このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

第10節 国際交渉への対応



国際交渉においては、我が国の農林水産業が「国の基(もとい)」として発展し、将来にわたってその重要な役割を果たしていけるよう交渉を行うとともに、輸出重点品目の関税撤廃等、我が国の農林水産物・食品の輸出拡大につながる交渉結果の獲得を目指していくこととしています。本節では、経済連携交渉等の我が国における国際交渉への対応状況について紹介します。

(EPA/FTA等の締結が進展)

特定の国・地域で貿易ルールを取り決めるEPA/FTA(*1)等の締結が世界的に進み、令和3(2021)年6月時点では366件に達しています。

我が国においても、令和3(2021)年度末時点で、21のEPA/FTA等が発効済・署名済です(図表1-10-1)。これらの協定により、我が国は世界経済の約8割を占める巨大な市場を構築することになります。輸出先国の関税撤廃等の成果を最大限活用し、我が国の強みを活かした品目の輸出を拡大していくため、我が国農林水産業の生産基盤を強化していくとともに、新市場開拓の推進等の取組を進めることとしています。

また、世界共通の貿易ルールづくり等が行われるWTO(*2)でも、これまで数次にわたる貿易自由化交渉が行われてきました。平成13(2001)年に開始されたドーハ・ラウンド交渉においては、依然として、開発途上国と先進国の溝が埋まっていないなど、農業分野等の交渉の今後の見通しは不透明ですが、我が国としては、世界有数の食料輸入国としての立場から公平な貿易ルールの確立を目指し交渉に臨んでおり、我が国の主張が最大限反映されるよう取り組んでいます。

図表1-10-1 我が国におけるEPA/FTA等の状況

*1 用語の解説3(2)を参照

*2 用語の解説3(2)を参照

(RCEP協定が発効)

平成24(2012)年に交渉の立ち上げが宣言された地域的な包括的経済連携協定(RCEP協定)が、令和3(2021)年11月までに我が国を含む10か国において国内手続を完了し、協定の寄託者であるASEAN(*1)(東南アジア諸国連合)事務局長に批准書等を寄託したことから、令和4(2022)年1月に発効しました。韓国については、令和3(2021)年12月に寄託したことから、令和4(2022)年2月に発効し、マレーシアについては、同年1月に寄託したことから、同年3月に発効しました。

日本側の関税については、重要5品目(米、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物)について関税の削減・撤廃から全て除外し、農林水産品の関税撤廃率はTPP11協定(環太平洋パートナーシップに関する包括的及び先進的な協定)、日EU・EPAよりも大幅に低い水準に抑制しました。一方、各国の関税については、中国からはほたて貝等、韓国からはキャンディー、板チョコレート等、インドネシアからは牛肉等の関税の撤廃を新たに得ることができました。ルール分野では、税関手続や衛生植物検疫(SPS)措置、知的財産権等に関し、農林水産物・食品の輸出促進に資する環境を整備しました。

*1 用語の解説3(2)を参照

(TPP11協定への英国の加入手続が開始)

平成30(2018)年12月に発効したTPP11協定について、令和3(2021)年2月の正式な申請を受け、同年6月に行われたTPP委員会において、英国の加入手続の開始及び英国の加入に関する作業部会(AWG)の設置が決定され、同年9月に開始されたAWG第1回会合において、英国の協定義務の遵守等が議論・検討されました。同会合は令和4(2022)年2月に終了し、英国側の市場アクセスのオファー及び適合しない措置を提出するよう英国に伝達しました。

(国際ルール形成への対応)

近年の貿易自由化の進展や、環境問題等への世界的関心の高まりの中で、引き続き、政府が必要な農業施策を実施するとともに、民間企業が輸出や海外進出に円滑に取り組む環境を確保するためには、EPA/FTA、WTO等の貿易交渉はもとより、国際会議や国際機関での政策的議論に積極的に参画し、宣言文や行動規範(ガイドライン)等の国際ルールの形成に我が国の考え方を的確に反映させていくことが重要です。

このような中、我が国は、令和3(2021)年9月にイタリアで開催されたG20農業大臣会合に参加しました。会合では、食料システムの持続性と強靱(きょうじん)性確保に向けた課題と経験や、飢餓ゼロ目標達成に向けた持続可能な農業開発等について議論が行われました。我が国からは、食料・農業の生産力向上と持続可能性を両立させること、その取組を共有することの重要性等について発信し、食料・農業分野での国際ルール形成に積極的に関与しました。

また、同年9月にオンラインで開催された「国連食料システムサミット」は、SDGs(*1)達成に向け、食料システムを変革していくための具体的な行動を検討する重要な会議であり、我が国は、その議論や成果に、「みどりの食料システム戦略」に基づく我が国の考えを反映できるよう、同年7月に開催されたプレサミット(閣僚級準備会合)を始め、一連の会合に積極的に参画し、同戦略に基づき、持続可能な食料システムの構築を推進していく旨発表しました(*2)。さらに、プレサミットに合わせ、東南アジア各国とは、持続的な農業・食料システムの実現には万能の解決策はなく、各国・地域のおかれた条件を踏まえた取組が重要であることについて、EUとはイノベーションの推進について、フランスとはバランスのとれた食生活の重要性について、それぞれの共同文書に合意した結果、国連事務総長から発出された「議長サマリー・行動宣言」においては、持続的な農業・食料システムの実現には「万能の解決策はない」等と明記されるなど我が国の考えが反映されました。

*1 用語の解説3(2)を参照

*2 トピックス2を参照



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader