作成日:平成27年11月26日
ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体及び鶏肉のサルモネラ濃度調査
2.1.2.2. 食鳥処理場
2.1.2.2.2. ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体及び鶏肉の菌濃度調査(平成22年度)
ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体や鶏肉のサルモネラの濃度を把握するために、食鳥処理場1か所において、5処理日にわたり、計5鶏群の盲腸内容物や中抜きと体、鶏肉(ムネ肉、ササミ、肝臓)を対象にサルモネラの調査を行いました。 その結果、サルモネラ陽性の3鶏群から製造された中抜きと体の47%からサルモネラが分離され、その濃度の平均は5.2×10 サルモネラ陽性鶏群から製造された鶏肉では、肝臓からのみサルモネラが分離され、ムネ肉及びササミからは分離されませんでした。一方、サルモネラ陰性鶏群から製造された鶏肉からは、サルモネラは分離されませんでした。 |
10 中抜きと体1羽分の表面に付いているサルモネラを5 gの液体の中に濃縮し、その液100 gあたりのサルモネラの菌数。中抜きと体100 gあたりの菌数ではない(試験方法は3.2.2.3を参照)。
(1) 目的
ブロイラー鶏群から製造された中抜きと体や鶏肉のサルモネラの濃度や汚染率を把握する。
(2) 試料採取
食鳥処理場1か所において、平成22年9月~平成23年1月の間の5処理日を選び、第1鶏群(1番目に処理される鶏群)を調査対象(計5鶏群:A~E)としました。各鶏群から、中抜き工程において、10羽分の盲腸内容物(1鶏群につき試料10点)、冷却後に5羽分の中抜きと体(1鶏群につき試料5点)、解体・包装後に鶏肉(ムネ肉、ササミ及び肝臓)を5袋ずつ(1鶏群につき試料15点)採取しました。
(3) 微生物試験
盲腸内容物、冷却後の中抜きと体及び鶏肉を試料としてサルモネラの定量試験(3.2.2.1 、3.2.2.2.、3.2.2.3)を実施しました(検出限界値は、中抜きと体が60 MPN/100 g
(4) 結果
今回、調査対象となったブロイラー鶏群(5鶏群)のうち、3鶏群(A, B, C)がサルモネラ陽性でした(表20)。鶏群Aは、鶏群BやCよりもサルモネラ陽性個体数が多く、盲腸内容物中のサルモネラ濃度も高い値を示しました。
表20:ブロイラー鶏群のサルモネラ汚染状況
鶏群 |
調査個体数 |
陽性個体数 |
盲腸内容物中のサルモネラ濃度(MPN/100 g) |
||
平均 |
最小 |
最大 |
|||
A |
10 |
8 |
2.8×10 |
6.2×10 |
1.1×10 |
B |
10 |
1 |
7.2×10 |
- |
- |
C |
10 |
1 |
9.2×10 |
- |
- |
D |
10 |
0 |
- |
- |
- |
E |
10 |
0 |
- |
- |
- |
食鳥処理後、サルモネラ陽性の3鶏群(A, B, C)から製造された中抜きと体のサルモネラ汚染率は47%(7 / 15)、サルモネラ陰性の2鶏群(D, E)から製造された中抜きと体のサルモネラ汚染率は40%(4 / 10)でした(表21)。サルモネラが分離された中抜きと体の菌濃度については、サルモネラ陽性の3鶏群(A, B, C)から製造されたもの(平均5.2×10
さらに、鶏群内の陽性個体数が最も多く、かつ、サルモネラが分離された鶏個体の盲腸内容物の菌濃度の平均が最も高かった鶏群Aから製造された中抜きと体のサルモネラ汚染率は80%(4 / 5)、菌濃度は平均8.0×10
表21:中抜きと体のサルモネラ汚染状況
鶏群 |
鶏群の |
中抜きと体の |
中抜きと体の |
中抜きと体のサルモネラ濃度 |
||
平均 |
最小 |
最大 |
||||
A |
陽性 |
5 |
4 |
8.0×10 |
1.8×10 |
1.9×10 |
B |
5 |
2 |
1.5×10 |
1.5×10 |
1.5×10 |
|
C |
5 |
1 |
7.2×10 |
- |
- |
|
A,B,Cの平均 |
5.2×10 |
- |
- |
|||
D |
陰性 |
5 |
2 |
1.1×10 |
7.2×10 |
1.5×10 |
E |
5 |
2 |
7.2×10 |
7.2×10 |
7.2×10 |
|
D,Eの平均 |
9.2×10 |
- |
- |
ムネ肉及びササミからは、サルモネラは分離されませんでした。サルモネラ陽性の鶏群AとCから製造された肝臓からは、それぞれ2点(7.2×10
盲腸内容物や中抜きと体、肝臓から分離されたサルモネラ24株のうち23株はSalmonella Infantis で、残りの1株はO抗原が不明なものでした。
指導者・事業者の皆様へ 食鳥処理場1か所において、サルモネラ陽性鶏群から製造された中抜きと体や鶏肉のサルモネラ汚染濃度及び汚染率は、陰性鶏群のものと比べて高い傾向がみられました。さらに、鶏群内の陽性個体数が多く、かつ、サルモネラが分離された鶏個体の盲腸内容物のサルモネラ汚染濃度が高い鶏群ほど、製造される中抜きと体の汚染濃度や汚染率が高くなる傾向がみられました。したがって、農場で鶏群のサルモネラの保有率を下げることによって、食鳥処理場へのサルモネラの持ち込みを減らし、さらに中抜きと体や鶏肉におけるサルモネラ汚染濃度や汚染率を減らせることが期待できます。農場において有効と考えられる衛生対策を「鶏肉の衛生管理ハンドブック」(生産者編・指導者編)で紹介していますので、参考にしてください。 国内のブロイラー鶏群のサルモネラ保有率は約8割であった(2.1.2.1.1、2.1.2.1.2)ため、食鳥処理場は、受け入れる生鳥はサルモネラに感染しており、その結果、処理ラインが汚染される可能性があることを考慮して、衛生対策を実施する必要があります。厚生労働省は、食鳥処理場における衛生管理措置及び食鳥検査(外部リンク)や、食鳥処理場におけるHACCP(外部リンク)の導入を推進しています。関連法令や通知(検索画面へ)(外部リンク)を参照してください。 |
お問合せ先
消費・安全局食品安全政策課担当者:危害要因情報班
代表:03-3502-8111(内線4457)
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