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農林水産省

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ブロイラー農場のカンピロバクター汚染経路調査

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平成27年11月26日更新

 

作成日:平成27年6月25日

2.1.1.1. 肉用鶏農場

2.1.1.1.4. ブロイラー農場の菌汚染経路調査(平成20年度)

カンピロバクターがブロイラー農場や鶏舎に侵入する経路を把握するために、8農場の新鮮盲腸便、飲用水、飼料、敷料及び塵あいを採取してカンピロバクターの調査を行い、さらに34農場の飲用水を採取してカンピロバクター及び大腸菌の調査を行いました。その結果、様々な試料を採取した8農場のうち1農場で、消毒前の飲用水からカンピロバクターが分離されました。飲用水のみを採取した34農場では、飲用水からカンピロバクターは分離されませんでした。この34農場のうち17農場は、地下水を消毒したものを鶏群に与えており、消毒後の飲用水の大腸菌陽性率(2%)は消毒前の飲用水の大腸菌陽性率(16%)と比べて低いことがわかりました。

(1) 目的

 カンピロバクターがブロイラー農場や鶏舎に侵入する経路を把握する。

 

(2) 試料採取

○第1回調査

平成20年10月~平成21年1月に、ブロイラー生産者5社の8農場において、1農場につき1鶏舎(計8鶏舎)で、(1)ひな導入時、(2)導入2週間後及び(3)食鳥処理場への出荷直前の3時点に試料を採取しました(表6)。

表6:採取した試料の種類及び点数(第1回調査)

 試料の種類

 各時点で採取した試料点数(1農場あたり)  

 (1) ひな導入時

 (2) 導入2週間後

 (3) 出荷直前

 新鮮盲腸便

 採取せず

 5

 5

 飲用水

 1又は2

 1又は2

 1又は2

 飼料タンク内飼料

 3

 3

 3

 敷料

 2

 採取せず

 採取せず

 塵あい

 採取せず

 2

 2

※自家消毒(地下水を最終総塩素濃度2 ppmになるよう消毒)をしていない農場では、1点のみ採取。自家消毒をしている農場では、消毒の前後に1点ずつ、計2点採取。 

 

○第2回調査

平成20年12月~平成21年2月に、ブロイラー生産者2社の34農場において、各農場につき1鶏舎(計34鶏舎)で、飲用水1点又は2点を採取しました(時点(1) (2) (3) )。なお、水の自家消毒をしていない農場では1点のみ採取し、自家消毒をしている農場では、消毒の前後に1点ずつ、計2点採取しました。

  

(3) 微生物試験

新鮮盲腸便、飲用水、飼料、敷料及び塵あいを試料としてカンピロバクターの定性試験(3.1.1.1(1)3.1.1.2(1)3.1.1.33.1.1.4(1))を行いました。分離されたカンピロバクターについては、生化学的試験及びPCR法により菌種(Campylobacter jejuni, C.coli)を同定(3.1.3.1)しました。第2回調査で採取した飲用水については、大腸菌の定性試験(3.4.1.1)を行いました。 

 

(4) 結果

第1回調査の結果、カンピロバクターは、ひな導入時(1)及び導入2週間後(2)に採取した試料からは分離されませんでした。出荷直前(3)に採取した試料のうち、1農場(鶏舎)の新鮮盲腸便と、別の1農場(鶏舎)の飲用水(この農場は、地下水を消毒せずに飲用水として使用)から、C.jejuniが分離されました(表7)。

表7:飲用水におけるカンピロバクターの有無(第1回調査、対象:8農場)

飲用水 試料点数 陽性点数 陽性率(%)
消毒前 21 1 5
消毒後(公営水道を含む) 18 0 0

 

第2回調査の結果、飲用水からカンピロバクターは分離されませんでした。調査対象の34農場のうち17農場では、地下水を最終総塩素濃度2 ppmになるよう消毒したものを鶏群に与えていました。消毒後の飲用水の大腸菌陽性率は2%(1/51)であり、消毒前の飲用水の大腸菌陽性率(16%、8/51)よりも低いことがわかりました(表8)。

表8:飲用水における大腸菌の有無(第2回調査、対象:飲用水の消毒を行う17農場)

飲用水 試料点数 陽性点数 陽性率(%)
消毒前 51 8 16a
消毒後 51 1   2a

注釈 ap=0.015(98.5%の確率で、消毒後の飲用水の方が、消毒前の飲用水よりも、大腸菌陽性率が低い。)

 

 

 

指導者・事業者の皆様へ

消毒後の飲用水からカンピロバクターは分離されませんでしたが、消毒前の飲用水からカンピロバクターが分離され、カンピロバクターが農場や鶏舎へ侵入する経路の1つは飲用水であると推測されました。また、消毒後の飲用水の大腸菌陽性率は、消毒前の飲用水の大腸菌陽性率と比べてかなり低いことがわかりました。飲用水の消毒や給水設備の修理、貯水槽の蓋の使用(動物のふん便の混入防止)など、水の管理は有効な衛生対策と考えられます。カンピロバクター等の有害微生物が農場や鶏舎に侵入する経路は複数あり、農場の立地条件や生産状況等によっても侵入経路は異なるので、水の管理とともに、他の侵入経路の対策も検討する必要があります。

農場において有効と考えられる衛生対策を「鶏肉の生産衛生管理ハンドブック」(生産者編・指導者編)で紹介していますので、参考にしてください。

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