2.麦類
麦は収穫期の降雨により被害を受けやすい作物。
災害対策の基本として、自然災害などのリスクに対しては、収入保険又は麦共済への加入により、農業者自らが備えることが重要。麦共済は、ほ場での自然災害による収量減少を補償。収入保険は、ほ場での自然災害による収量減少に加え収穫後の事故や価格低下など農業者の経営努力では避けられない様々な要因による収入減少を補償。このため、青色申告者には収入保険、白色申告者には麦共済への加入を勧める。
湿害による収量・品質の低下を回避するため、水田等のほ場の状況に応じ、簡易暗渠の施工、ほ場内及びほ場周辺の排水溝の設置により排水対策に努める。また、収穫時期の湿害を回避するため、大型コンバインや共同乾燥調製施設の利用体制を整備し、気象予報等に留意した計画的かつ効率的な作業に努めるとともに、早生品種や穂発芽耐性品種の導入を進める。穂発芽が予想される場合は、早期収穫を実施した上で、早急に共同乾燥調製施設において一定水準まで半乾燥(子実水分17%程度以下)を行う。特に我が国は、生育後期に降雨が多く、赤かび病の病原菌がつくるデオキシニバレノール・ニバレノール汚染が起こる可能性があり、外観上、健全な穀粒であってもデオキシニバレノール・ニバレノールが蓄積する場合がある。このため、「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノールの汚染の予防及び低減のための指針」に従い、抵抗性品種の選択、防除適期を逃さないための生育状況や発生予察情報等の把握、麦種に応じた適期防除及び適切な農薬の選択を実施する。また、栽培管理・乾燥調製等の工程における取組として、前作の作物残さ等の処理、収穫及び乾燥調製を適期・適切に実施する。このほか、縞萎縮病への対策として、抵抗性品種への作付転換や異なる麦種によるローテーションを実施する。
<関連情報>
農林水産省HP「麦類のデオキシニバレノール、ニバレノール汚染の予防及び低減のための指針」・「指針活用のための技術情報」
農研機構HP「麦類のかび毒汚染低減のための生産工程管理マニュアル改訂版」[外部リンク]
農研機構HP「営農排水改良ラインナップ技術 新世代機「カット・シリーズ」」[外部リンク]
北海道病害虫防除所HP「コムギなまぐさ黒穂病Q&A完結版」[外部リンク]
麦類を単収向上等の観点から早播きする場合、暖冬年には、春先の茎立ちが早まり幼穂が凍霜害を起こしやすいので、生育の状況に応じて踏圧を実施し、節間伸長を抑制する。また、積雪地帯では、適期は種による越冬前の生育確保、根雪前の薬剤散布による雪腐病防除、春先の融雪促進剤の使用による雪腐病の抑制・軽減、融雪後の追肥による生育促進等の対策を実施する。
お問合せ先
大臣官房政策課技術政策室
代表:03-3502-8111(内線3130)
ダイヤルイン:03-3502-3162