このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

(2)農業生産・販売面での影響と新たな動き ア 市場価格や販路への影響


(和牛肉、わさび、マダイの卸売価格は4~5月にかけて大幅に低下)

令和2(2020)年2月以降、外食需要やインバウンド需要の減退により、和牛肉、わさび、マダイ等の卸売価格は4月から5月にかけて大幅に低下しました。6月以降は回復基調で推移しましたが、わさび、マダイ等は新型コロナウイルス感染症の再拡大による外食需要の落込みを受け、価格は再度低下しています (図表 特-20、図表 特-21、図表 特-22)。

図表 特-20 牛枝肉の卸売価格

データ(エクセル:31KB / CSV:2KB

図表 特-21 わさびの卸売価格

データ(エクセル:30KB / CSV:1KB

図表 特-22 マダイ(天然)の卸売価格

データ(エクセル:30KB / CSV:1KB

(給食用・業務用の牛乳乳製品の需要が減少し、バター・脱脂粉乳に加工する量が増加)

学校の休校や外出自粛等に伴い、令和2(2020)年3~5月の学校給食用牛乳や生クリーム等の業務用の需要が大幅に減少しました。また、これに伴い、長期保存できるバターや脱脂粉乳に加工する生乳の量が増加しました(図表 特-23)。

図表 特-23 生乳の用途別仕向量の推移

データ(エクセル:29KB / CSV:3KB

(切り花の卸売価格は1月以降再び低下)

切り花の卸売価格については、イベントや冠婚葬祭が中止されたこと等により、令和2(2020)年3~5月の卸売価格は低下し、特に同年4月は直近5年間の平均価格よりも23%低下しました。その後、家庭用需要の増加のほか、産地の作付減や輸入の減少による入荷量の減少、イベントの再開等により、同年6月以降は回復基調で推移しましたが、令和3(2021)年1月の緊急事態宣言以降は、イベントの再自粛等により価格は再度低下しています(図表 特-24)。

図表 特-24 切り花の卸売価格

データ(エクセル:29KB / CSV:1KB

図表 特-25 花やグリーンへの意識の変化

データ(エクセル:30KB / CSV:1KB

令和2(2020)年5月に一般社団法人花の国日本協議会が行った調査によると、自宅で過ごす時間が長くなったことから、以前に比べ、花や観葉植物を飾りたいと思う回答者の割合が9割と高くなっています (図表 特-25)。

このような消費者のニーズにより、花の定額購入サービスが拡大しています。

株式会社ネクストワールドでは、毎月定額で、花が枯れた花瓶を持って生花店に来店すると、毎日であっても新たな花を受け取ることができる「魔法の花瓶」というサービスを企画開発し、全国の生花店へ提供しています。このサービスに参加している千葉県柏市のフラワーショップ花武(はなたけ)によると、令和2(2020)年4月の緊急事態宣言を機に利用者が増え、令和3(2021)年3月時点では約130人が利用しています。また、在宅時間が増えたことによる家庭用の需要を取り込み、来店者数は増加しました。

(コラム)花の観賞でストレス緩和

花の画像を見る実験参加者

花の画像を見る実験参加者

資料:農研機構

花の観賞による癒やしの効果について、令和2(2020)年、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構(以下「農研機構」という。)は、花の観賞が脳の活動に影響を与え、心理的、生理的に生じたストレス反応を緩和させる効果があることを明らかにしました。

実験では、参加者に不快な画像(事故場面、ヘビ、虫等)を見せて心的なストレスを与えた後に花の画像を見せたところ、不快な画像によって生じた恐怖や嫌悪感等のネガティブな感情が減少し、ポジティブな感情に転じました。

また、上昇していた血圧が3.4%低下し、その低下幅は花以外の画像を見せた時よりも大きくなりました。さらに、ストレスによって上昇するホルモンの値も花の画像によって21%低下することが確認できました。

新型コロナウイルス感染症の拡大を受けた外出自粛等により、ストレスを感じる機会が増える中、花を生活に取り入れることで、日常に起こるストレス反応を上手く軽減できる可能性があります。また、毎日のように変化し、より人の目を惹(ひ)く「生花」は「花の画像」よりもストレスの低減に一層効果的であると考えられます。今後は、花の特徴によって生じる効果の違いについて、検証が進められる予定です。

(米の相対取引価格は6月以降、前年を下回って推移)

令和元(2019)年産の米の相対取引価格は、1~5月は前年産と同水準の1万5,700~1万5,800円程度でしたが、6月以降は前年を下回っており、令和2(2020)年産においても前年を下回って推移しています(図表 特-26)。

また、米の販売数量は、小売事業者向けが令和2(2020)年2月以降、おおむね前年同月を上回っていますが、中食(*1)・外食向けを中心とした業務用が令和2(2020)年3月以降減少し、全体として停滞しています(図表 特-27)。

図表 特-26 米の相対取引価格

データ(エクセル:31KB / CSV:2KB

図表 特-27 米穀販売事業者における販売数量の動向(前年同月比)

データ(エクセル:31KB / CSV:2KB

*1 用語の解説3(1)を参照

(豚肉、鶏肉の卸売価格は高い水準で推移)

令和2(2020)年5月以降、豚肉、鶏肉の卸売価格は量販店等での販売が好調なため、おおむね近年の同月平均価格よりも高い水準で推移しています(図表 特-28、図表 特-29)。

図表 特-28 豚肉の卸売価格

データ(エクセル:31KB / CSV:1KB

図表 特-29 鶏肉の卸売価格

データ(エクセル:29KB / CSV:1KB

(キャベツの卸売価格は高い水準で推移)

野菜の中では、キャベツの卸売価格が令和2(2020)年4~9月にかけて直近5年間の同月平均価格よりも高い水準で推移しました(図表 特-30)。野菜は天候によって作柄が変動しやすく、保存性も乏しいため、供給量の変動に伴い価格が大幅に変動する傾向にあります。このため、卸売価格の変動が新型コロナウイルス感染症の影響によるものとは一概に言えないものの、キャベツについては家庭で利用される数量が多いことが卸売価格の上昇につながったと考えられます。

図表 特-30 キャベツの卸売価格

データ(エクセル:28KB / CSV:1KB

(農業者の半数が売上高にマイナスの影響があると回答)

令和2(2020)年7月に公庫が実施した調査では、農業者の半数が売上高にマイナスの影響があると回答し、令和3(2021)年1月の同様の調査では、その割合は6割強に上昇しました(図表 特-31)。具体的な理由としては、単価・相場の下落が最も多く、次いで既往販路・出荷ルートの縮小・停止や直営所等の縮小・休業等となりました(図表 特-32)。

図表 特-31 農業者の売上高への影響

データ(エクセル:29KB / CSV:1KB

図表 特-32 農業者への具体的なマイナスの影響(複数回答)

データ(エクセル:28KB / CSV:1KB



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader