロイラー農場における鶏舎周辺への生石灰又は消石灰の散布の有無とサルモネラ保有率
鶏舎周辺への生石灰 |
農場(鶏群)数 |
うちサルモネラ要請農場 |
|
農場(鶏群)数 |
陽性率(%) |
||
行っている |
14 |
2 |
14 |
行っていない |
7 |
4 |
57 |
まとめ 調査農場数は限られていますが、地鶏を飼養する21農場(21鶏群)のサルモネラ保有率は29%であり、ブロイラー農場(鶏群)のサルモネラ保有率(約8割)(2.1.2.1.1、2.1.2.1.2)より低いことが分かりました。また、鶏舎周辺へ石灰を散布している農場が、散布していない農場よりもサルモネラ保有率が低い傾向がみられました。 今後も、鶏舎周辺への石灰散布と、農場(鶏群)のサルモネラ保有状況との関係について情報を収集していきます。 |
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