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農林水産省

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(2)農業経営体


(令和2(2020)年の農業経営体数は108万経営体で、96%が個人経営体)

図表 特-5 農業経営体数

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農業経営体(*1)全体の数は減少傾向にあり、令和2(2020)年は107万6千経営体と15年前の平成17(2005)年の200万9千経営体と比べて46%減少しました。

農業経営体のうち96%を占める個人経営体が減少傾向の一方、4%を占める団体経営体は微増傾向で推移しています(図表 特-5)。

個人経営体の数は、主業経営体(*2)、準主業経営体(*3)、副業的経営体(*4)の全ての分類で減少しており、特に、準主業経営体の減少割合が大きくなっています。

*1、2 用語の解説1、2(1)を参照

*3、4 用語の解説2(1)を参照

(主業経営体、法人経営体の経営する耕地面積の割合の合計は増加傾向)

経営耕地面積に占める割合を農業経営体の経営形態別に見ると、主業経営体と法人経営体の合計は増加傾向で推移し、令和2(2020)年で63%を占めています。特に法人経営体の割合は平成17(2005)年に比べて14ポイント増加しました。

その一方で、準主業経営体の割合が減少していますが、これは、5年間経過する中で、65歳未満の農業従事者が不在となり、副業的経営体になったこと等によるものと考えられます。

令和2(2020)年の割合を地目別に見ると、畑では主業経営体と法人経営体の割合が大きく、合計で81%を占めています。一方、田や樹園地においては副業的経営体の割合が約4割を占めています。

また、地域別に見ると、北海道においては主業経営体と法人経営体の割合が合計で90%を占める一方で、田・樹園地が多く、中山間地域の割合も高い中国地域、四国地域では副業的経営体の割合がおよそ半分の面積を占めています(図表 特-6)。

図表 特-6 経営形態別経営耕地面積の割合

データ(エクセル:30KB / CSV:2KB

図表 特-7 副業的経営体の経営耕地面積の割合

経営耕地面積に占める、自営農業に60日以上従事している65歳未満の世帯員がいない副業的経営体の割合を都道府県別に見ると、近畿、中国、四国で50%を超える府県もあり、本州の都府県、特に西日本において、副業的経営体が経営する耕地面積の割合が大きくなっています(図表 特-7)。多くの地域において65歳以上の農業従事者が地域の農業を維持する上で大きな役割を果たしていることがうかがえます。

(団体経営体では、法人経営体が稲作部門を始めとして増加傾向)

団体経営体では、法人経営体の数が増加傾向にあり、令和2(2020)年は3万1千経営体と平成17(2005)年の1万9千経営体に比べて60%増加しました(図表 特-8)。農業経営を法人化することで、経営管理の高度化、安定的な雇用の確保等の点でメリットがあるためと考えられます。

法人経営体数を販売金額1位部門別に見ると、ほぼ全ての部門で増加傾向にありますが、特に稲作部門においては、令和2(2020)年の法人経営体数が9千経営体となり、平成17(2005)年の2千経営体の4.7倍と大きく増加しています(図表 特-9)。

図表 特-8 団体経営体数

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図表 特-9 販売金額1位部門別法人経営体数

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(耕種部門では、特に稲、麦類、豆類で団体経営体の割合が増加傾向)

図表 特-10 作付(栽培)面積に占める団体経営体の割合(耕種部門)

データ(エクセル:30KB / CSV:2KB

耕種部門において、品目別の作付(栽培)面積に占める団体経営体の割合を見ると、全体的に増加傾向にあります。特に麦類、豆類は、令和2(2020)年に団体経営体が約4割と大きくなっています。

稲、麦類、豆類においては、平成17(2005)年から平成22(2010)年にかけて団体経営体の割合が大幅に増加するとともに、その後、平成22(2010)年以降も着実に増加しています(図表 特-10)。内訳を見ると、法人以外の団体の割合が減少する一方で、法人経営体の割合が増加しており、同年以降においては、稲・麦類・豆類等を作付けする集落営農組織の法人化が進んだものと考えられます。

(事例)集落営農組織から法人が設立(佐賀県)

佐賀県嬉野市
地域と5法人の位置関係

地域と5法人の位置関係

汎用田におけるキャベツの契約栽培

汎用田におけるキャベツの契約栽培

佐賀県南西部の嬉野市塩田東部(うれしのししおたとうぶ)地区は、塩田川(しおたがわ)と鹿島川(かしまがわ)に囲まれた水田農業が行われている地域です。農業者の減少と高齢化への危機感から、平成16(2004)年度から始まった基盤整備をきっかけに、集落営農組合を立ち上げて農地の集積(*)を推進してきました。平成19(2007)年度には塩田町内の12組合が構成員となって営農組合連絡協議会を設立し、相互の情報共有を図ってきました。

情報共有の中で今後は更なる担い手不足が懸念されることから、集落営農組織の経営基盤を強化するため、法人化に向けた集落内での話合いや関係機関との協議を重ねてきました。その結果、平成27(2015)年3月に地区内で初めての農事組合法人「アグリ三新(さんしん)」が設立され、その後四つの法人が設立され、現在では五つの法人が経営を行っています。これらの法人では農地中間管理機構から農地を借り受けるなどして、農地の集約化を進めた結果、地区全体の8割以上の農地が法人を中心とする担い手によって耕作されています。

法人化の取組と併せて、平成24(2012)年度から暗渠(あんきょ)排水の整備による汎用化や畦畔(けいはん)除去による大区画化等の基盤整備も進めた結果、大型機械の導入等による農作業効率の向上や高収益作物の導入が進められました。

「アグリ三新」では、更なる効率化に向けてスマート農機の実証実験が行われるとともに、酒造米や加工用キャベツ等の高収益作物の作付け等により、同法人で働く農業者の所得の向上にもつながっています。同地区では、今後もこのような取組を継続することにより、担い手の経営をより一層安定させていきたいと考えています。

* 用語の解説3(1)を参照

(畜産部門では、法人化がより進展し、採卵鶏や豚で飼養頭羽数の9割が法人経営体)

図表 特-11 飼養頭羽数に占める団体経営体の割合(畜産部門)

データ(エクセル:28KB / CSV:1KB

畜産部門において、品目別に飼養頭羽数に占める団体経営体の割合を見ると、耕種部門に比べても法人化の進展が顕著になっています。特に採卵鶏や豚においては、令和2(2020)年の飼養頭羽数の約9割が法人経営体によるものとなっています(図表 特-11)。

(事例)酪農家族経営の法人化により若手従業員と後継者を確保(新潟県)

新潟県新潟市
導入した搾乳ロボット

導入した搾乳ロボット

資料:株式会社Moimoiファーム

堤さんと後継者の打合せ

堤さんと後継者の打合せ

資料:株式会社Moimoiファーム

新潟県新潟市(にいがたし)の株式会社Moimoi(もいもい)ファームは4棟の牛舎で、130頭の乳用牛(育成牛含む。)を飼育している農業生産法人です。社長の堤富士人(つつみふじと)さんは、両親から酪農業を継承して家族経営を行っていましたが、近隣の酪農経営体の廃業を契機に経営規模を拡大してきました。

元々家族に牧場経営を継承する意向がなかった堤さんは、規模拡大に合わせた経営基盤を強化するとともに、将来的な経営継承の環境を整えるため、平成25(2013)年に牧場経営を法人化しました。

法人化を契機に、補助金を活用して搾乳ロボットを導入し、作業効率の向上により飼養頭数の増加が図られました。あわせて、若年層の人材の雇用も進み、現在は堤さん以外に30歳代の従業員が2人、パート2人の体制で経営を行っています。また、法人化により経営継承の環境が整ったことから、堤さんの知り合いの酪農家(現在は廃業)の子で、従業員として雇用している若手酪農家を後継の経営者に指名することができました。

堤さんは、「畜産経営の環境が厳しい中、後継者を確保・継承できる環境が整ったのは法人化の結果である。一方、地域の酪農経営体が減少しており、残る酪農経営体も点在となると、酪農団体の弱体化や生乳の輸送コスト増など経営に直接影響が出てくることから、地域としての酪農経営体の維持が課題となっている。」としています。

(いずれの農業地域類型においても法人経営体数が増加)

団体経営体数を農業地域類型(*1)別に見ると、平地農業地域(*2)、中間農業地域(*3)等いずれの地域においても増加傾向となっています(図表 特-12)。内訳を見ると、いずれの地域においても法人経営体数は増加しており、世帯で農業を行う経営体(*4)や集落営農組織等の法人化が進展していることがうかがわれます。

図表 特-12 農業地域類型別団体経営体数

データ(エクセル:35KB / CSV:4KB

*1~3 用語の解説2(7)を参照

*4 2020年農林業センサスでは、世帯で農業を行う経営体のうち、法人化していない経営体は個人経営体に、法人化した経営体は団体経営体(法人経営体)に分類

(いずれの農業地域類型においても法人経営体の経営耕地面積が増加)

団体経営体の経営耕地面積を農業地域類型別に見ると、いずれの地域においても増加しており、経営体数の増加の程度と比べても、増加傾向がより顕著になっています(図表 特-13)。

図表 特-13 農業地域類型別団体経営体の経営耕地面積

データ(エクセル:36KB / CSV:4KB

図表 特-14 農業地域類型別団体経営体の経営耕地面積の割合

データ(エクセル:28KB / CSV:1KB

また、経営耕地面積に占める団体経営体の割合を農業地域類型別に見ると、いずれの類型も20%台となっていますが、山間農業地域(*1)が25.9%と若干高くなっています(図表 特-14)。

*1 用語の解説2(7)を参照



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