馬肉を介したザルコシスティス・フェアリーによる食中毒Q&A
- 「ザルコシスティス・フェアリー」とは何ですか?
- 「ザルコシスティス・フェアリー」が寄生した馬刺しを食べるとどうなりますか?
- 「ザルコシスティス・フェアリー」による食中毒はこれまでどのくらい発生していますか?
- ヒトでの食中毒を防ぐ対策にはどんなことがありますか?
- 生産段階におけるリスク低減の取組
1.「ザルコシスティス・フェアリー」とは何ですか?
写真提供:埼玉県食肉衛生検査センター
「ザルコシスティス・フェアリー」は犬と馬の寄生虫(原虫)です。犬がこの寄生虫に感染すると糞便の中に寄生虫を排出します。馬はこの糞便に汚染された飼料や飲用水などを食べることによって感染します。馬の体の中では筋肉に寄生するため、この寄生虫に感染した馬の肉を食べた犬に感染します。このように、犬と馬との間で生き続けていますが、人に寄生して体内で発育することはないことが分かっています。
2.「ザルコシスティス・フェアリー」が寄生した馬刺しを食べるとどうなりますか?
ザルコシスティス・フェアリーが人に寄生して発育することはありませんが、これが多く含まれる馬肉を食べると、食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を示し、軽症で終わる事例が報告されています。
現時点では、どのくらいの量を食べると症状を示すかは明らかになっていません。
3.「ザルコシスティス・フェアリー」による食中毒はこれまでどのくらい発生していますか?
平成21年6月から平成23年3月までに厚生労働省が実施した全国調査では、食後数時間程度で一過性の嘔吐や下痢を示し、軽症で終わる原因不明の有症事例が198件報告され、そのうち33件で食事のメニューに馬刺しが含まれていました。また、そのうち馬刺しを食べたことが原因であると考えられた事例は4件ありました。
この事例に関連した馬刺しからは既に知られている食中毒菌やウイルスは見つからず、多くに共通してザルコシスティス・フェアリーの寄生が見つかりました。
これらのことから、食中毒の原因物質のひとつとしてザルコシスティス・フェアリーが関与していると言われています。
4.ヒトでの食中毒を防ぐ対策にはどんなことがありますか?
(1)農場段階での対策
ザルコシスティス・フェアリーは、馬と犬の間で生き続けているので、犬の糞便で馬の飼料や飲用水などが汚染されるのを防いだり、牧場で飼養する犬に生の馬肉を与えないことなどによって、犬から馬への寄生を防ぐことができると考えられます。
(2)加工・流通段階での対策
馬肉を冷凍することによってザルコシスティス・フェアリーによる食中毒のリスクを低くすることができるとされています。
(ザルコシスティス・フェアリーによる食中毒を防ぐことが示されている冷凍処理の条件:-20℃(中心温度)で48時間以上、-30℃(同)で36時間以上、-40℃(同)で18時間以上、急速冷凍装置を用いた場合は-30℃(同)で18時間以上を保持、液体窒素に浸す場合は1時間以上保持)
5.生産段階におけるリスク低減の取組
お問合せ先
消費・安全局畜水産安全管理課
担当者:生産安全班
代表:03-3502-8111(内線4536)
ダイヤルイン:03-6744-2103