第3節 食料消費の動向
近年においては人口減少や高齢化により国内の食市場が縮小すると見込まれる一方で、消費者ニーズは多様化し、食の外部化(*1)が進展していたところ、新型コロナウイルス感染症の感染拡大は、そのような食料消費の動向に大きな影響をもたらし、令和3(2021)年においてもその影響は続いています。本節では、このような食料消費の動向について紹介します。
*1 用語の解説3(1)を参照
(新型コロナウイルス感染症の感染拡大で外食への支出は減少、生鮮・調理食品等への支出は増加)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大で外出の機会が減った一方、家庭で調理する機会が増えたことで、令和2(2020)年は食料消費支出に占める生鮮食品の割合の増加と、外食の割合の減少が顕著になりました(図表1-3-1)。また、令和3(2021)年は、生鮮食品の割合は前年よりも減少し、外食の割合は前年と同程度となっています。このほか、調理食品への支出割合は増加傾向で推移しています。
なお、令和2(2020)年の外食の減少幅は人口の多い大都市でより大きくなっています(図表1-3-2)。
(生鮮肉、パスタ、冷凍調理食品等の支出が増加傾向で推移)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は、品目別の食料消費支出額にも見ることができ、令和2(2020)年3月以降、生鮮肉等の生鮮食品、長期保存が可能なパスタ、即席麺、バター等の加工食品、冷凍調理食品等の調理食品への支出額は令和元(2019)年の同月を上回る水準で推移しています(図表1-3-3)。この傾向は、令和4(2022)年に入って以降も継続しています。
(インターネットによる通信販売での食料消費支出額が増加)
令和2(2020)年3月以降、インターネットによる通信販売での食料消費支出額が増えています。項目別に見ると、出前の支出額は上昇幅が大きく、令和4(2022)年1月には令和元(2019)年同月比で3.9倍となりました(図表1-3-4)。
食料品や飲料の支出額も上昇傾向で推移しており、この傾向は令和3(2021)年9月に緊急事態宣言が解除された後も継続していることから、一過性ではないことがうかがわれます。
(コラム)エンゲル係数の変動要因
家計の消費支出に占める食料消費支出の割合であるエンゲル係数は、令和2(2020)年に対前年比で1.8ポイント上昇しました。その要因(*)を見ると、「家計購入数量要因」の寄与度がプラス1.4ポイントとなっており、家計消費支出の減少の影響が大きい状況となっています。
また、令和3(2021)年のエンゲル係数は対前年比で0.3ポイント減少しました。その主な要因としては「家計購入数量要因」の寄与度がマイナス0.2ポイントとなったことなどが挙げられます。
* エンゲル係数の変動要因は、係数を算出する際の分母に当たる家計消費支出に影響する「消費者物価要因」と「家計購入数量要因」に分解でき、また、分子に当たる食料消費支出に影響する「食料品価格要因」と「食料購入数量要因」に分解できる。
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