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農林水産省

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(2)農業生産・販売面での影響と新たな動き イ 販路の維持、拡大に向けた動き


(オンラインでの販売・PRが増加)

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、生産者が、新たにオンラインを通じて消費者に直接販売する動きが見られました。

長野県塩尻市(しおじりし)で葉物野菜等を生産する五味(ごみ)あやさんは、地元の小学校と中学校の学校給食用にほうれん草を卸しています。新型コロナウイルス感染症の影響で学校給食が停止し、代わりの出荷先を見つける必要が生じたため、直接販売サービスを運営するWebサイトにほうれん草を約150kg出品したところ、全て販売することができました。

直接販売サービスのイメージ

直接販売サービスのイメージ

資料:株式会社ビビッドガーデン

オンライン通販用のさくらんぼ

オンライン通販用のさくらんぼ

資料:王将果樹園

このように、Webサイトを通じて農産物の直接販売に取り組む生産者は増加しており、農産物等の直接販売サービスを展開する「食べチョク」によると、令和2(2020)年の登録生産者は前年比で約4倍に増加し、若年層以外の生産者による利用も増えています。

来園者が減少した観光農園では、SNS(*1)等のオンラインを通じて消費者と交流することにより、販路を維持する動きが見られました。

山形県天童市(てんどうし)の「王将果樹園(おうしょうかじゅえん)」は、さくらんぼ等を栽培し、毎年約2万人がさくらんぼ狩りに来園する観光農園を経営しています。新型コロナウイルス感染症の拡大の影響を受け、観光農園を休業せざるを得ない状況となったため、ダイレクトメールやSNSを通じて状況を発信したところ、主に若い世代からの購入申込みが大幅に増加し、その結果、令和2(2020)年のオンライン通販による売上げは、前年比で2倍以上となりました。

また、茨城県は、令和2(2020)年6月にオンラインを通じてメロンの収穫を疑似体験できる「オンラインメロン狩り」を開催しました。参加者は、画面上でメロンを選び、そのメロンを農家が収穫し、参加者に配送しました。県外からの参加者を含め、20組が参加し、参加者からは、「次は畑に行って触ってみたくなった。」などの感想が寄せられました。

参加者が選んだメロン

参加者が選んだメロン

資料:茨城県

参加者の様子

参加者の様子

資料:茨城県

*1 Social Networking Serviceの略。登録された利用者同士が交流できるWebサイトのサービス

(販路変更に向け、生産者、JA、行政等が取り組み)

新型コロナウイルス感染症の拡大により業務用や観光用の需要が減少したため、小売のスーパーや加工用に販路変更する動きが見られました。

愛知県豊川市(とよかわし)の東三温室園芸(とうさんおんしつえんげい)農業協同組合では、大葉やハーブ等を専門に生産し、主に外食や旅館等の業務用として販売していました。外食や旅館等の需要が大幅に減少したため、新たに小売用としてスーパーマーケット向けに少量パックなど多様な容量の商品を展開しました。

こうした取組により、令和2(2020)年4~6月の少量パック等の出荷量は、対前年比で5割増加し、全体の出荷量は2割増加となりました。同年7月以降も同程度の出荷量を維持することができました。

大葉の収穫作業

大葉の収穫作業

資料:東三温室園芸農業協同組合大葉部会

少量パックなど多様な商品

少量パックなど多様な商品

資料:東三温室園芸農業協同組合大葉部会

また、大阪府和泉市(いずみし)の「いずみ小川(こがわ)いちご農園」では、いちご狩りの休業が余儀なくされましたが、大阪府が府のWebサイトを通じ、府民や事業者に同農園のいちごの購入を呼びかけたところ、大阪市に本社を置く大手食品メーカーが約800kg引き取り、お菓子として発売することとなりました。同社への販売により、同農園の売上げが大きく落ち込むことはありませんでした。

収穫したいちご

収穫したいちご

資料:いずみ小川いちご農園

菓子メーカーと共同開発した商品

菓子メーカーと共同開発した商品

資料:いずみ小川いちご農園

(外食向けジビエを消費者向けに販売)

新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、これまで主に外食事業者向けに販売されていたジビエをオンラインを通じて、消費者に販売する動きが見られました。

大分県宇佐市(うさし)にある有限会社サンセイの宇佐(うさ)ジビエファクトリーは、シカ肉やイノシシ肉等のジビエの処理加工施設を持つ、大分県ジビエ利用モデル地区のコンソーシアム(*1)構成員の一つです。飲食店やホテル等で予定されていたジビエの催し物が相次ぎキャンセルされたため、令和2(2020)年8月中旬から国産農林水産物等販売促進緊急対策事業(品目横断的販売促進緊急対策事業)による送料支援を活用し、オンラインで消費者向けにジビエソーセージの販売を送料無料で開始したところ、それ以前は月当たり20万円以下だった売上げが、ほかのジビエ加工品も含め、同年12月には133万円と大幅に増加しました(図表 特-33)。

図表 特-33 オンラインにおける売上額

データ(エクセル:31KB / CSV:2KB

ジビエのオンラインショップ販売商品

ジビエのオンラインショップ
販売商品

資料:有限会社サンセイ宇佐ジビエファクトリー

*1 ジビエの利活用促進を図るため、県内関係市町村、処理加工施設、農業団体、流通、小売、システム開発等が連携して立ち上げた共同事業体のこと

(家庭消費向け品目の輸出額が増加)

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、令和2(2020)年の農林水産物・食品の輸出額は、6月までは前年同月比で減少傾向で推移しましたが、7月以降は増加し、年間の合計額は9,217億円で、前年比で1.1%(96億円)の増加となりました(図表 特-34)。

また、品目別に見ると、世界各国において家庭内での消費が堅調なことから、小売向けの品目である鶏卵、ぶどう等の輸出が増加しました。

図表 特-34 月別の農林水産物・食品の輸出額

データ(エクセル:33KB / CSV:2KB



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