このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

第7節 消費者と食・農とのつながりの深化



消費者や食品関連事業者に積極的に国産農林水産物を選択してもらえるようにするためには、消費者と農業者・食品関連事業者との交流を進め、消費者が我が国の食や農を知り、触れる機会の拡大を図ることが重要です。また、平成25(2013)年の和食文化のユネスコ無形文化遺産登録を踏まえた次世代への和食文化の継承や、海外での和食の評価を更に高めるための取組等も重要です。

さらに、原油、肥料原料、飼料を始めとする生産資材や原材料価格の上昇等による農産物、食品の生産コストの上昇等について、消費者の理解を得つつ、生産コスト等の適切な価格転嫁のための環境整備を進めていくことも必要です。

本節では、これらの課題に対応した、消費者と食と農とのつながりの深化を図るための様々な取組を紹介します。

(1)地産地消の推進と国産農林水産物の消費拡大

(地産地消の取組を推進)

図表1-7-1 農産物直売所数(販売金額規模別)

データ(エクセル:30KB / CSV:2KB

地域で生産された農林水産物をその地域内で消費する地産地消(*1)の取組は、国産農林水産物の消費拡大につながるほか、地域活性化や食品の流通経費の削減等にもつながります。地産地消に係る基本方針(*2)に基づいて、農林水産省は年間販売金額が1億円以上の通年営業の農産物直売所数を令和7(2025)年度までに令和元(2019)年度から9割増の5,700件にするという目標を掲げており、令和2(2020)年度は、全体件数が減少傾向にある中、前年度に比べ23件減少し2,922件となりました(図表1-7-1)。なお、年間販売金額が1億円以上の通年営業の農産物直売所の割合は、0.5ポイント増加して26.4%となりました。

また、学校給食等において地場産物を使用することは、地産地消を推進するに当たって有効な手段となります。地場産の農林水産物の利用については、一定の規格等を満たした量を不足なく納入する必要があるなど多くの課題があるため、農林水産省では、学校給食等の現場と生産現場の双方のニーズや課題の調整役となる「地産地消コーディネーター(*3)」を全国の学校等施設給食の現場に派遣してきました。引き続き、これらの取組を更に発展させていくことで、地場産の農林水産物の利用拡大を図っていきます。

*1 用語の解説3(1)を参照

*2 農林水産省「農林漁業者等による農林漁業及び関連事業の総合化並びに地域の農林水産物の利用の促進に関する基本方針」

*3 栄養教諭、生産者組織代表、農協、コンサルタント、企業、行政等

(2)和食文化の保護・継承

(和食文化の保護・継承に向けた取組)

令和3(2021)年度に実施した食育に関する意識調査(*1)では、いわゆる郷土料理や伝統料理(自身の生まれ育った地域や現在住んでいる地域に限定せず、旅先や外食先等で食べた日本全国の郷土料理や伝統料理を含む。)を食べる頻度について、「月に1回以上」と回答した人は61.7%となりました。

一方で、近年における食の多様化や家庭環境の変化等を背景に、和食(*2)や地域の郷土料理、伝統料理に触れる機会が少なくなってきており、郷土料理等を受け継ぎ、次世代に伝えることが和食文化の保護・継承に向けた課題となっています。このため、令和元(2019)年度から、地域固有の多様な食文化を地域で保護し、次世代に継承していくことを目的として、47都道府県別の1,300を超える郷土料理の歴史や由来、レシピ等を取りまとめたデータベース「うちの郷土料理~次世代に伝えたい大切な味~」を公開しています。

また、農林水産省は、平成30(2018)年度から身近で手軽に健康的な和食を食べる機会を増やしてもらい、将来にわたって和食文化を受け継いでいくことを目指し、官民協働の「Let’s!和ごはんプロジェクト」に取り組んでいます。

さらに、子供や子育て世代に対して和食文化の普及活動を行う中核的な人材(「和食文化継承リーダー」)を育成するため、栄養士や保育士等向けに和食文化の子供への伝え方等を解説した教材の作成や、和食文化に対する理解を深めるための研修会の開催等を行っています。

このほか、文化庁では、地域に根差した多様な日本の食文化を次の世代へ継承するために、文化財保護法に基づく保護を進めるとともに、各地の食文化振興の取組に対する支援や、食文化振興の機運醸成に向けた情報発信等を行っています。

*1 農林水産省「食育に関する意識調査」(令和4(2022)年3月公表、全国の20歳以上の者5千人を対象として実施した郵送及びインターネットによる調査、有効回収率48.9%)

*2 「和食;日本人の伝統的な食文化」が平成25(2013)年12月にユネスコ無形文化遺産に登録。用語の解説3(1)を参照

(3)消費者と生産者の関係強化

(消費者と農林水産業関係者等を結ぶ広報を推進)

新型コロナウイルス感染症の感染が拡大する中、デジタル技術を活用した生活様式の変化により、消費者はSNSなどのインターネット上の情報を基に購買行動を決定し、生産者もこれに合わせて積極的にSNS上で情報発信をするようになりつつあります。これを踏まえ、農林水産省は、職員がYouTuberとなって、我が国の農林水産物の良さや農山漁村の魅力等を伝える省公式YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF(ばずまふ)」や、農林水産業関連の情報や省の施策を消費者目線で発信する省公式Twitter、食卓や消費の現状、暮らしに役立つ情報等を毎週発信するWebマガジン「aff(あふ)」等を通じて、消費者と農林水産業関係者、農林水産省を結ぶための情報発信を強化しています。

特に、令和2(2020)年1月から開始したBUZZ MAFFは、令和3(2021)年度末時点で総再生回数2,300万回を突破し、チャンネル登録者数は14万4千人を超えています。

省公式YouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」

省公式YouTubeチャンネル
「BUZZ MAFF」
URL:https://www.youtube.com/channel/
UCk2ryX95GgVFSTcVCH2HS2g
(外部リンク)

省公式Twitter

省公式Twitter

aff(あふ) 2021年6月号

aff(あふ) 2021年6月号

(事例)SNSを活用した消費者との結び付きにより売上げを増加(兵庫県)

兵庫県南あわじ市
SNSに掲載した宣伝用の写真

SNSに掲載した宣伝用の写真

資料:野口ファーム

兵庫県南(みなみ)あわじ市(し)の野口(のぐち)ファームは、従業員6人により、2.5haの農地でレタスやたまねぎを中心に30品目を栽培しています。農業の実態や、野菜の栽培状況を消費者に知ってもらうために、平成26(2014)年から複数のSNSによる広報活動を開始し、Instagramでのフォロワー数は1.7万人となっています。

子育て世代の女性をメインターゲットとし、農園の様子やスタッフの紹介、これから収穫が始まる野菜等の情報をSNSに毎日投稿することで、消費者の農園への親近感や購買意欲を高めることを目指しています。SNSでの発信を機にネット販売等の販路が拡大したことで、現在の販売先の8割は直接販売によるものとなり、また、面積当たりの売上げは1.5~2.5倍に増加しました。

今後は、野菜の栽培方法に関する動画の公開や、販売する野菜の成長過程の発信等、広報活動の更なる充実を目指しています。



ご意見・ご感想について

農林水産省では、皆さまにとってより一層わかりやすい白書の作成を目指しています。

白書をお読みいただいた皆さまのご意見・ご感想をお聞かせください。

送信フォームはこちら

お問合せ先

大臣官房広報評価課情報分析室

代表:03-3502-8111(内線3260)
ダイヤルイン:03-3501-3883

PDF形式のファイルをご覧いただく場合には、Adobe Readerが必要です。
Adobe Readerをお持ちでない方は、バナーのリンク先からダウンロードしてください。

Get Adobe Reader