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農林水産省

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第10節 国際交渉への対応



貿易交渉においては、我が国の農林水産業が「国の基(もとい)」として発展し、将来にわたってその重要な役割を果たしていけるよう交渉を行うとともに、輸出重点品目の関税撤廃等、我が国農林水産物・食品の輸出拡大につながる交渉結果の獲得を目指していくこととしています。本節では、我が国における経済連携交渉等への対応状況について紹介します。

(EPA/FTA等の締結が進展)

特定の国・地域で貿易ルールを取り決めるEPA/FTA(*1)等の締結が世界的に進み、令和3(2021)年1月時点では357件に達しています。

我が国においても、令和2(2020)年度末時点で、21のEPA/FTA等が発効済・署名済です(図表1-10-1)。これらの協定により、我が国は世界経済の約8割を占める巨大な市場を構築することになります。輸出先国の関税撤廃等の成果を最大限活用し、我が国の強みを活かした品目の輸出を拡大していくため、我が国農林水産業の生産基盤を強化していくとともに、新市場開拓の推進等の取組を進めることとしています。

一方、世界共通の貿易ルールづくり等が行われるWTO(*2)でも、これまで数次にわたる貿易自由化交渉が行われてきました。平成13(2001)年に開始されたドーハ・ラウンド交渉においては、依然として、開発途上国と先進国の溝が埋まっていないなど、農業分野等の交渉の今後の見通しは不透明ですが、我が国としては、世界有数の食料輸入国としての立場から公平な貿易ルールの確立を目指し交渉に臨んでおり、我が国の主張が最大限反映されるよう取り組んでいます。

図表1-10-1 我が国におけるEPA/FTA等の状況

*1、2 用語の解説3(2)を参照

(日英EPAが発効)

我が国と英国との貿易関係については、令和2(2020)年1月に英国がEUを離脱したため、移行期間が終了する令和3(2021)年1月以降は日EU・EPAが適用されなくなるという状況が生じていました。そこで、令和2(2020)年6月に日英間で交渉を開始し、同年10月の署名及びその後の両国の国内手続を経て、令和3(2021)年1月1日に日英包括的経済連携協定(以下「日英EPA」という。)が発効しました。

日本側の関税については、日EU・EPAで関税割当枠が設定されている品目について新たな英国枠を設けない(*1)、日EU・EPAでセーフガードが設定されている品目について同内容のセーフガードを措置する(*2)、その他の農林水産品についても日EU・EPAの内容を維持する(*3)など、日EU・EPAの範囲内で合意しました。また、英国側の関税についても、牛肉、茶、水産物等、主要な輸出関心品目について関税撤廃を獲得した日EU・EPAの内容を維持しました(*4)。

日英EPAの署名式

日英EPAの署名式

資料:外務省

*1 ソフト系チーズや一部の調製品について、日EU・EPAで設定された関税割当の利用残が生じた場合に限り、当該利用残の範囲内で、事後的に日EU・EPAの関税割当と同じ税率を適用

*2 数量セーフガードについては、英国とEUからの合計輸入数量が、日EU・EPAと同じ発動基準数量に達した場合に、英国に対して発動

*3、4 協定発効時から日英双方が、相手国に対して日EU・EPAと同じ税率を適用

(RCEP協定に署名)

平成25(2013)年から交渉が開始された地域的な包括的経済連携協定(以下「RCEP協定」という。)が、約8年の交渉の末、令和2(2020)年11月15日の首脳会合において署名されました。我が国とASEAN(*1)(東南アジア諸国連合)、豪州、中国、韓国、ニュージーランドの15か国が参加し、世界の国内総生産(GDP(*2))、貿易総額及び人口の約3割、我が国の貿易総額のうち約5割を占める地域の経済連携協定となります。また、我が国にとっては、最大の貿易相手国である中国や3位の韓国との間での初の経済連携協定です。各国は今後、国内での承認手続等を進め、早期の発効を目指すことになります。

日本側の関税については、重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)について関税の削減・撤廃から全て除外し、農林水産品の関税撤廃率はTPP、日EU・EPAよりも大幅に低い水準に抑制しました。一方、各国の関税については、中国からは、ほたて貝等、韓国からはキャンディー、板チョコレート等、インドネシアからは牛肉等の関税の撤廃を得ることができました。ルール分野では、税関手続や衛生植物検疫(SPS)措置、知的財産権等に関し、農林水産物・食品の輸出促進に資する環境を整備しました。

RCEP協定の署名式

RCEP協定の署名式

資料:内閣広報室

*1 用語の解説3(2)を参照

*2 国内において一定期間(通常1年間)に生産された財貨・サービスの付加価値額の総計のことで、国内の経済活動の水準を表す指標となる。GDPは、Gross Domestic Product の略

(国際ルール形成への対応)

近年の貿易自由化の進展や、環境問題等への世界的関心の高まりの中で、引き続き、政府が必要な農業施策を実施するとともに、民間企業が輸出や海外進出に円滑に取り組む環境を確保するためには、EPA/FTA、WTO等の貿易交渉はもとより、国際会議や国際機関での政策的議論に積極的に参画し、宣言文や行動規範(ガイドライン)等の国際ルールの形成に我が国の考え方を的確に反映させていくことが重要です。

このような中、我が国は、令和2(2020)年度には、G20農業・水大臣会合の副議長国やベルリン農業大臣会合の分科会議長国を務め、宣言文の取りまとめ等に貢献するなど、食料・農業分野での国際ルール形成に積極的に関与しました。また、令和2(2020)年11月には農林水産省職員がアジアから初めてOECD(経済協力開発機構)の農業委員会の議長に選出されており、令和3(2021)年1月からその職務を開始しました。



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