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農林水産省

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(2)新たな食料・農業・農村基本計画 ウ 食料自給率の目標


(食料自給率と食料国産率)

総合食料自給率の目標については、食料安全保障の状況を評価する観点からは供給熱量ベースの食料自給率が、農業の経済活動の状況を評価する観点からは生産額ベースの食料自給率が実態を測るのに適しており、供給熱量ベースと生産額ベースの目標がそれぞれ設定されました。

これまでの総合食料自給率の目標設定に当たっては、併せて設定される飼料自給率の目標を反映することにより、輸入飼料による畜産物の生産分を除いています。この方法は、飼料の多くを輸入に依存している「国内生産」を厳密に捉えることから、総合食料自給率の目標が食料安全保障を図る上で基礎的な目標であることに変わりはありません。一方、飼料自給率が向上しても、国内畜産業の生産基盤が脆弱化すれば、総合食料自給率は向上しません。また、農業の持続的発展を図っていく上で、国内生産を維持・拡大していくことが必要であり、そのためには国民に対して国産農産物の消費を促すことも必要です。このため、国内の畜産業の努力を適切に反映する観点から、国内生産に着目した目標として「食料国産率(*1)」の目標が飼料自給率の目標と併せて設定され、双方の向上を図りながら、総合食料自給率の向上を図ることとされました(図表 特1-6)。

総合食料自給率は、国内生産だけではなく、食料消費の在り方等によって左右されるものであることから、生産面では、国内外の需要の変化に対応した生産・供給、国内農業の生産基盤の強化により国内生産の維持・増大を図り、消費面では、消費者と食と農とのつながりの深化、食品産業との連携に取り組む必要があります。これらに官民総力を挙げて取り組んだ結果、生産面・消費面の諸課題が解決された場合に実現可能な水準として、令和12(2030)年度における品目ごとの食料消費の見通し及び生産努力目標が設定され、これらを前提として、総合食料自給率の目標は、供給熱量ベースで45%、生産額ベースで75%と設定されました(図表 特1-7、図表 特1-8)。

図表 特1-6 総合食料自給率と食料国産率
図表 特1-7 主要品目の食料消費の見通し及び生産努力目標

データ(エクセル:35KB / CSV:1KB

図表 特1-8 食料自給率等の目標

データ(エクセル:32KB / CSV:2KB

*1 用語の解説3(1)を参照

(食料自給力)

現代の食生活は、海外からの輸入食料の供給も含めて成り立っており、輸入食料の大幅な減少といった不測の事態が発生した場合は、国内において最大限の食料供給を確保する必要があります。この場合、我が国の農林水産業が有する食料の潜在生産能力(食料自給力)をフル活用することにより、生命と健康の維持に必要な食料の生産を高めることが可能であることから、平素から我が国の農林水産業が有する食料の潜在生産能力を把握し、その維持・向上を図ることが重要です。

(食料自給力指標)

我が国が有する農地等の農業資源、農業者、農業技術といった潜在生産能力をフル活用することにより得られる食料の供給熱量を示したものが、食料自給力指標です。前基本計画においては、農地を最大限活用するものとしていましたが、新たな基本計画では、農業労働力や省力化の農業技術も考慮するよう指標が改良されました。さらに、将来(令和12(2030)年度)に向けた農地や農業労働力の確保、単収の向上が、それぞれ1人・1日当たりの供給可能熱量の増加にどのように寄与するかについても、定量的に評価できるように、令和12(2030)年度の食料自給力指標の見通しが提示されました。

食料自給力指標は、農地等を最大限活用することを前提として、米・小麦中心の作付け及びいも類中心の作付けの2パターンについて、栄養バランスを一定程度考慮した上で、熱量効率が最大化された場合の国内農林水産業生産による1人・1日当たり供給可能熱量と、各パターンに必要な労働時間に対する現有労働力の延べ労働時間の充足率(労働充足率)を反映した供給可能熱量を示しています(図表 特1-9)。

図表 特1-9 労働充足率を反映した供給可能熱量の考え方

平成30(2018)年度の食料自給力指標では、米・小麦中心の作付けの供給可能熱量が推定エネルギー必要量を下回り、いも類中心の作付けの供給可能熱量はこれを上回っています。いも類中心の作付けでは、その作付けに必要な労働力が不足していますが、労働力の状況を反映した供給可能熱量も推定エネルギー必要量を上回る結果となっています(図表 特1-10)。

図表 特1-10 平成30(2018)年度における食料自給力指標

令和12(2030)年度における食料自給力指標の見通しは、新たな基本計画に基づき、農地や労働力の確保、単収の向上等を図ることにより、すう勢で推移した場合から、供給可能熱量が押し上げられることを示しています(図表 特1-11)。

こうした食料自給力指標と農地・単収・労働力等の関係を踏まえ、今後、農地や労働力の確保、単収の向上、技術革新にしっかりと取り組んでいくことが重要です。

図表 特1-11 令和12(2030)年度における食料自給力指標の見通し


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