このページの本文へ移動

農林水産省

メニュー

脂質による健康影響

更新日:2018年1月25日

食事から摂取する脂質は、多すぎても少なすぎても健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、一部の種類の脂質については、食生活における摂取量の基準が設定されています。

日本人の食事摂取基準

厚生労働省は、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギー及び各栄養素について、摂取量の基準を定めています。現在は、平成26年(2014年)3月に公表された「日本人の食事摂取基準(2015年版)」が最新です。以下に、栄養素に関する指標のうち、脂質に関するものをご紹介します。

日本人の食事摂取基準(脂質に関する部分)

脂質、飽和脂肪酸の目標量(※1)は、総エネルギー摂取量に占める割合(%エネルギー)、n-6系及びn-3系脂肪酸の目安量(※2)は1日当たりの摂取量で示されています(成人についての基準のみ抜粋)。

 ※1  生活習慣病の予防のために現在の日本人が当面の目標とすべき摂取量。
 ※2  一定の栄養状態を維持するのに十分な摂取量。 

  性別 男性 女性
年齢 18-29歳 30-49歳 50-69歳 70歳以上 18-29歳 30-49歳 50-69歳 70歳以上
脂質
(エネルギー比率)
目標量 20% 以上 30% 未満 20% 以上 30% 未満
飽和脂肪酸
(エネルギー比率)
目標量 7%以下 7%以下
n-6系脂肪酸
(g/日)
目安量 11 g 10 g 8 g 8 g 7 g
n-3系脂肪酸
(g/日)
目安量 2.0 g
2.1 g
2.4 g
2.2 g
1.6 g 2.0 g
1.9 g

 

脂質の欠乏又はとりすぎによる健康影響

脂質(脂肪エネルギー比率:総エネルギーに占める脂質の割合)

脂質は、同じ重さで比べると、炭水化物やたんぱく質よりも大きなエネルギーを持っています。したがって、脂質の多い食品は少量でも大きなエネルギーを持っており、脂質をとりすぎると、特に運動不足の場合にはエネルギーのとりすぎになります。とりすぎたエネルギーは体脂肪として蓄積されるため、肥満やメタボリックシンドロームの原因となります。厚生労働省によれば、メタボリックシンドロームとは、「内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態」とされています。

出典:メタボリックシンドロームとは?(厚生労働省 e-ヘルスネット)〔外部リンク〕

日本人の食事摂取基準では、脂肪エネルギー比率が高くなると、日本人のような肥満の少ない集団では、肥満、メタボリックシンドローム、糖尿病、さらに冠動脈疾患のリスクの増加等が懸念されるとする一方、脂質の中には体内で合成できず、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸が含まれる他、脂質の摂取量が少ないと脂溶性ビタミンの吸収を悪くしたりエネルギー摂取不足になりやすくなったりするとして、脂質の目標量として脂肪エネルギー比率の下限、上限が定められています。

飽和脂肪酸

飽和脂肪酸は、炭素間に二重結合を持たない脂肪酸で、乳製品、肉などの動物性脂肪や、近年、我が国において使用量が増えているパーム油などの植物油脂に多く含まれています。これらも重要なエネルギー源ではありますが、飽和脂肪酸をとりすぎると、血液中のLDLコレステロール(いわゆる悪玉コレステロール)が増加し、動脈硬化性疾患、特に心筋梗塞のリスクが増加することが予想されています。

日本人の食事摂取基準では、飽和脂肪酸摂取量の制限は総脂質摂取量の制限につながり、さらには必須脂肪酸の摂取不足につながるおそれがあることに気をつける必要があるものの、飽和脂肪酸摂取量が少ないことが直接何らかの生活習慣病のリスクとなる証拠はないとして、飽和脂肪酸に目標量の上限が設定されています。

一価不飽和脂肪酸

炭素間に二重結合をもつ脂肪酸を不飽和脂肪酸といいます。一価不飽和脂肪酸は、不飽和脂肪酸のうち、二重結合を一つもつもので、動物性脂肪やオリーブ油などの植物油に多く含まれ、その大部分はオレイン酸です。一価不飽和脂肪酸は食品から摂取するほか、体内で飽和脂肪酸から合成することができるため、必須脂肪酸ではありません。

日本人の食事摂取基準では、必須脂肪酸ではないため、目安量は設定されていません。また、一価不飽和脂肪酸と冠動脈性疾患などの生活習慣病リスクの関連は明らかではないとして、目標量も設定されていません。しかし、欧米の研究で、多量の摂取は冠動脈性心疾患や肥満のリスクになることが示唆されているため、過剰摂取に注意すべきとしています。

n-6系脂肪酸

炭素間に二重結合を二つ以上もつ多価不飽和脂肪酸の中でも、鎖状に結合した炭素のうち、末端から数えて3個目と4個目の炭素間に最初の二重結合があるものを「n-3系(エヌ・マイナス・サンケイ)脂肪酸」といい、6個目と7個目の炭素間に最初の二重結合があるものを「n-6系(エヌ・マイナス・ロクケイ)脂肪酸」といいます。

n-6系脂肪酸には、リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸などがあり、γ-リノレン酸、アラキドン酸はリノール酸の代謝物です。日本人が食品から摂取するn-6系脂肪酸の98%はリノール酸とされており、大豆油やコーン油などの植物油が主な摂取源です。リノール酸は体内で合成することができないため、食事から摂取する必要がある必須脂肪酸です。

健康な日本人ではn-6系脂肪酸の欠乏が原因と考えられる皮膚炎等の報告はないものの、完全静脈栄養を補給されている人ではn-6系脂肪酸欠乏症が見られるとの報告があることから、日本人の食事摂取基準では、n-6系脂肪酸の目安量が定められています。

n-3系脂肪酸

n-3系脂肪酸には、α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)などがあり、α-リノレン酸は植物油が、EPAやDHAは魚介類が主な摂取源です。

これらの脂肪酸は体内で合成できない必須脂肪酸であり、欠乏すると皮膚炎等を発症するため、日本人の食事摂取基準では目安量が設定されています。
なお、n-3系脂肪酸には、冠動脈疾患、脳卒中、糖尿病、乳がん、大腸がん、肝がん、加齢黄斑変性症、あるタイプの認知障害やうつ病に対しても予防効果を示す可能性があり、日本人で有効性を示す報告も数多くあるとされています。しかし、明らかな予防効果は認められていないとして、目標量は設定されていません。

コレステロール

コレステロールは、脳神経や筋肉の働き、細胞膜やホルモンの生成に不可欠な物質です。コレステロールは体内(肝臓)で合成される脂質ですが、一部は食事からも摂取されます。卵には、1個にコレステロールが約250 mg含まれています。なお、食事から摂取されるコレステロールは、体内で作られるコレステロールの1/7~1/3とわずかしかないことが知られています。食事から摂取されるコレステロールが少ないと体内で作られるコレステロールが増加し、逆に食事から摂取されるコレステロールが多いと体内で作られるコレステロールは減少します。よって、食事から摂取されたコレステロールの量が、そのまま血液中のコレステロール値に反映されるわけではありません。

体内で合成された(又は食事から摂取されて吸収された)コレステロールは、LDL(低比重リポタンパク)によって必要としている細胞組織に運ばれます。そこで利用されなかったコレステロールは、HDL(高比重リポタンパク)によって肝臓に戻ります。 このLDLとコレステロールの複合体をLDLコレステロール(いわゆる「悪玉コレステロール」)、HDLとコレステロールの複合体をHDLコレステロール(いわゆる「善玉コレステロール」)と呼んでいます。 食事からコレステロールを多くとると、血液中のLDLコレステロールの量が特に増えて、HDLコレステロールとのバランスが崩れ、細胞組織に運ばれるコレステロールが過剰となります。それらが血管の壁にたまることで、動脈硬化を引き起こす要因となると考えられています。

日本人の食事摂取基準では、コレステロールの摂取量が多い場合にある種のがんの罹患率が高くなることも報告されており、コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいと考えられるものの、十分な科学的根拠が得られなかったとして、目標量は設定されていません。

用語解説

メタボリックシンドローム

内臓肥満に高血圧・高血糖・脂質代謝異常が組み合わさり、心臓病や脳卒中などの動脈硬化性疾患をまねきやすい病態です。単に腹囲が大きいだけではメタボリックシンドロームにはあてはまりません。
日本では、ウエスト周囲径(おへその高さの腹囲)が男性85cm、女性90cmを超え、高血圧・高血糖・脂質代謝異常の3つのうち2つに当てはまるとメタボリックシンドロームと診断されます。
メタボリックシンドロームは、血圧・血糖・脂質の値が治療を要するほど高値でなくても動脈硬化が進行しやすい状態ですので、これらの値が異常になる前から生活改善を心がけて、動脈硬化の進行にブレーキをかけ、生活習慣病を未然に防ごうというのが、メタボリックシンドロームを取り入れた基本的な考え方です。

 出典:メタボリックシンドロームの基礎知識(厚生労働省 e-ヘルスネット)〔外部リンク〕

冠動脈性心疾患(冠状動脈性心疾患)

冠動脈性心疾患は、心臓に血液を供給する冠動脈で血液の流れが悪くなり、心臓に障害が起こる病気の総称です。冠動脈の内側が狭くなり、心筋に必要な量の酸素が供給できなくなった結果、胸の痛みに襲われる狭心症や、冠動脈の詰まりがひどく、心筋の一部の組織が壊死してしまう心筋梗塞が含まれます。ほぼ同様の病気の総称を、虚血性心疾患や冠動脈疾患という場合もあります。

出典: 冠状動脈性心疾患/CHD(厚生労働省 e-ヘルスネット)〔外部リンク〕

参考文献

お問合せ先

消費・安全局食品安全政策課
担当:安全対策企画班
代表:03-3502-8111(内線4453)