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農林水産省

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12.花き

(1)災害等に備えるための保険加入

   近年、令和元年の東日本の台風、令和2年7月に熊本県などを襲った豪雨など過去に例のない災害が多発している。また、令和2年からの新型コロナウイルスの感染拡大防止の取組により、需要が減少し、価格が下落。さらに、夏季の高温による開花期の前進・遅延、秀品率の低下等といった影響も報告されている。
   災害対策の基本として、自然災害などのリスクに対しては、農業者自らが備えることが重要であるため、青色申告者には収入保険への加入を勧める。また、ハウス栽培の場合は、ハウスの損害に備えて、園芸施設共済等に併せて加入するよう勧める。

(2)低温対策

ア 寒害対策

   露地栽培等における発芽期、定植後の幼苗期、多年草の越冬期には、不織布などの被覆資材のべたがけやマルチング等により地温を上昇させる。育苗に当たっては、外気温が低い時期には施設内が多湿となり、病害発生に好適な環境となり得るため、低温障害を受けないよう留意しながら、十分な換気を行う。また、病害が発生した場合には、速やかに防除を実施する。

イ 雪害対策

   育苗床の設置に当たっては、日照、風向等の環境条件を十分に考慮するとともに、除雪や融雪促進剤の散布を行い、適期育苗に努める。また、作付予定地等において平年よりも融雪が相当に遅延すると見込まれる場合には、除雪、融雪促進剤の散布等による融雪とほ場内からの排水を促進することにより、地温の上昇及び湿害の防止に努める。

ウ 凍霜害対策

   日照、風向等を考慮して凍霜害を回避できる適地をあらかじめ選定する。また、早蒔き、早植えを極力避け、健苗の育成に努める。定植後は、必要に応じ、フィルム被覆等により被害を回避するとともに、被害が発生した場合には、欠株の補植、被害の状況に応じた速効性肥料の施用等適切な肥培管理により被害の軽減に努め、さらに適切な病害虫防除を実施する。

エ 低温・長雨・寡照対策

   気象の推移に十分留意し、排水路の整備等による排水対策のほか、必要に応じて葉面散布等による追肥を行う等、適正な栽培管理に努め、草勢の回復を促進する。低温・多湿により、病害の発生が助長されるので、発生状況に応じて薬剤散布を実施するとともに、感染源となるり病葉及びり病株を早期に処分する。また、施設栽培では、多湿にならないよう、施設内の空気循環や換気を行うとともに、日照不足による軟弱徒長を防ぐため、温度や養水分等を適切に管理し、曇雨天が続いた後の強光による葉焼けを防止するため、光量に応じてきめ細かく遮光資材を開閉する。

(3)高温対策

   近年の夏季の高温状況を踏まえ、高温による開花遅れや生育障害、病害被害を軽減するため、必要に応じて高温耐性品種を選定する。
   かん水は、立地条件や品目、生育状態等を十分考慮し、早朝・夕方に実施する。施設内でのかん水は、湿度が高くなりやすくなることから、夜間や曇雨天の日中には、通風するなどして湿度を下げる。
   切り花については、朝・夕の気温の低い時間に採花し、常温で長時間放置しない。また、エチレンによる劣化を防ぐため前処理剤を使用し、品質の維持に努める。
   施設栽培では、施設内の温度上昇を抑制するため、妻面・側面を開放するとともに、作物の光要求性に応じて、遮光資材等を使用する。細霧冷房装置、換気装置等を設置している施設では、当該装置を有効に利用して適切な温度及び湿度の管理に努める。

(4)干ばつ対策

   かんがい施設の整備等による用水の確保に努めるほか、露地栽培では、土壌の保水力を高め、根を深く張らせるために、深耕、有機物の投入等に努める。ハダニ類、アブラムシ類等、干ばつ時に発生が多くなる傾向の病害虫については、その発生動向に十分注意し、適期防除に努める。

(5)大雨・台風対策

ア 予防対策

   園芸用施設については、防風対策として、防風網の設置、施設周辺の清掃等を行うほか、フィルムの取付金具の点検や抑えひもの固定等を行う。露地栽培の草丈の低い花きについては、寒冷紗等で被覆し、草丈が高く支柱を立てている花きについては、支柱の点検・補強を行うとともに、ほ場の周囲に防風網を設置し風害に備える。

<関連情報>
農研機構HP「キク等の台風等停電時対策マニュアル」[外部リンク]

イ 事後対策

   冠水又は浸水したほ場については、排水ポンプによるくみ上げ等により速やかな排水に努める。また、倒伏した株は早急に立て起こし、茎や花穂の曲がりを防止するとともに、折れた茎葉は除去し、適切な薬剤散布等により、病害の発生防止に努める。被覆資材、支柱、防虫ネット等の資材や栽培施設についてはできる限り早期に点検・修復を行い、特にキク等の栽培に係る電照・補光関連設備(電球、タイマー等)については、速やかに作動状況の点検を行う。潮風害を受けた場合には、できる限り速やかに散水による除塩作業を実施するとともに、肥料が流亡した場合は、土壌分析を実施し、適正量の肥料を施用する。また、施設栽培においては、台風通過後、強い日射により園芸用施設内温度が急上昇し、高温障害を生じやすいので、フィルム巻上げ等の換気操作を行う。

(6)ひょう害対策

   被害発生時には、欠株の移植、追肥等を的確に行い生育の回復に努める。また、折損した茎葉の除去と薬剤散布を的確に行い、病害の発生を防止する。

お問合せ先

大臣官房政策課技術政策室

代表:03-3502-8111(内線3130)
ダイヤルイン:03-3502-3162

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