このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

トピックス1 食料・農業・農村とSDGs(持続可能な開発目標)


地球規模で人やモノ、資本が移動するグローバル経済の下では、地球規模の課題も連鎖して発生し、経済成長や社会問題に深刻な影響を及ぼします。このような中、平成27(2015)年に開催された国連サミットで、令和12(2030)年までの国際目標である、SDGs(持続可能な開発目標)(*1)が採択されました。SDGsは開発途上国の開発に関する課題にとどまらず、世界全体の経済、社会及び環境の三側面を横断的に盛り込んでおり、先進国と開発途上国が共に取り組むべき国際社会全体の目標です。

我が国は、平成28(2016)年12月に我が国のSDGsの実施のための指針となる「SDGs実施指針」を策定しました。農業・食品産業はその活動を自然資本や環境に立脚しており、SDGsの達成に率先して貢献しつつ、消費者の行動や他分野からの投資を主導することで、新たな成長につながる可能性があります。実施指針に基づき官民で様々な取組が進んでいます。

*1 用語の解説3(2)を参照

(1)MDGs(ミレニアム開発目標)からSDGsへ

(SDGsの採択)

SDGsの前身として、平成12(2000)年に国連ミレニアムサミットで採択されたMDGs(*1)(ミレニアム開発目標)は、開発途上国の課題解決を目指し、貧困、ジェンダー、健康、環境等を改善するための8つの目標を掲げ、世界中で取り組まれてきました。その結果、飢餓撲滅を含む多くの目標が達成されましたが、保健や教育等未達成の課題も残されました。また、経済・社会のグローバリズムの進展の陰で、都市の貧困や格差、人権等の問題も明らかになってきました。

こうしたことから、平成27(2015)年に国連サミットで採択されたSDGsは、「誰一人取り残さない」ことを基本理念として、先進国を含む全ての国が取り組むというユニバーサリティを特徴としています。また、この15年間で、一部の途上国の発展、民間企業や市民社会の役割の拡大等、開発をめぐる国際的な環境が大きく変化していることも踏まえ、あらゆるステークホルダー(*2)が役割を果たすグローバル・パートナーシップの重要性が盛り込まれています。

SDGsでは、世界中の国々が自国や世界の問題に取り組むことで貧困を終わらせ、経済・社会的状況にかかわらず全ての人が尊厳を持って生きることができる世界の実現を目指し、17の目標と169のターゲットが設定されています(図表トピ1-1、図表トピ1-2)。

図表トピ1-1 SDGsとMDGsの比較
図表トピ1-2 17の国際目標と主要原則

*1 Millennium Development Goalsの略

*2 企業・行政・NPO等の利害と行動に直接・間接的な利害関係者を有する者を指す。

(2)官民を挙げたSDGs実施の推進

(政府の推進体制の整備と実施指針の決定)

SDGsが採択された後、政府はその実施に向けた基盤整備に取り組みました。平成28(2016)年5月に内閣総理大臣を本部長とし、全閣僚を構成員とする「SDGs推進本部」を設置し、国内と国際協力の両面から、SDGs実施に向けて取り組む体制を整えました。

国内における取組については、この本部の下にあらゆる分野のステークホルダーによって構成される「SDGs推進円卓会議」を設置して議論を行い、同年12月に今後の我が国の取組の指針となる「SDGs実施指針」を決定し、SDGsのゴールとターゲットを、日本として特に注力すべき8つの優先課題に再構築しました。政府は、「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」、「健康・長寿の達成」、「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」、「持続可能で強靱(きょうじん)な国土と質の高いインフラの整備」、「省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会」、「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」、「平和と安全・安心社会の実現」、「SDGs実施推進の体制と手段」の優先課題ごとに必要な施策を積極的に推進することとなりました。

令和元(2019)年12月には、「SDGs実施指針」の改定が行われ、目標達成に役割を果たす存在として次世代の若者を新たに位置付け、啓発や教育を強化するとともに、環境や社会問題にどれだけ積極的に取り組んでいるかを企業の投資指針とする、「ESG投資(*1)」の拡大が盛り込まれました。

国際協力については、国際社会でのSDGs達成を支援するため、国際保健や防災、質の高いインフラ投資の推進、女性の活躍等の広範な分野において一層積極的に取り組むとともに、開発途上国のSDGsへの取組のための国家戦略や計画等の策定の支援を行うこととしています。

*1 環境・社会・企業統治に配慮している企業を重視・選別して行う投資のこと

コラム:農山漁村からはじまるSDGs

農林水産業×環境・技術×SDGsパンフレット、環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデルヒント集

持続可能な社会をつくるために世界各国が合意したSDGsの17の目標のうち、「環境」に深く関係する目標は他のゴールの土台となります。「環境」から生み出される様々なものを活かすことで、私たちの社会は成り立っています。「環境」を持続可能なものとしなければ他のゴールの達成は望めません。また、経済的に持続可能な形で「環境」を維持し循環させていくために、様々な「技術」を活用した取組が進行しています。

農林水産省では、それらの「環境」や「技術」の観点から、農山漁村で行われているSDGsの取組を「農林水産業×環境・技術×SDGs」パンフレットとして紹介しています。

また、農山漁村で行われている「環境」も「経済」も良くする取組を始めようとする方々を対象に「環境のための農山漁村×SDGsビジネスモデルヒント集」を新たに作成し紹介しました。

(3)食料・農業・農村分野での取組

農業・食品産業はその活動を自然資本や環境に立脚しており、SDGsの達成に率先して貢献しつつ、消費者の行動や他分野からの投資を主導することで、新たな成長につながる可能性があります。農業生産活動は、自然界の物資循環を活かしながら行われ、環境と調和した持続可能な農業の展開は重要なテーマです。食料・農業・農村分野においても、経済・社会・環境の諸課題に総合的に取り組み、環境に配慮した生産活動を積極的に推進するとともに、消費者の購買活動がこれを後押しする持続可能な消費を促進する必要があります。このほか、農村を含めた地域においても持続可能な地域づくりを進めていく必要があり、これらの取組を後押しする施策を展開することにより、SDGsの実現に貢献することとしています。また、NPO(*1)、民間企業、消費者、地方公共団体、協同組合等もSDGs実施の重要なパートナーであり、それぞれの連携を推進していくことが重要です。

*1 用語の解説3(2)を参照

ア 優先課題8分野における農林水産省の取組

農林水産省では優先課題8分野の達成に向けて施策を推進しており、現場でも様々な動きが生まれています。

(課題1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現)

課題1 あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現

全ての人の人権が尊重され、誰一人取り残さない社会の実現のためには「あらゆる人々が活躍する社会・ジェンダー平等の実現」が不可欠です。農林水産省では、食育や全ての人の食料品アクセス改善に向けた環境整備の推進等に取り組んでいます。

食育は、知育・徳育・体育の基礎となるものであり、健全な食生活を実現し、あらゆる人々が活躍する社会の礎を支えるものです。農林水産省では、食料の生産から消費に至る各段階を通じて、栄養バランスに優れた「日本型食生活」の普及と食や農林水産業への理解増進に向けた取組を推進しています。具体的には、食育推進全国大会の開催や食育活動表彰を実施するとともに、農林漁業体験や共食機会の提供の支援に取り組んでいます。

また、食育の中で大切な共食の機会を提供している子供食堂と連携した地域における取組が推進されるよう、Webサイトにおいて関連情報を紹介しています。

さらに、我が国では、高齢化や単身世帯の増加、地元小売業の廃業等により、高齢者等を中心に食料品の購入や飲食に不便を感じる住民が増えてきており、「食料品アクセス問題」として社会的な課題になっています。このため、先進事例や支援施策の情報を提供するWebサイトを運営し、地方公共団体や民間事業者等による問題解決を支援しています。

コラム:令和元(2019)年SDGsの成績

令和元(2019)年6月ベルテルスマン財団と持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が公開した「持続可能な開発報告書2019」においては、国連加盟国のSDGsの取組状況を分析するとともに、令和12(2030)年に向けた予測が示されています。

同報告書によると、トップはデンマーク(スコア100点満点中85.2点)で、次いでスウェーデン(同85点)、フィンランド(同82.8点)と、北欧諸国が上位を占めています。しかし、この3か国ですら大きな課題に直面している目標もあるほか、全ての目標を達成している国は1つもなく、目標12(生産・消費)、目標13(気候変動)等については、達成に程遠い状況にあることも示されています。

日本は78.9点で、前年と同様15位に位置しており、目標4(教育)や目標9(イノベーション)は高い評価となっていますが、目標5(ジェンダー)、目標12(生産・消費)、目標13(気候変動)等は低い評価となっています。

事例:八百屋の強みを生かした子供食堂(東京都)

東京都大田区
子供食堂のスタッフのみなさんと近藤博子さん(左から2人目)

子供食堂のスタッフのみなさんと
近藤博子さん(左から2人目)

東京都大田区(おおたく)で八百屋「だんだん」を営む近藤博子(こんどうひろこ)さんは、1人暮らしの高齢者や子育てに悩みを持っている人等が多くいることを知り、地域の中で「みんなで集まれる居場所」を作りたいと考えるようになりました。そんな中、八百屋に来店した学校の先生から家庭の事情で十分な食事をとることができない子供の話を聞いたことがきっかけとなり、「温かいご飯と具沢山のお味噌汁をみんなで食べられる場所を地域で作ろう」という思いで、平成24(2012)年に子供食堂の取組を開始しました。

「だんだん」は、大人も子供もみんなで一緒に食べることにより、つながりが生まれ、思いやりの心や食への感謝の心が育まれるとともに、孤立を防ぐためのセーフティネット、居場所としての機能も併せ持つ場所となっています。

毎月1回「郷土料理教室」も開催し、食文化の伝承を学ぶきっかけをつくり、子供たちが料理を作る達成感を味わえ、技術を習得できる貴重な場となっています。この取組は、「すべての人に健康と福祉を」等を目指すSDGsの目標にも合致します。

(課題2 健康・長寿の達成)

課題2 健康・長寿の達成

世界の飢餓人口が増加に転じる中、栄養のある食料を全ての人に供給し、「健康・長寿の達成」を実現することが重要です。農林水産省では、世界の栄養改善に関する取組を行っています。栄養改善事業推進プラットフォーム(NJPPP)(*1)と連携し、栄養改善に関する情報発信、セミナー・シンポジウムの開催等の支援、国内食品事業者等の栄養改善ビジネスの国際展開に必要な現地の基礎情報の収集の支援を行い、途上国の栄養不良問題の解決に取り組んでいます。また、国民の健康志向や高齢化等の食をめぐる市場変化に対応するため、介護食品の開発やスマートミールの普及等を支援するとともに、食を通じた健康管理を支援するサービスの展開を促進しています。

*1 日本の技術と知見を活かした民間企業のアイデアをベースに、栄養改善効果が期待できる途上国の国民向け食品供給事業等のビジネスモデル構築を目的とした、官民連携で栄養改善事業を推進する枠組

(課題3 成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション)

世界の人口増加、各国の経済成長に伴い、市場は拡大が続くと見込まれています。科学技術イノベーションを活用しつつ、世界市場の需要を取り込むことが重要です。また、都市だけでなく、農山漁村を含む地域を活性化し、バランスがとれた持続可能な成長を実現する必要があります。「成長市場の創出、地域活性化、科学技術イノベーション」に関して、農林水産省では、以下のような取組を推進しています。

ア)スマート農林水産業の推進

課題3 スマート農林水産業の推進
自律多機能ロボット

自律多機能ロボット

農林水産業の成長産業化を推進する上では、農業分野以外の技術等も取り入れた産学官連携等によるイノベーションの創出が必要です。ロボット、AI(*1)、IoT(*2)等の先端技術を活用したスマート農業の全国展開を加速化するため、令和元(2019)年度からスマート農業実証プロジェクトを開始し、全国69地区において、2年間にわたり技術実証を行うとともに、技術の導入による経営への効果を検証することとしています。

*1、2 用語の解説3(2)を参照

イ)農業の成長産業化

課題3 農業の成長産業化

我が国の農業総産出額(*1)は8兆円から9兆円程度で推移しています。農林漁業者が生産した農林水産物は、保管、流通、加工、調理等の様々な過程で価値が付加され、飲食料の最終消費額は80兆円を超えています。

主食用米の需要が減少傾向にある中、水田活用の直接支払交付金による支援等も活用し、水田のフル活用を図るとともに、水田の汎用化・畑地化のための基盤整備等を推進し、野菜や果樹等の高収益作物への転換を図っています。

また、担い手への農地の集積・集約化(*2)を加速させる観点から、農業者、市町村、農協、農業委員会、土地改良区等の関係者が徹底した話し合いを行い、「人・農地プラン」の実質化の推進に取り組んでいます。

*1 用語の解説1を参照

*2 用語の解説3(1)を参照

ウ)農林水産業を担う人材育成

課題3 農林水産業を担う人材育成

農業者の高齢化によるリタイアが加速する中、農林水産業を担う新規就農者(*1)の確保・育成等が重要です。青年の新規就農を促進するため、就農準備段階や経営開始時を支援する資金を交付する農業次世代人材投資事業を実施しています。また、地方公共団体や農協等の関係機関が連携し、新規就農者の就農準備段階から経営開始までを一貫して支援する地域の受入体制の構築を進めています。

さらに、女性にとって魅力ある職業として農林水産業が選ばれるよう、地域を牽引するリーダーとなり得る女性農業者の育成や、全国の女性グループ間ネットワークの構築等に取り組んでいます。

*1 用語の解説2(5)を参照

エ)農林水産物・食品の安全性の向上

課題3 農林水産物・食品の安全性の向上

食品の安全性を向上させるためには、科学的根拠に基づき、生産から消費までの必要な段階で有害化学物質・微生物の汚染の防止や低減を図る措置の策定・普及に取り組むことが重要です。このため、例えば、ノロウイルス(*1)等の危害要因の汚染実態等の調査や、加工食品中のアクリルアミド(*2)の低減対策の効果を検証するための調査を行っています。

また、食品安全、動物衛生、植物防疫等の分野の行政施策・措置の決定のためには科学的知見を得ることが重要であり、そのための研究等に取り組んでいます。

さらに、生産資材についても最新の科学的な知見に基づき安全と品質を確保し、安定的に供給する取組等を行っています。

*1、2 第1章第5節(1)を参照

オ)農山漁村を含む地域の活性化

課題3 農山漁村を含む地域の活性化
農泊

農泊

農山漁村の所得向上や雇用の増大を図るため、地域の農業者が多様な異業種とも連携しつつ、農産物の加工、直売や観光農園、農家レストランの経営等、新たな付加価値を生み出す6次産業化(*1)を推進しています。

農泊をビジネスとして実施できる地域の体制を整備するため、地域資源を活用した魅力ある観光コンテンツの磨き上げ、古民家等を活用した宿泊施設の整備等、ハード・ソフト対策の一体的な支援に取り組んでいます。

また、障害者等の農業分野での活躍を通じ、障害者等の生きがいを創出し、社会参画を実現するとともに、農業経営の発展につながるよう農福連携の取組を推進しています。

*1 用語の解説3(1)を参照

カ)安定的な農業の推進

課題3 安定的な農業の推進

米、麦、大豆等の重要な農産物を生産する農業の担い手に対し、経営の安定に資するよう、諸外国との生産条件の格差から生ずる不利を補正するための交付金や農業収入の減少が経営に及ぼす影響を緩和するための交付金等を交付しています。

また、野菜の生産・出荷の安定と消費者への安定供給を図るため、価格低落時における生産者補給金等の交付等により、野菜価格安定対策を的確かつ円滑に実施しています。

キ)農林水産業・食品産業のイノベーションの推進

課題3 農林水産業・食品産業のイノベーションの推進

農林水産業の競争力強化に向けて、農林漁業者等のニーズを踏まえ目標を明確にした研究開発の推進や、AI 、IoT 等の情報技術を活用した流通の効率化の推進等に取り組んでいます。

また、農林水産業・食品産業に異分野の知識・技術等を導入して、革新的な技術シーズを生み出すとともに、それらの技術シーズをスピード感を持って商品化・事業化に導き、国産農林水産物のバリューチェーン(*1)の構築に結び付ける新たな産学官連携研究の推進に取り組んでいます。

*1 用語の解説3(1)を参照

ク)途上国のイノベーション・産業化の国際協力

課題3 途上国のイノベーション・産業化の国際協力

開発途上国の農業用水の効率的かつ持続可能な利用を促進するため、国際会議等における我が国の知見や技術の情報発信及び開発途上国に適応可能な技術の検討・普及等に取り組んでいます。

また、気候変動に伴う食料・水資源問題、越境性家畜伝染病の防疫等地球規模の課題に対応するため、国際農林水産業研究を推進しています。

事例:農業分野と福祉分野の連携を推進する女性農業経営者(愛知県)

愛知県津島市
ハイビスカスローゼルと杉山さん

ハイビスカスローゼルと杉山さん

愛知県津島市(つしまし)の杉山尚美(すぎやまなおみ)さんは、農業、福祉分野での勤務経験を積む中で、福祉分野における農業の必要性を感じアグリジョブコーチ(*1)の資格を取得しました。その後、農業分野と福祉分野での連携の可能性を信じ、自身が農業をすることで障害者の方々と一緒に仕事ができると考え、平成25(2013)年、自身の農園「ベジタリ菜(な)」を立ち上げました。

経営者となった杉山さんが着目したのは、ハイビスカスローゼル(*2)でした。ハイビスカスローゼルは、栽培が容易な一方で、収穫や調整作業に多くの人手が必要で、障害者の就労機会を創出しながら、経営ができると考えたからです。栽培開始当初は出荷先もない中での挑戦でしたが、現在では、都内の高級ホテルや一流レストランとも取引をするようになりました。また、農業と障害者の橋渡し役として、労働力が不足している農業関係機関に社会福祉法人等を紹介する活動も行っています。

杉山さんは、農業女子プロジェクトのメンバーであり、また、現在、農業委員として、津島市の地域農業を盛り立てるリーダーとしても活躍しています。

*1 愛知県では、「農業・福祉双方を理解でき、かつ障害者に対して農業者が期待する就業能力を高めることを支援できる人材」のことをいう。

*2 正式名称は、ローゼル(Hibiscus sabdariffa)でアオイ科フヨウ属の植物。花や果実(肥大した萼(がく)や苞(ほう))は、ハイビスカスティーに利用される。

(課題4 持続可能で強靱な国土と質の高いインフラの整備)

課題4

「持続可能で強靱(きょうじん)な国土と質の高いインフラの整備」は経済発展だけでなく、人々が生活を行う上での基盤となるものです。このため、農林水産省では、農業の競争力強化や国土強靱(きょうじん)化に資する農業生産基盤の整備に取り組んでいます。

農地や農業用水は、農業生産における基礎的な資源であり、農業者の減少や高齢化等が進行する中で、良好な営農条件を整えた農地や農業用水の確保と有効利用、さらに、次世代への継承を図ることが課題となっています。このため、担い手への農地の集積・集約化や生産コストの削減に向けた農地の大区画化等を推進するとともに、高収益作物への転換等を促進し、産地収益力の向上に向けた水田の汎用化や畑地化、畑地や樹園地の高機能化を推進しています。

また、近年、自然災害の頻発化、激甚化が問題となっていることから、農業水利施設(*1)等の長寿命化や耐震化、耐水対策、非常用電源の設置等のハード対策とともに、ハザードマップの作成等のソフト対策を適切に組み合わせた農村地域の防災・減災対策の推進等に取り組んでいます。

さらに、国による主食用米の備蓄運営、食糧用麦備蓄対策を実施するとともに、ASEAN(*2)+3(日中韓)緊急米備蓄(APTERR)の取組を推進しています。

*1 用語の解説3(1)を参照

*2 用語の解説3(2)を参照

事例:SDGs未来都市(熊本県)

熊本県熊本市

内閣府は、地方公共団体によるSDGsの取組を促進するため、優れた取組を提案する都市を「SDGs未来都市」として選定しています。

熊本県熊本市(くまもとし)は、令和元(2019)年度の「SDGs未来都市」及び「自治体SDGsモデル事業」に選定されました。

熊本市は、熊本地震の経験と教訓を活かした防災力の向上事業によりエネルギーの地産地消、EV(*)バスの導入等による電力エネルギーを核としたライフラインの強靱(きょうじん)化を促進しており、非常時には避難所で、電気自動車やEVバスから電力を供給することを可能としています。また、市の環境工場(ごみ焼却施設)では、発電した電力を市の施設で地産地消するほか、余熱を隣接するビニールハウスで利用し、花や野菜の栽培を行っています。

* Electric Vehicleの略

電気自動車による電力供給デモンストレーション

電気自動車による
電力供給デモンストレーション

市の環境工場(ごみ焼却施設)

市の環境工場
(ごみ焼却施設)

(課題5 省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会)

世界的に地球温暖化が問題となっている中、極端な気象現象の発生が危惧されています。このような課題に対応するため、省・再生可能エネルギーの推進や循環型社会の構築が求められています。「省・再生可能エネルギー、防災・気候変動対策、循環型社会」に関して、農林水産省では、以下のような取組を推進しています。

ア)徹底した省エネの推進

課題5 徹底した省エネの推進

栽培作物の加温に多くのエネルギーを消費する施設園芸において、省エネルギーの取組により燃油使用量削減を図ることは温室効果ガス(*1)の排出削減につながります。省エネマニュアルを活用した省エネルギー型の生産管理の普及や、ヒートポンプ等の省エネ設備の導入の支援等に取り組んでいます。

*1 用語の解説3(1)を参照

イ)再エネ・新エネ等の導入の推進

課題5 再エネ・新エネ等の導入の推進
パネル下の落花生栽培

パネル下の落花生栽培

農山漁村に豊富に存在する太陽光、水力、バイオマス(*1)、風力等の再生可能エネルギーは、永続的な利用が可能であるとともに、発電時や熱利用時に地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出を削減するという優れた特徴を有しています。太陽光を農業生産と発電とで共有する営農型太陽光発電や地域資源を活用したバイオマス発電等農林漁業と調和のとれた再生可能エネルギーの導入を推進しています。

*1 用語の解説3(1)を参照

ウ)気候変動対策

課題5 気候変動対策

気候変動への影響は既に顕在化しており、今後、その影響が拡大することが予測されています。このため、温室効果ガスの排出削減と吸収による緩和策と、その影響の回避、軽減による適応策を一体的に充実・強化することが重要です。農林水産分野における気候変動影響評価等や、農業分野における温室効果ガス削減等の気候変動緩和技術の開発等に取り組んでいます。

エ)農業における環境保護

課題5 農業における環境保護

家畜ふん尿等の副産物を肥料として有効利用するための、農家等への理解醸成に必要な調査・実証の支援等に取り組んでいます。

また、酪農経営における規模拡大等による環境問題に対処するため、ふん尿の還元に必要な飼料作付面積を確保しながら、地球温暖化防止や生物多様性保全等の環境負荷軽減に取り組んでいる酪農家に対し交付金を支援する環境負荷軽減型酪農経営支援事業を実施しています。

オ)食品廃棄物・食品ロスの削減や活用

課題5 食品廃棄物・食品ロスの削減や活用

我が国の食品ロスの発生量は、平成29(2017)年度において年間612万tと推計されます。事業系食品ロスの削減に向け、納品期限の緩和等の商慣習の見直し、季節商品の需要に見合った販売等の推進に取り組んでいます。

また、飲食店及び消費者の双方での食べきりや食べきれずに残した料理の自己責任の範囲での持ち帰りの取組等、食品関連事業者と連携した消費者への働きかけに取り組んでいます。

事例:恵方巻きの需要に見合った販売の推進(富山県)

富山県
サービスカウンター

サービスカウンター

PR資材「恵方巻きろすのん」を活用したポスター

PR資材「恵方巻きろすのん」を
活用したポスター

季節商品の食品ロスについては、近年、節分後の恵方巻きの廃棄が社会的な話題となったことから、農林水産省では平成31(2019)年1月に食品小売業者に対して、需要に見合った販売を呼びかけました。同年2月の恵方巻きシーズン後の調査では、回答した食品小売業者の約9割から、予約販売の実施、当日のオペレーションやサイズ・メニュー構成の工夫等により、前年よりも廃棄率が改善したとの回答がありました。

これを踏まえて、令和2(2020)年2月の恵方巻きシーズンに、予約販売等の需要に見合った販売に取り組む食品小売事業者を募集したところ、43事業者から取組を実施する旨の報告があり、これらの事業者に対しては、恵方巻きのロス削減に取り組む小売店であることを消費者にPRするための資材(恵方巻きろすのん)を提供しました。

例えば、富山県を中心にスーパーマーケットを展開するアルビス株式会社においては、恵方巻きの予約を行った場合に特典(お茶とポイント)を付け、PR資材「恵方巻きろすのん」も活用しながら、予約の呼びかけを行い、製造すべき数量の事前把握に努めました。さらに、販売当日は、時間帯別の売上を確認しながら、製造の増減を調整し、店舗間で商品を融通することで、過不足の発生を防ぎました。

これらの取組の結果、同社においては、恵方巻きの廃棄ロスを前年に比べて7割減らすことができました。

事例:「第2回ジャパンSDGsアワードSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」受賞(神奈川県)

神奈川県相模原市

神奈川県相模原市(さがみはらし)にある株式会社日本(にほん)フードエコロジーセンターは、関東近郊の170以上の食品事業者において分別管理された食品残さを収集し、分別・破砕・殺菌・発酵処理を行い、養豚用の発酵リキッド飼料を製造しています。製造された飼料は、関東近郊の養豚農家に提供するとともに、そこで生産された豚肉を排出元である食品事業者で販売するという食品リサイクルループを構築しました。

このことが「食品ロスの削減・食品リサイクル」に資する優れた取組として評価され、平成30(2018)年12月に「第2回ジャパンSDGsアワードSDGs推進本部長(内閣総理大臣)賞」を受賞しました。

(課題6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全)

課題6 生物多様性、森林、海洋等の環境の保全
生分解性マルチ

生分解性マルチ

生物多様性に配慮しない生産・流通・消費は、生態系サービスの劣化を引き起こし、持続可能性を脅かすおそれがあることから、環境の利用と保全のバランスをとることが重要です。農林水産業は土壌や水等の自然資本を利用し、食料の生産を担うだけでなく、洪水制御、農村景観、土壌形成等の生態系サービスを生み出す多面的機能も担っており、「生物多様性、森林、海洋等の環境の保全」に大きな役割を果たしています。このため、農林水産省では、持続可能な農林水産業の推進、生物多様性保全の国際協力や、海洋プラスチックごみ対策等に取り組んでいます。

特に、持続可能な農業の推進のため、環境保全型農業の拡大に取り組んでいます。このうち有機農業については、有機農業の推進に関する基本的な方針を定め、有機農業者等の支援、流通・販売面の支援、技術開発の促進、消費者の理解の増進等を推進しています。

また、生物多様性保全については、海外との連携が重要であり、遺伝資源(*1)保有国における遺伝資源保全の促進に向けた能力開発や、海外植物遺伝資源の収集・保存等の国際協力を行っています。

さらに、海洋プラスチックごみ対策では、食品用プラスチック製容器包装や農業由来廃プラスチックの適正処理、排出抑制等に向けた自主的な取組の後押し等を推進しています。

*1 用語の解説3(1)を参照

事例:生物多様性に配慮したワイン用ぶどうの栽培(長野県)

長野県上田市
垣根栽培・草生栽培のぶどう畑

垣根栽培・草生栽培のぶどう畑

酒類メーカーのメルシャン株式会社は、平成15(2003)年に長野県上田市(うえだし)内の遊休農地(*)を活用して、ワイン用ぶどう畑を整備し、現在は29haまで広がっています。同ほ場で取り入れられている垣根栽培・草生栽培は、通常の棚栽培と異なり、太陽光が遮られることなく地面に届き、適度に下草を生やすのが特徴です。

このため、ぶどう畑は広大な草原の体をなしており、同社が国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)と共同で生態調査を行ったところ、希少種を含む昆虫168種(ベニモンマダラ、ウラギンスジヒョウモン等)、植物258種(ユウスゲ(キスゲ)、メハジキ、スズサイコ等)の生息が確認されました。

また、同社では、ほ場における年数回の草刈り等の栽培管理作業を徹底して行うとともに、NPOやボランティア等と連携して、ほ場周囲の植生の再生活動等にも取り組み、ほ場に生息する希少種の保護に努めています。

本事例は、農業が、農地の適切な管理を通じて、生物多様性の維持・向上に貢献できることを示しています。

* 用語の解説3(1)を参照

事例:飲料容器の省資源化・回収・リサイクル

日本のコカ・コーラシステム(*)は、かねてより容器の省資源化・回収・リサイクルに取り組んでいます。昭和45(1970)年には、業界に先駆けて自動販売機の横に容器回収ボックスの設置を開始しました。

また、平成21(2009)年には、樹脂使用量を40%削減した国内最軽量(当時)のPETボトルを使用した飲料水(「い·ろ·は·す 天然水」)を発売しました。軽量化することで、より少ない原料でPETボトルをつくることができ、環境負荷を軽減できます。

さらに、同年、植物由来素材を一部に使用した「プラントボトル」の導入により、石油由来原料の使用を削減しました。平成27(2015)年からは使用済みPETボトルを再びPETボトルへとリサイクルする「ボトルtoボトル」の取組を開始し、様々な製品に採用することで、環境負荷の低減を実現してきました。

こうした取組の進捗を踏まえ、令和元(2019)年7月、より高いレベルで「World Without Waste(廃棄物ゼロ社会)」を目指すことを決定しました。具体的には、「令和4(2022)年までにリサイクルPET樹脂の使用率50%以上を達成、令和12(2030)年にはその比率を90%にまで高めること」、「令和7(2025)年までに、日本国内で販売する全ての製品の容器をリサイクル可能な素材へと変更し、リサイクルPET樹脂または植物由来PET樹脂を使用すること」、「令和12(2030)年までに全てのPETボトルを100%サスティナブル素材に切り替え、新たな化石燃料の使用ゼロの実現を目指すこと」としています。従来のリサイクルペット素材のボトルより透明度を高める技術を実現し、令和2(2020)年3月から、リサイクルペット素材を100%用いた飲料水(「い・ろ・は・す 天然水 100%リサイクルペットボトル」)を発売するなど、環境負荷低減を加速すべく、様々な取組を進めています。

* 日本のコカ・コーラシステムは、日本コカ・コーラとコカ・コーラボトラーズジャパン株式会社、北海道コカ・コーラボトリング株式会社、みちのくコカ・コーラボトリング株式会社、北陸コカ・コーラボトリング株式会社、沖縄コカ・コーラボトリング株式会社で構成

(課題8 SDGs実施推進の体制と手段)

課題8 SDGs実施推進の体制と手段

SDGsの実現のためには、全ての関係者、全ての人々が参加し、必要な手段を動員しながら行動することが重要であることから、農林水産省では、途上国への官民ミッションの派遣、二国間政策対話等の枠組を活かし、官民が連携して途上国のフードバリューチェーンの構築支援に取り組んでいます。

例えば、東アフリカでは、日系企業3社が協働し、農林水産省の補助事業を活用しつつ、ケニアの漁港でとれた水産物の鮮度を保持したまま内陸国のウガンダの日本食レストランまで長距離輸送する手法を確立しました。

このような取組は、アフリカにおける日本食の普及はもとより、輸送段階での食品ロスの発生抑制にもつながるものであり、途上国のSDGs達成に貢献する取組となっているところです。

事例:我が国の農業技術を結集し海外で高品質の農産物を生産

ほ場に設置されたICTシステム

ほ場に設置された
ICTシステム

収穫したキャベツを持つ現地農業者

収穫したキャベツを
持つ現地農業者

農林水産省は、我が国農業関連企業の海外進出と世界の食料需給の改善を支援することを目的として、種苗や省水技術、農薬等の我が国の優れた技術を結集し、高品質の農産物を他国で生産する「J-Methods Farming」に取り組んでいます。

令和元(2019)年度に実施したインドでの取組では、我が国の民間企業13社が種苗や農薬等の自社の資材・サービス等を持ち寄り、女性労働者の経済的・社会的自立を支援する現地のNGOであるSEWA(女性自営者協会)の協力の下、キャベツ等の農産物を生産しました。

この取組を通して、民間企業が提供した種苗の発芽率やICT(*)システムの技術力等は、現地関係者から高い評価を得ることができました。取組に参画した民間企業の関係者は「進出が難しいインドで、本プロジェクトを通じて他社と協業することで新たなビジネスの可能性を模索することができた。」と語っているほか、現地の農業リーダーのShantaさんは「このプロジェクトは、農業労働者の女性に雇用機会と収入、そして尊厳を与えた。」と話すなど、今後、「J-Methods Farming」を通じて、我が国の民間企業と現地との間で長期的な協力関係が築かれることが期待されています。

* 用語の解説3(2)を参照

コラム:G20新潟農業大臣会合においてSDGsが議論

令和元(2019)年のG20サミット関連会合の一つとして、令和元(2019)年5月11日から12日に新潟県新潟市(にいがたし)で開催された「G20新潟農業大臣会合」では、「SDGsの達成に向けた関係者の対応方法」が主要議題の一つとして議論されました。

議論の中では、各国代表から、SDGsの17の目標のうち、目標1「貧困をなくそう」及び目標2「飢餓をゼロに」は他の全ての目標に関係すること、SDGs達成には官民協力が重要であること、ICTやAI等の新技術の有効活用を進める必要があること等の意見が出され、「G20新潟農業大臣宣言」に各国がSDGsの実現に積極的に取り組んでいくことが盛り込まれました。

G20新潟農業大臣宣言
G20新潟農業大臣会合の様子

G20新潟農業大臣会合の様子

イ SDGsの実現に取り組む食品事業者の取組事例

食品産業は、様々な栄養素を含む食品を安定供給することでSDGsが目指す社会に貢献できる産業であり、SDGsへの積極的な参画が期待されています。

我が国の食品事業者においては、健康問題の解決に貢献する商品の開発、環境負荷の低減、持続可能な原料調達、従業員が安心して働ける職場づくり等、SDGsの達成に向けた取組を実施する企業が増えています(図表トピ1-3)。

図表トピ1-3 SDGsを達成するための食品事業者の取組事例

(4)持続可能な生産と消費の普及に向けて

(「農林水産省環境政策の基本方針」を策定)

自然資本や環境に立脚した食料・農業・農村分野は、SDGsが目指す経済・社会・環境の統合的向上において果たす役割が非常に大きく、他産業に率先してSDGsの実現に貢献することが求められています。このため、農林水産省では、令和2(2020)年3月に「農林水産省環境政策の基本方針」を策定し、ⅰ環境負荷低減への取組と、環境も経済も向上させる環境創造型産業への進化、ⅱ生産から廃棄までのサプライチェーンを通じた取組と、これを支える政策のグリーン化及び研究開発の推進、ⅲ事業体としての農林水産省の環境負荷低減の取組を基本理念に、施策を推進していくこととしています。

(「持続可能な生産消費形態のあり方検討会」を立ち上げ)

また、SDGsのゴール12に「つくる責任 つかう責任」が位置付けられ、生産と消費の両面を持続可能なものにしていくことが求められていることから、農林水産省では、令和元(2019)年11月に「持続可能な生産消費形態のあり方検討会」を立ち上げました。検討会においては、「未来の姿からバックキャスティング(*1)し、ビジョナリー(*2)で未来志向な討論をしたい」との座長からの呼びかけに応え、生産、流通、小売、メディア、地方公共団体、国際機関等の有識者13人が活発な討論を行いました。有識者からは、「1円でも安く買うことが賢い消費ではなく、環境に配慮した商品を選択することが楽しくてかっこいい、おしゃれという価値観にシフトさせていきたい」、「自分にとってのサステナビリティとは何かを考えてもらうことが重要」、「生産者自身の意識向上も必要」、「サステナビリティやSDGsに向けた取組であれば、競合企業でも手を組みやすい」といった意見が出されました。

これらの意見を踏まえて、持続可能な生産と消費を啓発するために事業者が連携して持続可能な商品の販売や広報等に取り組む「サステナブルデー」の創設、持続可能な生産等を行う地域、生産者、事業者の表彰の実施等を含む中間取りまとめを令和2(2020)年3月30日に公表しました(図表トピ1-4)。今後は、これらの取組を行う事業者等のネットワークを構築し、事業者等の主体的な取組や事業者等の間の連携を促進することとしています。

図表トピ1-4 持続可能な生産消費形態のあり方検討会中間取りまとめ(イラスト編)

*1 未来の姿から逆算して現在の施策を考える発想

*2 社会や産業等の将来の展望を持っていること

事例:女性誌初の一冊丸ごとSDGs特集号~世界を変える、はじめかた。~

FRaU SDGs号
環境のための大人の食育プロジェクト

株式会社講談社(こうだんしゃ)は、女性誌として初めて一冊まるごとSDGsを特集した「FRaU SDGs号」を平成30(2018)年12月に刊行しました。世界や日本の先進的な取組を掲載するとともに、読者自身の行動を促す「今日からできる、100のこと」を掲載し、好評を得ました。また、発刊と同時に企業や団体、読者が参画する「FRaU×SDGsプロジェクト」を立ち上げ、SDGsの輪を広げる共創の場を作りました。

さらに、国連が平成30(2018)年に発足させた「SDGメディア・コンパクト」に加盟し、FRaUに限らず、報道・ライフスタイル・コミック・児童向け等同社の様々なメディアを通じ、サステナブルな社会の達成に寄与していくこととしています。

農林水産省は、令和2(2020)年2月、「FRaU×SDGsプロジェクト」と連携し、農村×SDGsカンファレンス「環境のための大人の食育プロジェクト」を開催しました。第1部では、5人の講師から農業や食の最新の取組や提案を紹介しました。第2部では参加者が共に考える共創ワークショップを行いました。生産者、消費者、流通業者、地方公共団体関係者ら約80人が参加し、持続可能な農業や環境に向けて生産から流通、消費における解決すべき課題について、ディスカッションを行いました。参加者からは「今回のディスカッションで出た話を私なりに形にしていきたい」、「生産者である私達から変わらなくちゃ、何も始まらないと実感した」等といった意見が出ました。



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883
FAX番号:03-6744-1526

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader