3.豆類
近年、過去に例のない気象災害が多発していることから、災害対策の基本として、自然災害などのリスクに対しては、収入保険又は畑作物共済(大豆、小豆、いんげん)への加入により、農業者自らが備えることが重要。畑作物共済は、ほ場での自然災害による収量減少を補償。収入保険は、ほ場での自然災害による収量減少に加え収穫後の事故や価格低下など農業者の経営努力では避けられない様々な要因による収入減少を補償。このため、青色申告者には収入保険、白色申告者には畑作物共済への加入を勧める。また、畑作物共済に加入する場合は、収穫後に自宅倉庫等で保管中の事故に備えて、農業共済組合の保管中農産物補償共済や民間保険会社の事業者向けの火災保険などに併せて加入するよう勧める。
ア 凍霜害対策
は種後、晩霜による凍霜害を受けるおそれがある地域では、遅播きが有効であるほか、収穫期が遅れないよう早生品種を活用する。また、収穫期に早霜により凍霜害が予想されるときは、刈り遅れないよう可能な限り早刈りに努める。
イ 冷害対策
冷害を受けやすい地域では、耐冷性品種を選定するとともに、輪作、有機物の施用、合理的な施肥等による土づくりを通じて地力を維持・増進させる。また、低温年には、日照不足や多雨による過湿等も伴うことから、地温の上昇や土壌の通気性を確保するため、中耕・培土を多めに実施する。
干ばつが生じやすい地域では、土壌の保水性を改善するため、深耕、堆肥の施用等の適正な栽培管理に努める。特に、開花期以降に干ばつが生じた場合は、落花・落莢が多くなり着莢率が低下するほか、不稔莢の増加、着粒重の減少等を招くため、状況に応じた適切なかん水を行う。また、高温年は、害虫の発生により落花・落莢、莢への食害が著しくなり、青立ちや腐敗粒の発生が多くなるため、適切な害虫防除を実施する。
<関連情報>
農林水産省HP「農業新技術2008」(湿害や干ばつを防止する新地下水制御システム)[外部リンク]
農研機構HP「ダイズへの適期灌水を実現するための『灌水支援システム』Webシステム開発者向け標準作業手順書」[外部リンク]
ほ場の滞水や土壌水分の過多は、根の呼吸を阻害(酸素不足)し、出芽期においては出芽不良のみならず、その後の生育や収量の低下を招き、生育期においては生育遅延や根腐れを引き起こすとともに、日照不足と相まって作物体を軟弱化させ、病害虫に対する抵抗性を弱める。このため、降雨時に速やかな排水が可能となるよう、ほ場の状況に応じ、簡易暗きょの施工、ほ場内及びほ場周辺の排水溝の設置等の営農排水対策をあらかじめ実施する。特に、排水不良田では、湿害を回避するため、営農排水対策を徹底する。
また、「大豆300A技術」等の耕起・播種技術等の湿害軽減技術を導入するとともに、地下水位制御システムについて、本暗きょ施工時又は更新時を捉えて普及させ、土壌と栽培条件に応じた湿害の軽減に努める。生育初期に湿害を受けた場合は、湿害の程度に応じて再播種を行い、被害の軽減に努める。なお、晩播は生育量が低下するので、播種量を増やすなどの対策により、生育量の確保に努める。
大豆を連作しているほ場では、排水対策を行っていても収量が低下することがある。このようなほ場では、土壌中の可給態窒素の減少や土壌のち密化による透水性の悪化が生じている可能性が高いことから、有機物の施用等により土壌の物理的、化学的性質の改善を図る。生育量が急増する開花期以降に台風等により莢が損傷した場合は、傷口から病原菌が侵入し、カビ粒や腐敗粒になりやすいため、天候の状況を注視し、必要に応じ速やかに防除を行うとともに、早期の収穫に努める。さらに、耐倒伏性の高い品種の選定や培土等により風害を軽減するとともに、必要に応じ熟期の異なる品種の導入による危険分散に努める。
<関連情報>
農研機構HP「営農排水改良ラインナップ技術 新世代機「カット・シリーズ」」[外部リンク]
農研機構HP「「カットシリーズ」を用いた営農排水施工技術標準作業手順書」[外部リンク]
農研機構HP「診断に基づく大豆栽培改善技術導入支援ツール標準作業手順書」[外部リンク]
農研機構HP「大豆用高速畝立て播種機を活用した大豆栽培体系」[外部リンク]
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