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農林水産省

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(5)農業所得


(販売金額が3千万円以上の経営体数は増加)

農産物販売金額別の経営体数について、平成17(2005)年から令和2(2020)年までの変化を見ると、販売金額が3,000万円未満の階層では減少しています。一方で、3,000万円以上の階層では増加傾向で推移しています(図表 特-24)。

図表 特-24 農産物販売金額規模別農業経営体数

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経営規模拡大の進展を反映して、販売金額3,000万円以上の経営体数は、特に稲作や野菜作等の耕種部門で増加しています(図表 特-25)。畜産部門については販売金額5,000万円以上で経営体数が増加しています。

図表 特-25 販売金額3,000万円以上の経営体数(販売金額1位部門別)

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(主業経営体1経営体当たりの農業所得は415万円)

図表 特-26 主業経営体1経営体当たりの農業経営収支

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令和2(2020)年の主業経営体1経営体当たりの農業粗収益は、稲作等で経営規模が拡大したこと、野菜作等の作物収入が増加し1,266万6千円になったこと等により、前年から増加し1,993万6千円となっています。一方で、農業経営費は、主に、出荷する際の包装資材や運賃等の荷造運賃手数料が55万4千円、33%増加したこと等から、1,578万2千円に増加しています。この結果、農業粗収益から農業経営費を除いた農業所得(*1)は前年から減少し415万4千円となっています(図表 特-26)。

経営部門別に令和2(2020)年の主業経営体1経営体当たりの所得を見ると、水田作では雇人費、動力光熱費等の農業経営費は減少したものの、農業粗収益も減少したことから、農業所得は前年から減少し278万5千円となっています。

露地野菜作では、農業経営費の2割を占める荷造運賃手数料が増加したものの、作物収入が増加したことから、農業所得は増加し417万6千円となっています。

また、酪農経営、肥育牛経営では農業経営費の3~4割を占める飼料費が増加したこと等から、農業所得はそれぞれ前年から減少し酪農は774万4千円となり、肥育牛は213万4千円の赤字となっています。養豚では令和2(2020)年の豚肉の卸売価格が高い水準で推移したことを受け、養豚収入が1,486万7千円増加したため、農業所得は前年から増加し2,500万8千円となっています。採卵鶏では、令和元(2019)年は、農業粗収益を農業経営費が上回ったため農業所得は1,382万円の赤字でしたが、令和2(2020)年は、鶏卵収入が5,570万5千円増加したため、農業所得は1,180万9千円となっています(図表 特-27)。

経営部門別に経営収支の内容、構成割合は異なりますが、粗収益の増加と併せ、経営費の削減に向けた経営実態の把握と分析、改善に向けた取組も必要です。

図表 特-27 営農類型別の主業経営体1経営体当たりの農業所得

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*1 用語の解説2(4)を参照

(法人経営体1経営体当たりの農業所得は323万円)

図表 特-28 法人経営体1経営体当たりの農業経営収支

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令和2(2020)年の法人経営体の1経営体当たりの農業粗収益は、前年から増加し、1億1,101万3千円となっています。一方、農業経営費は、肉用牛や採卵鶏等で飼料費が増加したこと等により前年から増加し、1億777万9千円となりました。この結果、農業所得は前年から35万7千円増加し、323万4千円となっています(図表 特-28)。

(水田作では規模が大きいほど所得は大きく、土地生産性が高い傾向)

部門別に経営規模と所得の関係を見ると、水田作では作付延べ面積の規模が大きいほど農業所得は大きくなり、令和2(2020)年の1経営体当たりの農業所得は、30~50haの層では785万7千円、50ha以上の層では1,353万円となっています(図表 特-29)。

また、水田作では、規模が大きいほど土地生産性(面積当たりの付加価値額)は高い傾向となっています(図表 特-30)。土地生産性は、以前は規模が一定水準(10~15ha)に達すると横ばい又は低下する傾向が見られましたが、近年、 農地の集積・集約化(*1)による分散錯圃(さくほ)の解消や区画整理が進んでいること等が背景にあると考えられます。

今後、所得向上を図るためには、基盤整備による大区画化や農地の集約化等により、更に規模拡大を推進するとともに、経営データの活用等のスマート農業の取組を促進すること等により、生産性を一層向上させることが重要と考えられます。

図表 特-29 水田作作付延べ面積規模別農業所得(全農業経営体)

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図表 特-30 水田作作付延べ面積規模別土地生産性(全農業経営体)

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*1 用語の解説3(1)を参照

(露地野菜作では規模が大きいほど所得は大きいが、20ha以上層では低下)

露地野菜作においても作付面積の規模が大きいほど、農業所得が大きくなりますが、20ha以上の層では低下しています(図表 特-31)。これは、経営規模の大きい法人経営体において、雇人費を始めとした農業経営費が農業粗収益を上回り、農業所得がマイナスになっていることが影響していると考えられます。

また、露地野菜作では、規模が大きいほど労働生産性(時間当たりの付加価値額)が高くなりますが、20ha以上の層で低下しています(図表 特-32)。これは、20ha以上の層における、15~20haの層と比べた付加価値額の増加割合よりも、労働時間の増加割合が上回っているためです。露地野菜作全体の経営規模の拡大を進めるためには、20ha以上層において、更に労働生産性が向上するよう、雇用労働力の労務管理等による労働時間の短縮、業務の効率化に向けた取組が必要です。

図表 特-31 露地野菜作作付延べ面積規模別農業所得(全農業経営体)

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図表 特-32 露地野菜作作付延べ面積規模別労働生産性(全農業経営体)

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(コラム)米と野菜の価格の動向

米と野菜の価格の動向を平成2(1990)年以降の農業物価指数で見ると、米はおおむね低下傾向で推移している一方、野菜は長期的には上昇傾向で推移しているものの、近年は豊作等により価格が低下しています。

野菜は天候によって作柄が変動しやすく、短期的には価格が大幅に変動する傾向があり、令和3(2021)年においては、きゅうり、キャベツ、はくさい等の価格は生育が良好であったことから前年に比べ低下しています。

米と野菜の価格指数

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主要野菜の卸売価格

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(酪農でも規模が大きいほど所得は大きい傾向)

図表 特-33 搾乳牛飼養頭数規模別農業所得(全農業経営体)

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酪農でも搾乳牛の飼養頭数の規模が大きいほど農業所得が大きくなっています。しかし、令和2(2020)年の200頭以上層では、令和元(2019)年と比べて農業粗収益が横ばいの一方で、飼料費や荷造運賃手数料等の増加により農業経営費が3,345万3千円増加したため、農業所得は大幅に減少しました(図表 特-33)。



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